定年制度
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1 manolo 2013-01-22 17:55:22 [PC]
出典:週刊東洋経済、1/26/2013、pp34-73
1-1. 今年4月、高齢者雇用安定法の改正により、定年に達した従業員について、65歳までの雇用確保がすべての企業に義務化される。企業は原則、希望する全員に対し、@再雇用A定年引き上げB定年廃止、いずれかの措置を取らなければならない。04年の法改正により、すでにこうした雇用確保措置は導入済みだ。だが、従来は労使協定で定めた基準に基づき、企業は再雇用する社員を選別することが許された。今度の改正では、それができなくなる。(pp.36-37)
1-2. 以前から希望者の大半を再雇用している企業も少なくないが、こうした企業も影響は不可避だ。現在は60歳から老齢年金が支給されているため、セカンドライフを求め、再雇用を希望しない人も全体の25%いる。だが、4月以降、老齢年金の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられる。再雇用を希望しなければ、無収入の期間が生じてしまう可能性があるため、60歳定年者の9割超は再雇用を希望するようになるとみられる。(p.37)
1-3. 内閣府が行った「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(10年度)によれば、「今後も仕事を続けたい」と思っている日本の高齢者の割合は9割近く、世界的に見ても、その就労意欲は高い。経験と能力を生かし、働き続けたいと思っている高齢社員にとっては、今回の改正はウェルカムだろう。(p.38)
1-4. 一方、企業にとっては悩ましい。みずほ総合研究所のシュミレーションによると、人件費の増加は、13年度では0.4兆円程度と限定的だが、対象者が増えるにつれ拡大し、25年度には1.9兆円程度押し上げるられる計算。サントリーの場合、60歳を迎える社員は例年約90人おり、十億円の費用増となる模様だ。(pp.38-39)
1-5. NTTはこれに対応するため、今秋から40〜50代の賃金カーブを実質引き下げる意向。現役世代の賃金を抑制し、再雇用者の賃金を原資とする考えだ。経団連でも春闘に向けて賃金カーブの見直しを提唱している。高齢者の雇用確保のため若者やミドルなど現役世代に負担を強いる施策とも受け取れ、世代間の不公平感を助長しかねない。(p.39)
2 manolo 2013-01-22 18:11:57 [PC]
1-6. 人件費だけだけではない。「65歳まで働く意欲を維持できる仕事を、各人にマッチングするのは大変」(化学メーカー幹部)。グローバル競争や技術革新に対応できないシニアが膨れれば、組織の新陳代謝が停滞するおそれもある。人事担当者は対応に頭を悩ませている。(p.39)
1-7. それでも、「日本にとって高齢者は競争力の源泉」(大久保幸夫・リクルートワークス研究所長)。少子高齢化により、今後日本の労働力人口は細っていく。労働政策研究・研修機構によると、30年の労働力人口は悲観的シナリオで5500万人弱と、10年に比べ約850万人も減る見通しだ。高齢者の労働参加なしには、経済成長を維持することは難しい。経験豊富で元気なシニアを有効活用できるかどうかが、企業の浮沈を左右する。(p.39)
1-8. 【主要企業でも「65歳定年」を取り入れ始めた】
@トヨタ自動車: 工場で労働時間を半分に短縮する「ハーフタイム勤務」の本格的導入を検討
ANTT: 2013年秋から新制度を導入。能力に応じて再雇用者の給与引き上げる一方、現役世代の処遇は引き下げも
Bダイキン工業: 2001年にほ希望者全員を65歳まで再雇用する制度を導入。65歳まで働ける「シニアスキルスペシャリスト」も
CサントリーHD: 2013年4月から65歳定年制を導入。給与水準も60歳時の6〜7割に引き上げ
D大和ハウス: 2013年4月から65歳定年制を導入。嘱託として再雇用している現在より、ボーナス増など処遇引き上げ
EYKK: 2025までに定年を段階的に65歳に引き上げ、長期的には定年制廃止も検討(p.38)
3 manolo 2013-01-22 18:56:50 [PC]
1-9. 【改正高齢法による影響のシュミレーション(堀江奈保子)】
2013年4月1日、改正高年齢者雇用安定法が施行される。この改正で、定年に達した人を引き続き雇用する「継続雇用」(再雇用)の対象者について、労使協定で基準を定められる仕組みが廃止。企業は希望者全員を、段階的に65歳になるまで再雇用することが義務づけられる。これに伴い企業の人件費負担はどう変わるか。以下では、二つのケースについて、企業用の人件費負担の変化を比較したい。(p.40)
1-10.
