特定秘密保護法
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1 manolo 2013-10-24 00:57:33 [画像] [PC]

出典: MSN産経ニュース、8/27/2013(「秘密保全法案の概要判明 公務員に最高懲役10年」)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130827/plc13082722430021-n1.htm

1-1.
 政府が国の機密情報を漏らした国家公務員らへの罰則強化を盛り込む「特定秘密保護法案」の概要が27日、分かった。「防衛」「外交」「安全脅威活動の防止」「テロ活動防止」の4分類に関する事項のうち「特段の秘匿の必要性」がある機密を「特定秘密」に指定する。特定秘密を漏らした国家公務員らには最高で懲役10年を科し、厳罰化を図る。政府は、外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)を年内に発足させる方針。米国のNSCなどと機密情報の共有を活性化させるためには秘密保全法制の強化が不可欠としている。

2 manolo 2013-10-24 00:59:08 [PC]

1-2.
 各府省の大臣らは、特定秘密の対象を指定、秘密を取り扱う国家公務員の範囲を定める。罰則は「日米相互防衛援助協定(MDA)等に伴う秘密保護法」の最高刑が懲役10年であることを踏襲した。民間人に対しても、特定秘密を得るために(1)あざむき・暴行・脅迫(2)窃取(3)施設侵入(4)不正アクセス−の行為をすれば最高で懲役10年。共謀や教唆、扇動も処罰対象となる。一方、言論・報道の自由や国民の知る権利が損なわれるとの懸念もあるため、法案には拡大解釈や基本的人権の侵害を禁じる規定も盛り込む。

1-3.
 安倍晋三首相は秘密保護担当相を森雅子少子化担当相に兼任させる。政府は10月召集予定の臨時国会に法案の成立を目指す。自民党も27日、「インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム」を開き、法案を議論した。

3 manolo 2013-10-24 01:09:02 [PC]

出典:朝日新聞、10/19/2013、(「耕論 何が秘密?それは秘密」)p.17

2-1.
 あれも秘密、これも秘密。国家が秘密と指定すれば、国民は何が秘密かもわからない。そんな特定秘密保護法案が国会に提出される。秘密と社会、そして権力とは何かを考える。

2-2. 【塚越健司さん 専修大非常勤講師、「自由との境界線、監視せよ」】
 権力が情報を統制し、自国民を監視するのは世界の潮流です。米国の国家安全保障局(NSA)がテロ対策でネット上の個人情報を極秘のプログラムで収集したうえ、協力要請されたグーグルやフェイスブックは要請の事実さえも公表できないことが明るみに出ました。テロ対策の必要性を理解する米国民でさえ、「ここまでやるのか」という衝撃を受けています。ただしオバマ大統領が、「安全保障とプライバシーの両立はできない」と語ったように、NSAは事件を既成事実にして、監視を続ける可能性があります。

2-3.
 国会に提出される特別秘密保護法案は、秘密に指定した情報を秘匿する期間を上限5年間から何年でも更新できる。30年超の更新は内閣の承認を義務づける方向ですが、社会学者の宮台真司さんが、「鍵の掛った箱の中の鍵」と指摘したように、政府が何を秘密にするか、いつ開示するかの鍵を握る以上いくらでも恣意的に操作できます。

2-4.
 報道の自由や取材の自由への配慮は明記するようですが、たとえ法律にどんなに政府を縛るルールを書き込んだとしても実効性は担保されないでしょう。漏洩に関わった疑いをかけられれば、公務員や取材記者が監視され、取材を受けた政治家にも跳ね返ってきます。成立すれば法律を根拠に官僚が大きな権力を握る事実に、国会議員が気づくかどうかですが、法案は成立する可能性が高いでしょう。

4 manolo 2013-10-24 01:14:24 [PC]

2-5.
 政府がどこまでを秘密に指定し、どこまでを公開するかという慎重な議論とともに国民的な合意と権力の監視が必要です。NSAの問題が提起した自由と安全保障の境界線をどこに引くかという議論です。NSAの問題を告発した中央情報局(CIA)の元職員スノーデン氏は、もともと米軍に自分ら志願した人物です。政府の不正行為に自分が加担することで「米国本来の姿ではない」と思った。国を愛するがゆえに、政府の不正をただすために告発に踏み切った。気概のある自律した人物の覚悟が、逆説的に米国の民主主義がまだ機能していることを示しました。自分たちが権力をつくりあげている思想が根付いているから、国民も「気を付けないと権力は暴走する」とわかっているのです。

2-6.
 日本では国民も政府も主体性がなく、誰かが決めてくれればよいという集団主義的な姿勢になりがちです。でも社会心理学者の山岸俊男さんは、日本人はひとたび集団を離れれば、米国人以上に個人主義を重んじると指摘している。集団主義は社会環境に原因があるわけです。明治維新を遂げた人々が西洋列強の干渉を拒み、自律を志向したのは当時の世界情勢の影響もあった。現代の日本も環境の変化に対応し、集団主義から自律した社会へと変わる可能性が十分にあります。

2-7. 【原田宏二さん 元北海道警釧路方面本部長、「情報収集、無制限に広がる」】
 あちこちの大学に招かれて、「監視社会と警察」といったテーマで講義をしています。「みんなが使っているスマホの通信履歴なんて、警察は簡単に取れるんだよ」と話すと、学生たちはびっくりする。警察のことをよく知らないし、ふだん興味もないでしょうからね。

