[掲示板TOP]
[ワード検索]
[利用方法]
[携帯表示]
Ads by Google
編集フォーム
名前:
30文字以内
*
コメント:
[絵文字入力]
【質問番号4:吊られる男さん】 家の庭を掘ったら出てきた古い書物です。 【空回りのメリーゴーランド】 https://late-late.jp/mondai/show/645 問題寸評の依頼です。どうか宜しくお願いします! 【鑑定士:Go To_Labelさん】 吊られる男さんはじめまして。 それでは鑑定させていただきます。おお、これはよいものですね~ ふむふむ~ これが初出題で多くのブクマも入っており、上々の滑り出しですね。 「解説の物語」に特長のある問題です。10問目の『届かない紙飛行機』もそうですが、これが吊られる男さんのひとつの方向性なのでしょうね。 一般論として、「解説の物語」が訴求ポイントである問題を出題するにあたっては、注意すべき点があります。 それは、「問題を漠然とさせないこと」。 ウミガメすべてで重要なことですが、解説に物語がある問題では、特にこれがおざなりにされがちなのです。 作者は、自分が作った物語に愛着がありますので、それがウミガメに合っていなくても出したくなるのが一つの原因でしょう。 しかし、物語を書くだけ書いて、問題文を適当に作って「はい物語を当てて」だけではウミガメとは呼べません。 仮に解説が「桃太郎」で、問題文を 「老婆が川で桃を拾ったおかげで人々が喜んだのはなぜ?」 として、犬猿キジも含めて物語を全部探り当てろ!では問題にならないのです。 ではどのような問題が望ましいのでしょうか。 本サイトの前身と言っていいのでしょうか、「ラテシン」から類例を挙げます。 とかげさん作『11人いた』 http://sui-hei.net/mondai/show/19645 とかげさんは今回鑑定士もされていますが、その紹介文にもあります。傑作多数のとかげさんにして、代表作の一つです。 お手数ですが、問題、解説、そして質疑応答をじっくり追っていただきたいと思います。 見ていただきたいのは2点です。 1.この解説に対してどのような問題文を提示しているか。 2.FAポイント(これを当てれば正解を出す要素)を何に設定しているか。 ※※※以下ネタバレがありますのでご注意ください。※※※ 問題文は「誰が死ぬかを決めるくじに当たった女を、愛していたのに男が殺したのはなぜ」となっています。 FAポイントは ・宇宙船は遭難しており、11人は全員死ぬ運命であること。 ・くじは、すぐに楽に死ぬ者を選ぶものであること。 の二つのみです。 問題文からわかることは、「問う謎を明確にしている」ことです。 ※「食料節約を目的とした口減らしのために殺す」ように見せかける技を使い、さらに「愛していたから殺した」という逆説も組み入れている点も見逃せませんが、今は謎が明確であることだけに着目してください。 FAポイントからわかることは、「物語の最重要要素のみを当てればFAにしている」ことです。 この二つに注意することが、「桃太郎当て」を防ぐことににつながるのです。 ※同じく、物語要素が高く評価されている問題に、 彩蓮燈さん作『最後に残った道しるべ』 http://sui-hei.net/mondai/show/12675 があります。 ここでは詳細を挙げませんが、問題文で「問う謎を明確にしている」、 FAポイントで「物語の最重要要素のみを当てればFAにしている」ことは同様です。 ぜひこちらも問題を追って行ってほしいと思います。 問題文、FAポイントを決めるには、物語を考えた後、その物語のエッセンスはなにかを考える作業が必要です。それによって「何を当ててもらうべきか」が明確になります。 重要なのは、FAポイントをすべて当てても、物語すべてが分かったことになる必要はないことです。 ・問題としては、FAポイントを当ててもらう。 ・物語すべての鑑賞は、解説を読んでもらうことによって達成する。 ウミガメとして出題するときは、そこを区別することが大切なのです。 さて、一般論が長くなりましたが、以上を踏まえて、『空回りのメリーゴーランド』を見ていきましょう。 カメオとウミ田の関係と、アルツハイマーの老人が最後に思い出の場所を巡るというモチーフはすばらしいです。 問題文も、カメオとウミ田が若く、かつ二人が仲たがいしたように見えます。