分離独立運動(欧州)
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1 manolo 2015-01-21 08:11:02 [画像] [PC]
出典:『ニューズウィーク日本版』、9/30/2014、「それでも止まらない欧州分裂の波」、pp.30-33
影響 スコットランドの試みに触発されて
ヨーロッパ各地で独立分離運動が盛り上がっている
1-1.
否決されたとはいえ、スコットランドの住民投票はヨーロッパ各地にくすぶる分離独立運動を勢いづけた。今後注目を集めそうな8つの地域を紹介しよう。(p.30)
2 manolo 2015-01-21 08:12:09 [PC]
1-2. 【カタルーニャ(スペイン)】
スペイン北東部に位置するカタルーニャ自治州は、昔から独立運動が活発だった。人口750万人の大半は言語もスペインとは違うという意識が強く、マドリードの中央政府から高度な自治権を認められてきた。だが、自治州のアルトゥール・マス首相は、スペインからの完全な独立を求めて11月9日に住民投票を行うと発表。9月11日の「カタルーニャの日」には、住民が州都バルセロナでV字形に交わる通りを埋め尽くし、投票(vote)と勝利(victory)を訴えた。(p.30)
1-3.
スペイン議会は、カタルーニャの住民投票実施を認めていない。これに対して独立強硬派は、政府があくまで住民投票を邪魔するなら、デモや不買運動などの不服従運動を展開すると主張している。スペイン政府としては、むしろ住民投票の実施を認めた方が得策かもしれない。9月初旬に日刊紙エル・パイスが行った世論調査では、実際に独立を支持するカタルーニャ人は27%しかおらず、42%は自治権を拡大してスペインに残留するほうがいいと答えた。(pp.30-31)
1-4. 【フランダース(ベルギー)】
ベルギー北部のオランダ語圏(フランダース地方)と南部のフランス語圏(ワロン地方)の不仲には長い歴史がある。経済的に立ち遅れたフランス語圏(人口400万人)に多額の補助金が交付されていることも、オランダ語圏(同600万人)の住民にとっては不満の種だ。今年5月に行われたベルギー下院選挙では、ベルギーを解体して「フランダース共和国」を樹立することを究極の目標とする政党「新フランドル同盟」が勝利。おかげでフランス語圏を基盤とする政党との連立交渉はいまだにまとまっていない。(p.31)
1-5.
とはいえ、ベルギーがすぐに分裂することはなさそうだ。首都ブリュッセルは経済の要で、オランダ語圏の住民にとって歴史的な故郷でもある。だが住民はワロン人が圧倒的に多く、ベルギー解体を強行すれば、オランダ語圏はブリュッセルを失う可能性が高い。新フランドル同盟は当面、現在の連邦という枠組みを受け入れていく意向だ。だが、スコットランドの住民投票に触発されたのは間違いない。同党のビエ・デブルイン議員は投票前、「スコットランドは重要な前例になる」と語っている。(pp.31-32)
3 manolo 2015-01-21 08:14:18 [PC]
1-6. 【ベネト(イタリア)】
運河の街をゴンドラで巡り、サンマルコ広場のカフェでカプチーノを1杯――ベネチアには 外国人の描くイタリアのイメージが詰まっている。だが、住民の考えは違うらしい。ベネチアのあるイタリア北東部ベネト州で、今年3月に行われた調査によると、89%がイタリアからの独立を支持。その後の世論調査でも、州民500万人の過半数が、チャンスがあるなら独立するべきだと答えた。ベネト州のある地域にはかつて、海洋国家として栄えたベネチア共和国があった。18世紀末にナポレオンに征服され、フランスとオーストリアの支配を経てイタリアに編入されたのは、わずか150年前だ。(p.32)
1-7. 【グリーンランド(デンマーク)】
世界最大の島グリーンランドが経済的に沈まずに済んでいるのはデンマーク政府の補助金のおかげだ。その額は年間6億5000万ドル、グリーンランドの予算のおよそ半分に当たる。だが変化の兆しが見えてきた。地球温暖化で北極圏の氷が解け始め、鉱物資源の開発が有望になってきたのだ。昨年選出されたアレカ・ハモンド首相は外国企業を受け入れて資源開発を進め、経済的自立を果たす考えだ。人口5万7000人と、独立すれば、世界最小クラスの国だ。(p.32)
1-8. 【バスク(スペイン)】
バスク地方の過激な民族主義組織「バスク祖国と自由(ETA)」は11年に、スペイン政府との停戦を宣言した。だが、それまでの武装闘争による死者は1000人を超える。スペイン北部とフランスの国境にまたがる風光明媚なこの地方は、今も流血の歴史のトラウマに苦しむ。カタルーニャと違って、早期の独立に慎重なのもそのあたりに理由がありそうだ。(p.32)
1-9.
それでも、オイアルツンなどバスク自治州の町では独立支持のポスターをよく見掛ける。州の人口は200万人余り。自治州の与党バスク国民党は自治拡大を求めているが、同党の支持者には長期的な目標として独立を望む人も多い。自治州のイニゴ・ウルクル首班はカタルーニャの住民投票を支持し、スコットランドの住民投票にもエールを送った。(p.32)
4 manolo 2015-01-21 08:15:38 [PC]
1-10. 【ウェールズ(イギリス)】
ウェールズの独立派はスコットランドの住民投票に羨望を隠せなかった。スコットランド民族党と違って、ウェールズの独立派政党ウェールズ党は自治議会の少数派にとどまっている。それでもリアン・ウッド党首はスコットランドの住民投票が追い風になれば、16年の選挙では大躍進できると期待する。(p.32)
1-11.
「スコットランドは住民投票で一躍注目を集めた」とウッドは言う。「ウェールズも予想外の住民投票を実現すれば、ロンドンに一目置かれるはずだ」 イングランドの西にある緑豊かな丘陵地帯ウェールズ。人口300万人の約20%がこの地方独特のウェールズ語を話す。(p.32)
1-12. 【バイエルン(ドイツ)】
昨年のバイエルン州議会選挙では、分離独立派のバイエルン民族党の得票率は2.1%。まだ少数派だが、同党の過去50%余りの歴史で最高の得票率だ。湖と古城とチロル風民族衣装で知られるこの地方でも、独立意識が徐々に高まり始めている。「独立派の勝利を心から祈る」と、バイエルン民族党のフローリアン・ウェーバー党首はスコットランドの住民投票の前に語った。「(彼らが勝利すれば)バイエルンの独立運動も盛り上がり、メディアはもはやこの問題を軽視できなくなる」 バイエルン州の住民120万人の多くはカトリック教徒。自分たちはプロテスタントの「冷酷な北部人」とは違うという意識がある。1866年の戦争でバイエルンはプロイセン主導のドイツ帝国の一部となったが、多くの住民がドイツ統一依然の伝統文化を誇りにしている。(p.32-p.33)
1-13. 【南チロル(イタリア)】
この地方は第一次世界大戦後にイタリアに割譲されたが、今もオーストリア帝国時代の面影を色濃く残す。住民50万人の約60%は、イタリア語と並んでこの地方の公用語になっているドイツ語を母語とする。昨年の世論調査では分離独立を支持する人が46%に上まわった。経済的豊かさを謳歌するチロル地方にとっては、出口の見えないイタリアの経済危機は足かせにほかならない。「スコットランドと南チロルの独立は実現可能なだけではない」と、南チロル自由党の地方議員ベルンハルト・ジンマーホッファーは言う。「避けて通れない歴史の必然だ」(p.33)
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