2-8.
 コンビニの監視カメラに映った映像が「容疑者」としてメディアで流れます。あれ、警察はちゃんと裁判所から令状をもらったうえで提出させていると思いますか?実際は「捜査関係事項照会書」を使っているはずです。紙っぺら1枚の任意捜査だから断ることもできます。しかし警察が怖いのか、協力する。すでに金融機関の預金情報や顔の画像データなどが、どんどん警察に集まるような社会になりつつあります。

5 manolo 2013-10-24 01:17:38 [PC]

2-9.
 そこへ今回の法案です、秘匿の対象とされる分野は、防衛と外交だけではありません。警察が関わる「特定有害活動の防止」と「テロ活動の防止」は私たちに身近な問題です。刑事警察は、具体的な事件を摘発するために捜査をしますね。ところがスパイやテロの対策を受け持つ警備・公安警察は、具体的な事件性が見える前の段階で「そこまでやるか」というほどの情報収集をする。罰則も付く秘密保護法はそれにお墨付きを与えかねません。テロ対策を理由に、個人方法の収集が無制限に広がる恐れがあります。例えば、原発はテロに狙われる恐れがある、として「特定秘密」扱いになる可能性が高い。すると、原発関連の情報公開請求をするような市民やオンブズマンが情報収集の対象になる可能性もありますよ。

2-10.
 私が9年前、北海道警が裏金をつくり、幹部が私的に流用していた実態を告発しました。そのため、尾行されたこともあります。たぶん公安でしょう。もし秘密保護法があったら会計書類も「テロ対策」に関連するとして、私は摘発されていたかもしれませんね。「特定秘密」の範囲は、警察トップがいくらでも恣意的に決められますから。

2-11.
 かつて警察の中で警備・公安は花形でした。ところが重要な監視対象だった過激派などは次々と衰退していった。そんなときに起きたのが、2011年の米同時多発テロです。「国際テロ対策」は警備・公安にとって錦の御旗になり、インターネットなどの監視システムが徐々に構築されていきました。そしてついに、秘密保護法案が姿を現した。その先にある改憲の一里塚だと私は見ています。いま着々と、自由のない社会に向かっているんじゃないでしょうか?市民はあまりに無関心で、無防備に思えます。権力に向かうべきメディアの責任も大きい。自らの使命の自覚が足りないから、こんな法案が堂々と出てくるのです。

6 manolo 2013-10-24 01:20:03 [PC]

2-12. 【中井洽さん 元国家公安委員長、「役人の暴走、大臣気付くか」】
 鳩山内閣の国家公安委員長をしていた2010年3月来日した米国のナポリターノ国土安全保障長官が「日本はなぜ秘密保護法を制定しないのですか。米国と日本との情報交換が深まりません」と迫られた。私は「僕個人は賛成ですし、必要があると思っています。政権公約には書いてあるのでやらなければいけません」と答えました。

2-13.
 羽田内閣の法相の時に、法務省の職員が一定期間、米国の人工衛星による情報を首相官邸に届けていました。なぜ「法務省の職員がやるのか」と問いただしたら、「米国からもたらされた情報を公にしてしまった政府の職員がいたため担当を外した。以後、正規ルートを迂回させて首相に情報を届けることになった」という説明でした。そのくらい日米にとって、ナーバスな問題なんです。

2-14.
 10年の尖閣諸島沖の漁船衝突事件で海上保安庁が撮影したビデオを公開するかも問題でした。私は衆院予算委員長に就任したばかりで、当時の仙谷由人官房長官が「ビデオの取り扱いは慎重にしてほしい」と頼んできました。鈴木久泰海上保安庁長官も「海保がビデオをどのように撮影しているのか、角度などから中国側にわかられてしまう」という。これは理屈として通っていると思いました。しかも事件は中国人船長を処分保留で釈放しただけで刑事手続きが終わっていなかった。事件の証拠を公判前に公表するのは問題があると判断し、委員会を非公開にしました。

2-15.
 ところが、鈴木長官が「ビデオは3本しかなく、金庫に保管している」と説明したのに実際には職員1万人が見られる状態にあった。結局ユーチューブに投稿された。海保には秘密保持のルールがないのと一緒です。法整備は必要だが、秘密に触れる職員は地方の警察官を含めると10万人規模になってしまうのではないか。すべてを法案で統制できるか疑問です。

7 manolo 2013-10-24 01:21:00 [PC]

2-16.
 役人の恣意的な運用の懸念もあります。週1回の公安委員会で事務局が大臣に説明に来る文書には、「部外秘」「記者会見での発表禁止」と指定してあった。私は「誰が決めているのか。君ら部下が上司に命令するとは何事だ」と文句を言うと、翌週から「部外秘でお願いします」と直してきましたが。

2-17.
 法案では、大臣が秘密を指定する仕組みになっていますが、実際には担当部署が勝手に決めてしまう可能性が高い。大臣に見せもしない文書もあるでしょう。拉致担当相として日朝首脳会談のやりとりを記した文書を見たいといったら外務省から拒否されたこともある。コロコロ代わる大臣に全部秘密を見せるのかというのが役人の本音ですよ。よほど大臣が目を光らせないといけなくなるでしょう。


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