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スレッド名 | コメント | 作成者 | 最終投稿 | |
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映画『バトルシップ』のレビュー | 1 | Ryou | 2014-04-01 17:39:12 | Ryou |
大庭常子は | 1 | Ryou | 2014-03-27 09:53:59 | Ryou |
さあ、さういふこと | 1 | Ryou | 2014-03-27 09:53:43 | Ryou |
待つてください | 1 | Ryou | 2014-03-27 09:53:19 | Ryou |
かう言ひながら | 1 | Ryou | 2014-03-27 09:52:58 | Ryou |
お読みになりたくない | 1 | Ryou | 2014-03-27 09:51:52 | Ryou |
さういふご事情は | 1 | Ryou | 2014-03-27 09:51:33 | Ryou |
たしかお子様が | 1 | Ryou | 2014-03-27 09:51:12 | Ryou |
さて、昔どほりの処番地なので | 1 | Ryou | 2014-03-27 09:50:51 | Ryou |
そんなことから | 1 | Ryou | 2014-03-27 09:50:38 | Ryou |
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映画『バトルシップ』のレビュー (コメント数:1)
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1 Ryou 2014-04-01 17:39:12 [URL]
浅野忠信の出番が、思ってた以上に多かったです。 よくあるパターンで、日本人俳優の「ハリウッドデビュー!」なんてな触れ込みだと、往々にしてチョイ役だったりするじゃないですか。 本作でもきっとそうなのだろうなーと思ってたら、準主役的なポジションでした。 内容的には、宇宙人に攻め込まれるのをアメリカ海軍が撃退するスジです。 この手のSFで毎回思うのが、はるか遠方の惑星から宇宙船を送り込んできて、あまつさえ軍事兵器まで搭載してるってのが、ちょっと無理あるよなーという気がするのです。 普通なら最初は、調査隊みたいな人たちが来そうなモンじゃないですか。 そっから何度か行き来して、「コレなら行けるぞ」って確度を高めてから、本格的な侵略軍を送ってくると思うんですよね。 |
映画『バトルシップ』のレビュー (コメント数:1)
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大庭常子は (コメント数:1)
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1 Ryou 2014-03-27 09:53:59 [URL]
大庭常子は、このシーズンに六大都市で独唱会を開く予定でした。関西を先にといふマネーヂヤアの意見で、まづ京都を皮切りに、大阪神戸と順調にすまし、いよいよ東京でといふことになりました。今度はだいぶん切符を捌くのに骨が祈れるといふ見透しで、彼女自身、名簿に枚数を書きこんで、後援者の総動員です。 名簿を見て行くうちに、ふと、加部福代のところへ来て、彼女はハツとしました。 「いけない。まだお悔みにも行つてないわ」 そのとほりで、死亡通知はたしかにもらつてゐるから、どうせ葬式には間に合はないのだから、そのうちに悔みだけ行かうと思ひ、それがつい、それつきりになつてゐたのです。もともと、それほど親しい間柄でもなかつたのですけれど、同級生のうちで、頼めばちやんと切符を二枚買つて来てくれる少数の一人だつたのです。さう云へば、ついせんだつて、根本保枝からの手紙のなかにも、そのことが書いてあつたのに、と、大庭常子は、しばらく、考へ込みました。しかし、なにぶんもう、日にちの余裕がありません。新作の練習も、まだまだ不十分だと自分では思つてゐます。――遅れついでに、あとにしよう、あとに……、と、ひとりでさう決めて、加部福代の名前の上に赤インキで筋を引きました。 |
大庭常子は (コメント数:1)
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さあ、さういふこと (コメント数:1)
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1 Ryou 2014-03-27 09:53:43 [URL]
