肥満
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1 manolo 2013-10-10 17:30:54 [画像] [PC]
出典:『よくわかる健康心理学』、森和代他編、8/20/2012、ミネルヴァ書房(「IV-6. 肥満」、岸太一)pp.100-101
1-1. 1. 肥満とは
厚生労働省による平成21年国民健康・栄養調査結果の概要によれば、成人全体の肥満者の割合は、男性30.5%、女性が20.8%であると報告されています。「健康21」の目標値には20-60台の男性肥満者を15%以下に、40−60代の女性の肥満者を20%以下にすることが挙げられていますが、男性肥満者の推移は増加傾向をたどり、目標値に届いていません。女性の肥満者は減少傾向を示していますが、目標は達成されていません。(p.100)
2 manolo 2013-10-10 18:03:33 [PC]
1-2.
ところで、「肥満」とはどういう状態をいうのでしょうか?。肥満とは「体脂肪が必要以上に多く蓄積された状態」といえます。体脂肪がどれだけ体に蓄積しているかを示す体脂肪率によって肥満の判定が行われますが、現在は男性で20%、女性で30%以上の体脂肪率の状態を肥満と呼んでいます。しかし、体脂肪率を直接測るのは難しいので*BMIを肥満の判定に用いるのが一般的です。日本肥満学会ではBMI25以上を肥満としており、さらに肥満を**4段階に分けています。肥満の原因としては、高カロリーの食事と運動不足によるカロリー収支のアンバランス(摂取カロリー>消費カロリー)がまず挙げられますが、遺伝的要因も指摘されています。(p.100)
*BMI
「Body Mass Index(ボディ・マス・インデックス)」。国際的な体格の判定方法。算出方法は、体重(kg)を身長(m)の2乗で割る。(p.100)
**肥満症
BMI125以上の肥満者のうち、肥満に起因または関連する健康障害を合併しているか合併が予測され、減量が必要な病態である場合、肥満症と診断される。肥満に関連する健康障害には、2型糖尿病、高血圧、脳梗塞、脂肪肝などが含まれる。(p.100)
1-3. 2. なぜ肥満は問題なのか
これまでの多くの研究から、肥満は生活習慣病を始め、さまざまな病気を引き起こす「危険因子」であることがわかっています。たとえば、2型糖尿病は肥満との関連が指摘されており。肥満の人は普通体重の人に比べて、インスリンのブドウ糖(血糖)分解能力が低下していることが明らかになっています。また、肥満は「脂肪という名の荷物」を抱えている状態ですから、階段の昇り降りなどの際に関節にかかる負担は大きく、その結果腰痛を引き起こしたり、関節が変形したりします。その他にも脳梗塞、冠動脈疾患、睡眠時無呼吸症候群、月経異常などの危険因子となっており、肥満はさまざまな病気を引き起こす要因なのです。(pp.100-101)
参考資料「肥満の判定基準(日本肥満学会)」
BMI 判定 WHO基準
18.5 未満 低体重 Underweight
18.5以上25未満 普通体重 Normal range
25以上30未満 肥満(1度) Preobese
30以上35未満 肥満(2度) Obese class I
35以上40未満 肥満(3度) Obese class II
40以上 肥満(4度) Obese class III
(p.101)
3 manolo 2013-10-10 18:25:37 [PC]
1-4. 3. 肥満を解消するには
このような肥満は私たちの健康にとって非常に大きな問題です。そのため、さまざまな肥満解消のための取り組みが考え出されてきました。しかし、肥満解消はなかなか難しく、どのような方法を用いたとしても、体重を減らし、5年以上その状態を維持している人は5%ほどしかいない、と言われています。肥満予防教育や適切な食習慣、運動習慣の形成などによって、適正体重を維持し、肥満を防ぐということがまず大事です。(p.101)
1-5.
肥満の状態にある人が体重を減少させるためには行動療法や認知行動療法といった方法が有効であるとされています。これらの方法では、@現在の状態(体重、BMI、食習慣、運動習慣)の把握、A具体的な目標の設定(例:1年後の体重をOOkgにする)、B食事(摂取カロリーの制限)および運動(消費カロリーの増大)、C定期的なチェック(例:決められた日に体重測定を行う)、といった手続きを基本として、それぞれのケースに応じた*さまざまな技法を用いて体重の減少を図ります。まずは現状を把握して、問題のある生活習慣を改善する、というのが肥満解消の基本的枠組みになります。
*肥満解消の技法例(一部)
名称 具体的内容の例
オペラント強化 体重が減少したらゲームができる
自己監視 毎日の食事、運動、体重の記録をつける
反応妨害法 食べたくなったときに食事以外の行動をとる
(読書、軽い運動など)
ソーシャル 低カロリーの食事を作ってもらう、一緒に運動
サポート をする
刺激統制法 必要な時以外にはスーパーやコンビニに行かない
(p.101)
1-6.
なお、肥満解消に向けての取り組みを行う際にはいくつかの注意があります。それは、@減量の必要性をきちんと認識する(意義・目的の明確化)、A食事の改善と運動の両方を行う(片方だけではあまり効果が期待できない)。Bゆっくりではあるが確実な減量を心がける(半年で10%程度)、C長期間にわたって遂行可能な内容(食事管理・運動)にする、といったものです。これらの点に注意しながら、無理のない計画を立てて体重を減少させることが挫折を防ぐ意味でも重要になります。(p.101)
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