宗教と中絶
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1 manolo 2013-10-17 19:11:50 [画像] [PC]
出典:朝日新聞、8/13/2013、(「世界発2013 イラン、闇の中絶横行 未婚禁ずるイスラム、現実とずれ」朝日新聞、p.6
1-1.
中東イランで未婚女性の人工中絶がとまらない。イスラム教の戒律に基づけば、結婚していない男女の交際は「御法度」だが、自由恋愛に目覚めた若者たちの意識を縛れなくなっている。宗教体制が求める理想との溝は広がるばかりだ。「両親にも親友にも相談できず、自殺も考えた。宗教が強制されるこの国を恨んだ。」 電子メールを通じて取材に応じた首都テヘランの女性(25)は、大学生だった3年前、望まない妊娠をした。相手は同級生。「一緒に勉強しようと彼の家に誘われた。酒を飲み、音楽に合わせて踊るうちに関係を持ってしまった」。2人とも避妊の知識はなかった。
2 manolo 2013-10-17 19:14:24 [PC]
1-2.
イスラムの教えを国の礎とする同国では、夫婦以外の性行為は「姦通罪」に問われかねない。既婚者の場合は石打ちによる死刑、未婚者ならむち打ちが科されることもある。この女性は中絶手術を受けるため15の病院を訪れたが、どこも断られた。法律で、中絶手術は母体に悪影響がある場合に限られているためだ。悩んだ末、テヘラン市内の薬の闇市場で密売人から10粒の中絶薬と注射薬を買った。代金の500万リアル(約2万円)は交際相手がアルバイトで稼いだ。「錠剤を飲み、自分で静脈に注射した。3日間、出血がとまらなかった」。病院に駆け込み、ようやく手術を受けることができた。
1-3.
昨年10月、別の男性と結婚したが、子供に恵まれない。「中絶がいけなかったのか」と悔やみつつ、街中でデートする未婚のカップルを取り締まる警察にも怒りが沸く。「男女に家の中で会えと勧めているようなもので、不健全な関係を助長している。逆効果だ」
1-4. 【年8万件、8割違法】
研究者によると、イランでは年間8万件の中絶手術が行われ、その8割は未婚女性を中心とする違法なもの。薬による流産などを含めると、人工中絶の件数はさらに増えるという。無免許で手術を引き受ける者も多く、技術の未熟さから不妊になる女性も少なくない。その場合、女性は泣き寝入りするしかない。毎月5〜6人の未婚女性を手術するというある産科医は取材に、「女性と生まれてくる子どもを不幸にさせないためだ」と弁解した。
1-5.
背景には、未婚女性が出産しても出生届が受理されず、子供が無国籍扱いになる現実がある。イスラムの教えは家族関係を重視するため、イランではそもそも未婚女性が出産する事態は想定されていないのだ。中絶できなかった未婚の親は最終的に、赤ん坊を捨てたり、孤児院に預けたりするしかない。テヘラン北部のアメネ孤児院では生後数か月から7歳まで約300人が暮らす。その7割は、夫婦でない男女の間で生まれたという。
3 manolo 2013-10-17 19:16:23 [PC]
1-6. 【教育改革で恋愛増え】
イランには伝統的に見合い結婚が主流だったが、1979年のイラン・イスラム革命で成立した現体制は教育を推進。大学の学部・大学院生の6割以上を女子が占めるようになり、女性の社会進出が進むと、恋愛結婚も徐々に増えてきた。街中でのデートは認められていないが、無視するカップルもちらほら見かける。「教え子のほぼ全員が誰かと付き合い、ひそかに同居する学生も増えている。親世代と違い、伝統や宗教にとらわれず自由奔放に生きる願望が強い。」 規制はあるが、インターネットや衛星放送で欧米の生活習慣が入り込んだことも影響しているようだ。
1-7.
だが、宗教支配という「建前」が政府の手足を縛る。ハミドレザ・シルモハンマディ医師(42)によると、学校の性教育は「結婚するまで異性と付き合ってはならない」といった宗教の価値観に基づく話をする程度。具体的な内容は「タブー」とみなされ、踏み込めないのが現状だ。
1-8.
8月、大統領に就任したロハニ師は「国民の自由を取り戻す」と訴え、宗教色を嫌う若者たちの圧倒的な支持を得た。シルモハンマディは「性の問題を『タブー』として放置するのではなく、専門家のチームを立ち上げ、教育分野でも現実を見据えた対策を取ってほしい」と注文をつけた。
【キーワード】<イスラム教と男女交際>
イスラム世界では親族以外の男性と女性の接触は制限されており、未婚男女の自由交際はあり得ないものとされる。イランでは公の場での「男女隔離」が徹底されており、小学校から高校まで別学。大学は共学が基本だが、男女別授業を導入するところもある。
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