そこではじめて気づいたのだが (コメント数:1) |
1 Ryou 2013-10-11 15:12:19 [URL]
そこではじめて気づいたのだが、オルガはいず、老人夫婦が遠くのほうに離れた机のそばにぼんやりした状態で坐っていて、ドアのところで何が起ったかまだはっきり呑みこめないで、ゆっくりと顔をKのほうに向けた。それから最後に気づいたのだが、アマーリアが毛布をかぶってストーブのそばの長椅子に寝ていて、Kが現われたことにびっくりして飛び起き、心をしずめようとして手を額にあてた。オルガがここにいてくれたら、彼女がすぐ返答してくれ、Kはすぐ帰れたであろうが、彼女がいないのでKは少なくとも二、三歩アマーリアのほうに歩みよって、手をさし出さなければならなかった。アマーリアはその手を取って無言のまま握手した。Kはまた、驚きでかり立てられた両親が歩き廻ったりしないようにしてくれ、と彼女に頼まなければならなかった。すると彼女は二こと三こと何かいってそのとおりにした。Kが聞いたところによると、オルガは内庭で薪を割っていて、アマーリアはすっかり疲れたので――彼女は理由はいわなかった――ちょっと前に横にならないでいられなかった。そして、バルナバスはまだ帰ってこないけれど、すぐ帰ってくるにちがいない。というのは、彼は城にはけっして泊まらない、ということだった。Kはいろいろ教えてもらったことに礼をいって、もう帰ることができたのだが、アマーリアがオルガのもどるのを待たないかとたずねた。 |
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