このミスディレクションもお見事です。最初からここに気が使えているのは非凡だと思います。 次にFAポイントを見てみます。私が見たところ、次の五つです。 a.カメ夫とウミ田は親友である。 b.ウミ田はアルツハイマー型痴呆症である。 c.ウミ田は最後に思い出の場所をカメ夫と巡りたいと申し出た。 d.ウミ田は、もし集合場所に来なければ殺してほしいと依頼した。 e.集合場所である遊園地にウミ田が来なかったので、約束通り殺した。 『11人いた』『最後に残った道しるべ』より明らかに多いのがお分かりでしょうか。 ここで、「物語のエッセンスはなにかを考える作業」を行います。本問の場合、 ・カメ夫とウミ田は親友である。 ・ウミ田はアルツハイマー型痴呆症である。 ・カメ夫はウミ田の病状の進行を知って、ウミ田のために殺した。 となると考えます。 思い出の場所を巡る、集合場所に行かなかったら殺してくれと依頼する、などは3番目の要素を物語的に具体化し、ふくらませたものです。 作者の思い入れは、まさにその物語的なディテールにこそあるのでしょうが、ウミガメとして出題するときは、いったんその思い入れから自由になる必要があります。(ここが難しいのですが) 解説をそのままにしてFAポイントの整理を試みると、 a.カメオとウミ田は親友である。 →そのままとする。 b.ウミ田はアルツハイマー型痴呆症である。 →そのままとする。 c.ウミ田は最後に思い出の場所をカメ夫と巡りたいと申し出た。 →「その日は遊園地に行く予定だった」程度にする。 d.ウミ田は、もし集合場所に来なければ殺してほしいと依頼した。 →FAポイントから削除する。 (質問No.39も正しいことになる) e.集合場所である遊園地にウミ田が来なかったので、約束通り殺した。 →遊園地に関わるなにかを忘れたため(来なかったことに限定しない)、 病状の進行を悟り、ウミ田のために殺した、とする。 (質問No.34なども正しいことになる) ばっさり切りすぎだ、と思われるかもしれませんが、一つの例としてご覧ください。 No.34、No.39などについて、Yesとすると厳密には解説と違うことになります。しかし、「その差異は物語のエッセンスにとって重要ではない」という視点から、そこは割り切るわけです。 解説と回答の整合性が気になる場合は、Yesとしておいて、回答で補足するという方法(ある意味重要な小技)もあります。 c, d, eのFA条件をそのまま残す方法もありますが、その場合はヒントを出すことも覚悟しておく必要があります。 今回No.1の鑑定でも書きましたが、登場人物の行動が論理的でないと、質問者にとっては当てることが難しくなります。c, d, eの要素は不合理でも非論理的でもありませんが、極めて特殊な状況ではあります。 これを正確に当ててもらおうとすると、渋滞が予想されるわけです。 FA条件が整理できるよう、解説を変える方法ももちろんあります。 今回は、かなり出来上がった物語であり、それをすると相当な変更が必要となるためそれには言及しませんでしたが、よろしければご自身でもお考えください。 ※解説変更について、そしてその他全般についても、 No.8の鑑定を合わせてご参考になさってください。 両問はまるで違うように見えて、実はその本質は同じです。 最初の物語を自分で考えたか、人が考えたかが違うだけなのです。 問題、解説、FA条件は密接に関連しています。 その視点を持つと、メリハリの効いた問題になりますので、心がけてほしいと思います。 『空回りのメリーゴーランド』についての鑑定は以上とさせていただきます。 なお、いろいろ検討しても、うまくFA条件を絞り込めない物語もあるでしょう。 その場合は、ウミガメとしてそもそも適切でない可能性も考慮してください。 最後に。 これだけの解説が書けて、問題文のミスディレクションにも気を使える方は間違いなくウミガメの才能があります。 今後の活躍も期待しております。
5000文字以内
文字色:
◆
◆
◆
◆
◆
◆
◆
◆
画像:
600 kバイト以内
*
編集・削除パスワード:
英数字で4文字以上8文字以内
*
印の付いた項目は必須です。
[記事削除(確認)]
(c)Copyright
mottoki.com
2007- All rights reserved.