材大なれば用を為し難し

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父の下着の着換えに (コメント数:1)

1 Ryou 2013-09-30 11:03:21 [URL]

たしかに、父の下着の着換えに気をくばることも、彼の義務であったろう。父の将来をどうしようとするのか、彼は婚約者とまだはっきり話し合ったことはなかった。しかし、彼らは暗黙のうちに、父はもとの住居にひとり残るものときめていたのだった。だが今は、父を自分の未来の家庭へ引き取ろうと、はっきりと急に決心した。よく考えてみれば、新しい家庭に父を引き取り世話するという考えは、あまりに遅く思い浮かんだようにさえ思われるのだった。
 両腕で父を抱えてベッドへ運んだ。ベッドへ二、三歩向かいながら、父が胸の上の時計の鎖をもてあそんでいるのをみとめたとき、恐ろしい感じが襲ってきた。彼は父をすぐベッドへ寝かすことができなかった。それほどしっかりと父はこの時計の鎖をつかんでいるのだった。
 しかし、父がベッドに寝るやいなや、万事うまく片づいたように思われた。父は自分でふとんにくるまり、かけぶとんだけをさらに肩のずっと上までかけた。父はそれほど無愛想そうにでもなく、彼を仰ぎ見た。
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