そう。私なさけないの (コメント数:1) |
1 Ryou 2013-12-20 11:03:53 [URL]
「そう。私なさけないの――でも、かまって下さらない方がいいのよ。」 アアミンガアドは丸々とした背を向けて、手巾で面をかくしました。 その晩、セエラはいつもよりも遅く、屋根裏へ登って行きました。と、自分の部屋の扉の下から、ちらと光の洩れているのを見付けて、吃驚しました。 「私のほか、誰もあそこへ行くはずはないけど、でも、誰かが蝋燭をつけたとみえる。」 誰かが火をともしたのにちがいありません。しかも、その光は、セエラがいつも使う台所用の燭台のではなく、生徒が寝室につける燭台の火に違いないのです。その誰かは、寝衣のまま紅いショオルにくるまって、壊れた足台の上に坐っていました。 「まア、アアミンガアドさん!」セエラは怯えるほど吃驚しました。「あなた、大変なことになってよ。」 アアミンガアドはよろよろと立ち上りました。彼女は大きすぎる寝室用のスリッパをひっかけて、すり足にセエラの方へ歩いて来ました。眼も、鼻も、赤く泣き腫らしていました。 「見付かれば、大変なことになるのはわかっているわ。でも、私、叱られたってかまわないわ。ちっともかまわないわ。それよりもセエラさん、お願いだから聞かしてちょうだい。ほんとうにどうなすったの? どうして、私が嫌いになったの?」 |
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