極右政党
[スレッド一覧]
[返信投稿]
[▼下に]
1 manolo 2014-04-20 23:53:09 [画像] [PC]
出典:『ニューズウィーク日本版』/4/22/2014/「極右の台頭が欧州の夢を脅かす」p.17
1-1.
ヨーロッパ各地で最近、選挙や世論調査が行われるたび、繰り返し取り上げられる言葉がある。「極右の台頭」だ。今月6日に行われたハンガリーの議会選挙では、露骨な反ユダヤ主義などを掲げる極右政党ヨッビクが全国比例で21%の得票率を獲得。初の国会進出を果たした2010年の前回選挙から大きく支持を伸ばした。先月末のフランス統一地方選でも、右派の国民戦線が10以上の都市で第1党となるなど躍進した。同党はユーロからの離脱や反移民を打ち出しており、昨年からは共通する公約を掲げるオランダの自由党をはじめ他の欧州諸国の極右政党と連携する動きも見せ始めている。
2 manolo 2014-04-20 23:54:29 [PC]
1-2.
彼らが次の目標としているのは、5月下旬に予定されている欧州議会選挙(定数766)。EU加盟各国で投票が実施され、有権者が自国から欧州議会に送り込む議員を直接選ぶこの選挙は5年ごとに行われる。今年の選挙では、国民戦線や自由党のような極右政党が大きく議席を増やすとみられている。オーストリアやイギリス、ベルギー、ギリシャ、イタリアなど、反EUを公約に掲げる政党が多数の議席を獲得しそうな国はいくつもある。欧州議会では7カ国から25人の議員を集めれば新しく会派を作ることができる。EU懐疑派の新会派ができれば、彼らの影響力は高まるだろう。
1-3.
EU懐疑派が台頭する背景にあるのは、ユーロ危機の余波に苦しむ各国の経済状況だ。高い失業率や低賃金に悩む人々の怒りの矛先は、ドイツ主導の緊縮財政政策や、他国から来て自分たちの職を奪う(ように見える)移民に向けられる。その結果そうした現状を招いたとしてEUへの反発が強まっている。EUは欧州で繰り返された大戦の悲劇を繰り返さぬよう、各国の連携強化を目指して作られた組織だ。それがヨーロッパの人々の選択によって崩壊の危機を迎えるとしたら――。そもそもEU崩壊をもくろむ議員が欧州議会に当選するのが、皮肉な話なのだが。
3 manolo 2014-04-21 00:59:25 [PC]
出典:『ニューズウィーク日本版』/4/1/2014/「フランス政教分離が危機に」pp.40〜41
2-1.
保護貿易、移民排斥、反ムスリム、反ユーロ――フランス国民の3分の1が、こうした右翼的な政策を支持しているとなれば、この国は大きな問題を抱えているということだ。ルモンド紙が2月に行った調査で、極右政党「国民戦線」の政策に共感すると答えた人は34%に上った。マリーヌ・ルペン党首率いる国民戦線は昨年来、急速に支持を拡大。特に高齢者や24歳未満の若者に人気だ。党執行部は、今月下旬に行われる各地の市長選挙のうち、少なくとも15の都市で勝利を収める可能性があると強気だ。5月に予定されている欧州議会選挙でも、国民戦線の議席数の増加が予想される。(p.40)
2-2.
ルペンは11月に、路上で礼拝するイスラム教徒たちはかつてフランスを占領したナチスと同じだと発言したような人物。そんな差別主義者が党首を務める国民戦線は、フランスの「イスラム化」はごめんだと叫び、少数民族のロマの排斥や通貨フランの復活を訴える。リベラル派や穏健派は、フランスの政治や社会が崩壊しつつあると動揺の色を隠さない。市長選を目前に控え、与党・社会党は国民戦線に票が流れるのではないかと懸念している。かつては取るに足らない存在だった極右政党の台頭は、フランス革命の理想と相反するものだ。自由、平等、友愛の精神だけでなく、「ライシテ」と呼ばれる政教分離の原則も脅かされている。極右の政治家たちは、信教の自由をうたった1789年のフランス人権宣言や、国家と教会の分離を定めた1905年制定の法律などで受け継がれてきたライシテの撤廃をもくろんでいる。(p.40)
4 manolo 2014-04-21 01:42:37 [PC]
2-3.
