軍人は愚痴なんかこぼさない (コメント数:1) |
1 Ryou 2013-12-20 11:01:59 [URL]
「軍人は愚痴なんかこぼさない。」セエラは歯をくいしばりながらいうのでした。「私だって、愚痴なんかいうものか。これは私、戦争の一つだっていうつもりなのだから。」 そうはいうものの、彼女を慰めてくれる三人の友がなかったら、セエラの心は寂しさのあまり破れたかもしれなかったでしょう。 その友の一人は、あのベッキイでした。初めて屋根裏に寝た晩も、壁一つ越した向うには、自分のような少女がいるのだと思うと、セエラは何となしに慰められるような気がしました。その慰めの気持は、夜ごとに強くなって来るのでした。日の中は二人とも用が多くて、言葉を交す折はほとんどありませんでした。立ち止ってちょっと話そうとすると、すぐ怠けるとか、暇をつぶすとか思われるので、それも出来ないのでした。初めての朝、ベッキイはセエラに囁きました。 「私が丁寧なことを言わないでも、気にしないで下さいね。そんなことをいってると、きっと誰かに叱られるからね、私、心の中では『どうぞ』だの、『もったいない』だの、『御免なさい』だのといってるつもりだけど、口に出すと暇がかかるからね。」 |
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