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■ リベラルの毒に侵された日本人 アメリカでも「リベラル」勢力は、様々な問題を引き起こしています。 おかげであの「自由の国アメリカ」が、「全体主義的」ともいえるような、とても住みづらい社会になってしまっているのです。 私が本書『リベラルの毒に侵された日米の憂鬱』(PHP新書)を書いた理由の 一つは、日本には絶対そんな社会になってほしくないからです。 しかし、そんなアメリカの「リベラル」でも、日本よりはるかに「マシ」な、見習ってほしい部分があります。 それは彼らも、国を愛し、国を守る意識を持っていることです。 愛国心や国防に対する意識は、同じ「リベラル派」と称される人たちのあいだでも、日米では根本的に違います。 アメリカでは、保守もリベラルも、どちらも愛国心をきっちりと持っているのです。 アメリカ国民の大半は支持政党とは関係なく、もし自国の領土領域が侵されるようなことがあれば、必ず武器を取って立ち上がるでしょう。 なぜなら「正義の戦争はありうる」と、ほとんどのアメリカ国民が考えているからです。 したがって、身を挺して国防を担っている軍隊を侮辱するような発言をすれば、民主党、共和党を問わず、国民からの信頼を失いかねません。 また、アメリカの親たちも、子供たちに対する学校での愛国心教育に反対することなどありません。 しかし日本の「リベラル」は、その大半が愛国心というものに嫌悪感を抱き、安全保障問題の解決策とは、すなわち交戦権を否定した憲法九条を守ることだと考えています。 彼らは、日本という国そのもののあり方を否定さえしています。 学校で愛国心教育をやるなどけしからんと、警戒心で身構える人も少なくありません。 税金から給料をもらう公務員でありながら、国旗である日の丸と、国歌である君が代を否定して、自分勝手な思想を子供に教えて恥じない公立学校の教職員もたくさん存在します。 想像すらできませんが、仮にアメリカにそんな教師がいたら、保守からもリベラルからも「星条旗に忠誠を誓わない人間に教師の資格はない。 どうしても教師をやりたければアメリカから出て行け!」といわれることは確実です。 これは当たり前といえば当たり前の話です。 日本の場合は、日米安全保障条約の体制下、「アメリカが守ってくれる」という安心感を心の片隅で抱きつつ、教師だろうがメディアだろうが、好きなことをいっていられたわけです。 しかし、アメリカの場合、「アメリカを守ってくれる存在」などありません。 普通の国と同じように、自分のことは自分の力で、つまりは国民の気持ちと力を 一つに結集させて、祖国を守らなくてはならないのです。 たとえば、私が小学校に入学したのは 1957年でしたが、「防災訓練」が頻繁にありました。 防災といっても、日本のように地震や津波を想定したものではなく、ソ連による核攻撃に備えてのものです。 授業中にいきなり「ピーピーピー」という警報音がなると、生徒は急いで自宅に帰らなければいけない決まりでした。 核攻撃でライフラインが途絶した場合に備えて、街の至るところに備蓄倉庫が設けられていた時代でした。 さらに毎年のように、広島への原爆投下を題材にした映画を見せられたことを覚えています。 まだ小学生だった私にとって、共産主義とはすなわちソ連という敵国による核攻撃の脅威であり、いわば恐怖の対象として脳裏に刻まれました。 今でも放射能を示すハザードシンボルを見ると、当時の怖い気持ちを思い出してドキッとします。
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