世論調査機関IFOPの調べでは、極右の過激なイデオロギーはフランスで市民権を得つつある。イスラム教徒とユダヤ人の人口がヨーロッパ最大規模であるこの国で、55%が「移民が多過ぎる」「ムスリムに権利を与えすぎだ」という国民戦線の考え方を支持した。国民戦線は国内での人気を追い風に、他の欧州諸国の極右政党と同盟を結んでいる。オランダの自由党とは5月の欧州議会選挙で協力することで合意した。国民の3分の1が心が極右に向かいつつあるのと同時に、イスラム過激派に傾倒する人たちが目立つ。時に右翼とイスラム原理主義者が徒党を組むこともある。初等教育で男女平等を教えることの義務化に反発するイスラム原理主義者と、超保守のカトリック教徒(国民戦線の支持層)は、一緒にデモに参加するなどの活動を行っている。(pp.40-41)
2-4. 【職場の「世俗主義」を徹底】
フランス政府によれば、約700人の若者が内戦の続くシリアへ飛び、彼らにとっての「聖戦」に参加しているという。その多くがイスラム教に改宗し、過激派思想に傾倒する若者たちだ。(p41)
2-5.
一方、極端な思想と一線を画し、「中道」を歩む人々もいる。パリ北部のセーヌ・サンドニ県の移民が住む地域に、パブレクという大きなリサイクル企業がある。従業員は4000人で、多くがムスリムだ。同社はジャンリュック・プティフギューニンCEOの要請で、職場における「世俗主義と多様性の憲章」を制定。イスラム教徒のスカーフ着用を禁止し、礼拝のための部屋も設けていない。「宗教原理主義者の台頭を心から心配している」と、プティフギューニンは保守系週刊誌レクスプレスに語った。「私の会社には宗教紛争で苦しんだ人もいる。原理主義の圧力から守ってほしいという従業員もいる」 スカーフや体全体を覆うベールの着用の強要を恐れている女性従業員もいるという。禁止令がなければ、ひと握りの厳格なムスリムからそのようなプレッシャーを受けかねない。(p.41)
5 manolo 2014-04-30 23:25:52 [PC]
2-6.
一見厳しくみえるパプレクの憲章だが、すべての従業員から支持され、ムスリム社会の指導者や研究者の間でも高く評価されている。社員が職場の宗教的プレッシャーから解放されるだけでなく、ムスリムを敵視する右翼や差別主義者とのいらぬ対立も避けられるからだ(スカーフの着用や礼拝といった分かりやすい行為は、反ムスリムに攻撃材料を与えることになる)。ストラスブール経営大学イザベラ・バース学部長は、職場での宗教に関する憲章についてこう評価している。「仕事と信仰の折り合いをうまくつけられる『声なき大多数』を、ひと握りの声高な人たちから守るためのものであることが多い」(p.41)
2-7.
とはいえパプレクの憲章は、民間企業における個人の自由と権利を守るフランスの法律の下では無効になり得る。これについて、プティフギューニンは残念だと語る。彼に言わせれば、フランスにはすでに世俗主義の伝統がある。だからこそ、多くの人種や民族、宗教が集まる社会で、緊張が紛争に発展することなくやってこれたのだと。10年前、ジャック・シラク元大統領は公立学校でのスカーフやベールを禁止する法律を提唱し、世界的なニュースになった。物議を醸した法案だが、以外と順調に制定・施行に至り、公立学校から娘を退学させたムスリム家庭もわずかだった。現在、社会党政権はスカーフ禁止法をさらに強化するような動きに出ている。昨年9月、政教分離をうたう「ライシテ」がフランス人の基本的価値であり原則であると記した「世俗憲章」が公立学校に導入された。(p.41)
2-8.【声なき大多数を守るため】
その狙いは、男女別のクラスやイスラム教にのっとったハラル食の提供を求める保護者からの圧力をかわすことだと、専門家はみている。性教育や進化論の授業を拒む生徒たちに対し、断固たる態度をとるという意味合いもあったのだろう。ただし、こうした政策は慎重に進める必要がある。自分たちだけがターゲットになっているとムスリムが不公平感を抱き、異教徒間の緊張をかえって高めてしまう可能性もあるからだ。それでもパプレクのケースでは、多数のムスリムたちが世俗主義の方針を支持した。(p.41)
6 manolo 2014-04-30 23:26:38 [PC]
2-9.
ヨーロッパには今、暴力に発展しかねない移民排斥感情が渦巻いている。ムスリムに対する偏見も根強い。そのような差別主義の波を抑えていくには、異なる宗教に敬意を払う憲章や合理的な法律が必要だ。それは同時に、ひと握りの過激派とは違う世界観を持つ、声なき大多数を守るようなものでなくてはならない。(p.41)
[スレッド一覧]
[返信投稿]
[▲上に]
[管理ページ]
もっとき*掲示板