ケース1: 再雇用の基準撤廃により、「これまで基準を満たさずに退職していた人」「これまで再雇用を希望してこなかった人」全員が再雇用される場合
賃金総額の押し上げ額 人件費に対する割合
2013年度 0.4兆円 0.22%
2020年度 1.1兆円 0.57%
2025年度 1.9兆円 0.99%
ケース2: 再雇用の基準撤廃と年金支給開始引き上げにより、「基準を満たさず退職していた人」「再雇用を希望してこなかった人」の一定程度が再雇用される場合
賃金総額の押し上げ額 人件費に対する割合
2013年度 0.1兆円 0.06%
2020年度 0.3兆円 0.16%
2025年度 0.6兆円 0.28%
(p.41)
1-11. 財務省の「法人企業統計」によれば、企業の人件費(役員・従業員の税・社会保険控除前の賃金・賞与)は、01〜10年平均で年195兆円程度だ。(中略)01〜10年における企業の人件費総額の平均伸び率が年0.1%と、ほぼ横ばいであることを考えると、法改正による高齢者雇用に関する企業の人件費負担増は消して小さくない。(p.41)
1-12. もし企業が今後も人件費を横ばいで維持しようとすれば、高齢者雇用に伴う人件費が増大するかぎり、ほかの労働者の賃金水準要求や新規採用の抑制に影響する可能性は否定できない。企業にとって高齢者の雇用をコストにしないためには、高齢期でも高い生産性を発揮する人材を計画的に育成することや、生産性に見合った賃金制度を導入することなどが課題となるだろう。(p.41)
4 manolo 2013-01-22 19:24:46 [PC]
1-13. 【海外(米国、欧州)】
海外でも日本と同様、現役期間を延長する動きが顕著だ。世界に先駆けて定年制を廃止したのは米国。1967年に「雇用における年齢差別禁止法」が成立した。賃金カーブがフラット、かつ雇用も比較的容易であり、年齢ではなく評価によって雇用の可否を判断する、実力主義を貫いている。(p.44)
1-14. 欧州でも定年は引き上げられつつある。英国が従来65歳だった定年を2011年に廃止。選択定年制のスウェーデンも、法定低年齢は最長67歳だ。ただ欧州の場合、実力重視の米国とは、定年廃止・延長の意味は異なる。「年金の支給開始年を引き上げるため、高齢者に長く働いてもらおうという趣旨」(労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎・統括研究員)だ。(p.44)
1-15. 欧州では、70代後半から80年代にかけて若年層の失業率が高まったことを受け、障害年金の適用範囲を拡大するなどして、高齢者の引退を促した。だが、若者の失業率改善の効果は薄く、失敗。社会保障に充てる財源も厳しく、01年ストックホルムで開かれた欧州サミットでは「アクティブ・エイジング」の理念の下、高齢者の就業率50%を目標とするなど、再び高齢者雇用促進に舵を切った。
1-16. 揺れる欧州を象徴するのがフランスだ。社会党のオランド氏は12年、大統領選に勝利すると、サルコジ前政権時代に62歳へと引き上げた年金の支給開始年齢を60歳に戻したのだ。フランスでは労働者の権利意識が強く、サルコジ時代の高齢者冷遇をめぐっては、たびたび反対のデモが発生した。オランド大統領の決定は大統領選での公約の実現だが、財政運営上、「現実的でない」という批判も少なくない。(p.44)
1-17.
国
平均退職年齢(08年、歳)、法定定年年齢(09年、歳)、制度の特徴、今後の方針
ドイツ
61.7、65、2029年までに年金の支給開始を67歳に引き上げ
フランス
59.3、60〜65、年金の支給開始引き上げに、労働者の反発が強い
イタリア
60.8、男65 女60、北欧に倣い、17年に定年を67歳に引き上げ
ギリシャ
61.4、男65 女60、財政緊縮策として、定年延長措置などを検討
スウェーデン
63.8、61〜67、61歳から67歳までで定年を選べる制度
英国
63.1、男65 女60、1年4月以降、年金支給は将来68歳に
(p.44)
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