私は、おかげ様で (コメント数:2) |
1 Ryou 2013-12-20 11:03:03 [URL]
「私は――私は、おかげ様で、丈夫よ。」アアミンガアドは羞しくてわけがわからなくなって来ました。で、急に、何かもっと友達らしいことをいわなければならないと思いました。「あなた――あなた、あの、ほんとにお不幸なの?」 その時のセエラのしうちは、よくありませんでした。セエラの傷いた心臓は、ちょうど昂ぶっている時でしたので、こんな物のいいようも知らない人からは、早くのがれた方がいいと思いました。 「じゃア、あなたはどう思うの? 私が幸だとお思いになるの?」 セエラはそういい残して、さっさと去って行ってしまいました。 その後、時がたつにつれて、セエラは、アアミンガアドを責むべきではなかったと思うようになりました。ただあの時は、自分の不幸のため、何もかも忘れてしまっていたので、アアミンガアドの心ない言葉に腹が立ってならなかったのでした。それに、落ち着いて考えて見ると、アアミンガアドはいつも気のきかない子で、心を籠めて何かしようとすると、よけいやりそこなうのが常だったのでした。 |
2 Ryou 2013-12-20 11:03:27 [URL]
それから五六週間の間、二人は何かに遮られていて、近よることが出来ませんでした。ふと行きあったりすると、セエラは傍を向いてしまいますし、アアミンガアドはアアミンガアドで、妙にかたくなってしまって、言葉をかけることも出来ませんでした。時には、首だけ下げて挨拶することもありましたが、時とすると、また目礼さえせずに過ぎることもありました。 「あの子が、私と口をききたくないのなら、私はあの子になるべく会わないようにしよう。ミンチン先生は会わせまいとしているんだから、避けるのは造作ないわけだわ。」 で、自然二人はほとんど顔も会わさないようになりました。アアミンガアドは、ますます勉強が出来なくなりました。彼女はいつも悲しそうで、そのくせそわそわしていました。彼女はいつも窓のそばに蹲まり、黙って外を見ていました。ある時、そこへ通りかかったジェッシイは、立ち止って、怪訝そうに訊ねました。 「アアミンガアドさん、何で泣いてるの?」 「泣いてなんて、いやしないわ。」 「泣いてるわよ。大粒の涙が、そら、鼻柱をつたって、鼻の先から落ちたじゃアないの。そら、また。」 |
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