「さあ、さういふこと、あたくしなんかにおたづねになるのは、どうかと思ひますわ。ご自分に罪はないとお信じになれれば、それでよろしいんぢやございません」 と、彼女は、さつきまで、どことなく重みもあり、鋭さもあるその言葉つきと風貌とに押され気味であつたのに、いつか、それにかゝわりなく、かへつて年下のものに対するやうな馴れ馴れしさで物を言つてゐることが自分にもわかりました。 すると、加部錬之介も、それに釣りこまれてか、かすかに苦笑をうかべながら、 「どうも自分の問題となると、主観をはなれてなんでいふことは容易ぢやありません。あなたに福代の代弁をさせるつもりぢやなかつたんですが、ついさういふ形になつてしまつて、失礼しました。何か福代の持物で紀念になるものでもと思ふんですが、それはいづれ落ちついてから、――といふことにします」 こゝでやつと、話が途切れ、保枝は、しかしまだなにか、最後のひと言を云ひ残したやうな気持で別を告げました。 この足で多摩墓地へとも思ひましたが、もう、日が暮れようとしてゐます。寝てゐる夫の顔が眼に浮びます。気が狂ひだしさうです。 |
さあ、さういふこと (コメント数:1)
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待つてください (コメント数:1)
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1 Ryou 2014-03-27 09:53:19 [URL]
「待つてください。僕の言ひたいのは、福代に罪はないといふことです。しかし、そのことゝ、僕の苦しみとはまつたく別です。それがわかつていたゞけるでせうか。決して同情を求めてるんぢやありませんよ。たゞ、僕は、あなたのやうな女性に、公平な裁きをうけたいんです。僕の方に罪があるか、ないかをです。一人の女の愛情をつなぎとめる力のない男に、いつたい罪はあるでせうか?」 保枝は、まつたく途方にくれました。なにしろ突拍子もない問題の提出しかたです。しかし、彼女は、加部錬之介ほどの男が、自分のやうな女をつかまへて、真剣に心の悩みを訴へ、困難な疑問に答へさせようとする、どことなく生一本な態度を、さう軽く受け流すこともできませんでした。そこには、年配から云つても、不思議と思はれるほどの若々しさが感じられるのでした。 |
待つてください (コメント数:1)
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かう言ひながら (コメント数:1)
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1 Ryou 2014-03-27 09:52:58 [URL]
かう言ひながら、加部錬之介は、もう声がかすれ、眼鏡の奥で、きらきらと涙が光つてゐました。 保枝は、相手のこの感動をそのまま実感として胸にうけることはできませんでしたが、ただその場の情景と、それが自分に向つて直接言はれてゐる言葉だといふだけで、なにか、やるせない、そこへ突つ伏してしまひたいやうな気持になりました。 「それを伺つて、あたくしはもう、なんにも申しあげることはございません。福代さんを責める気はないと、たゞいまおつしやいました、そのことだけを、あたしは、女として、ありがたくお聴きして帰らせていたゞきますわ」 これをきつかけに思ひ切つて座を起たうとしたが、加部錬之介は、それに頓着なく、まだ話しつゞけようとします。 |
かう言ひながら (コメント数:1)
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お読みになりたくない (コメント数:1)
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1 Ryou 2014-03-27 09:51:52 [URL]
「お読みになりたくない。それでは無理にとは言ひません。福代が僕にかくして文通をしてゐたある男の手紙といふだけです。内容はお察しください。これによると、福代は僕をまだ裏切つてゐないことだけはたしかのやうです。言はゞ、強力な誘惑と激しく戦つてゐる状態がわかるのです。僕は、福代を絶対に責める気はないのですが、僕の自尊心はこのために、ひどく傷つけられました。それと同時に、僕たち夫婦の歴史は、たゞ二人だけの歴史だといふ確信が、もろくも崩れてしまひました。僕は自分がすこし惨めになり、それにもまして、福代といふ女が、あはれな女に思はれてしかたがないのです。僕といふ男の腕のなかで、もう一人の男を思慕しつづけてゐた女のあはれさを、僕はしみじみ、いま思ひやつてゐるのです。福代のあつけない死に方には、涙もろくに出なかつた僕ですが、かうして、この写真の前で、――お前はなぜもつと早く僕にそのことを知らせなかつたんだ、と云つてやつた時、僕は、もう我慢ができず、ほんとに声をあげて泣いてしまひました。……」 |
お読みになりたくない (コメント数:1)
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さういふご事情は (コメント数:1)
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1 Ryou 2014-03-27 09:51:33 [URL]
「さういふご事情はわたくしにはわかりませんけれども、福代さんが幸福でなかつたなんていふことは、あたくし、信じられませんわ」 「このことは僕一人の胸におさめておくつもりでしたが、福代の心の友であられたあなたに、かうしてお目にかゝつてみると、やつぱりあなただけには聴いていただきたくなりました。実は、かういふものが出て来たんです。整理をする暇もなく、そのまゝ残して行つた手紙の束のなかに、これを見てください、こんなものがあるのです」 保枝は、読めと言つて突き出された幾通かの封書を、手にとる気もしませんでした。 加部錬之介は、やがてかう言ひました。 |
さういふご事情は (コメント数:1)
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たしかお子様が (コメント数:1)
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1 Ryou 2014-03-27 09:51:12 [URL]
「たしかお子様がお一人おありになつたやうに伺つてをりましたが……」 「死にました。疎開先で川にはまつて死にました」 「まあ、ご運のわるい……」 「さうです。運とでも思ふよりしかたがありません。あなたもご主人が長くお患ひになつてゐるさうですが……」 「これも運でございませう。生きてゐてくれましたら、あたくしには、なにか張合ひがございます」 「さうも云へませうが……なかなかむづかしいもんです。その問題は……。福代はあゝいふ女ですから、なにひとつそんな気配はみせませんでしたが、僕にはわかつてゐました。僕たちの結婚はやつぱり失敗でした。――福代は女の幸福といふものを、遂に知らずに死んで行つたのです。僕の責任でもあり、彼女の宿命でもあつたのです」 |
たしかお子様が (コメント数:1)
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さて、昔どほりの処番地なので (コメント数:1)
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1 Ryou 2014-03-27 09:50:51 [URL]
さて、昔どほりの処番地なので、探す手間はいりません。ところが麹町一帯は、方角もわからないほど変り果てたバラツク街です。このへんと思ふあたりをたづねて、やつと土蔵を改築したらしい、「加部」と標札の出てゐる家をみつけました。 窓の小さい、冷え冷えとした室の奥に、蝋燭の光がゆれてゐます。 「どなたですか」 いきなり、薄暗い隅の方から影がして、一人の男が起つて来ました。それが加部錬之介でした。 霊前での二人の対話は、あらまし次のやうなものでした。 「福代はあなたを唯一人の女友達だと云つてゐました。……いくら会はなくつても心が通じてゐればいゝとも言つてゐました」 |
さて、昔どほりの処番地なので (コメント数:1)
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そんなことから (コメント数:1)
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1 Ryou 2014-03-27 09:50:38 [URL]
そんなことから、保枝は、加部福代の半生をともにした加部錬之介なる男が、夫としてどんな人物であつたかを、ふと好奇心で知りたくなりました。それを知ることだけで、加部福代の短い生涯の意味がきまるやうに思へたのです。 保枝は、その翌日、近所のをばさんに病人のことを頼んで、ともかく、悔みに行くことにしました。葬式はすんでゐるのですから、羽織と帯だけ黒にして、半襟は目立たない白地をえらびました。かういふ時ででもなければ、よそ行きを着ることのない近頃の自分を、鏡の前でしばらく飽かず眺め入りました。ざつと解きつけた髪も、偶然にふつくらと思ふかたちになりました。さて、香奠は、と気がついて、どうしたものかと迷ひました。闇も公定もない代物ですから、気前をみせるか見せないかの違ひです。夫に相談しても、夫は相手にしてくれません。彼女は、百円札を二枚重ねてみ、それから五枚にし、また急いでそれを三枚にしてしまひました。 |
そんなことから (コメント数:1)
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