国際NGO
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1 manolo 2013-09-01 13:08:25 [画像] [PC]
出典:『よくわかる国際社会学』、樽本英樹、ミネルヴァ書房、7/5/2009、(IV-1.「新しい政治アクターとしての国際NGO」)
、pp.118-121
1-1.
グローバルな問題が噴出し、国家や国際機関だけでは解決しきれなくなっている中、国際NGOが新たな政治アクターとして注目されてきている。特に冷戦終結後、その団体数、活動分野、地理的な広がりなどで存在感を増し、途上国累積債務、地球温暖化、対人地雷廃絶、国際刑事裁判所設立などに具体的な成果を上げている。だが一方では、活動の正統性をいかに確保するかという課題も抱えている。(p.118)
1-2. 1. 国際NGOとは
様々なグローバルな問題が生じてくる中、国家および国際機関による既存の国際システムでは解決の難しい局面が多数出てきている。そこで注目されているのは、非政府組織(NGO)である。NGOの定義には定まったものは存在しない。とりあえず「非営利で活躍する政府でない組織」と捉えておこう。さらに、国境を越えた組織・ネットワークを持ち、グローバルな問題に対処するため国境を超えて活動しているNGOを、国際NGOと名付けておこう。今日国際NGOは、政治的に重要なアクターになったと言われている。しかし、どのような意味で重要なのだろうか。どのような役割を果たしているのであろうか。また、どのような問題を抱えているのであろうか。(p.118)
2 manolo 2013-09-01 13:19:29 [PC]
1-3. 2. 国際NGOの発展
国際NGOの起源は、18世紀の宗教団体による奴隷貿易廃止運動にまでいきつく。19世紀には赤十字国際委員会や労働者インターナショナルなどの活動があった。しかし国際NGOの活動が活発化したのは、第2次大戦以後である。国際連合(United Nations、UN)は国連憲章71条において、NGOがオブザーバーとして協議に参加することを認めた。中でも*経済社会理事会は、経済社会問題を活動領域とするNGOに、「協議的地位」(consultative status)などを与え、オブザーバーとしての参加や文書や口頭による意見発表などを認めるようになった。一方、経済社会問題以外の問題を討議する国連総会や安全保障理事会にはNGOは参加を許されなかった。特に安全保障は国家の専有事項だという認識があった。(p.118)
*経済社会理事会(Economic and Social Council、ECOSOC)
国際連合の主要機関のひとつとして、国連や専門機関の経済社会分野での活動を調整する。また、人権の尊重を奨励する役割も担う。(p.118)
1-4.
国際NGO活動がさらに盛んになったのは、冷戦が終結してからである。1992年リオデジャネイロにおける地球サミット(国連環境開発会議、UNCED)で、NGOが「オブザーバー」から「パートナー」に格上げされたことが、転機になったと言われる。その後、1993年国連人権会議、1995年国連社会開発会議、1995年4月国連女性会議で、NGOの参加が一般化し、国連開発計画(UNDP)、国連人口基金(UNFPA)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)など国連の専門機関も、NGOとの関係を強化していった。ちょうど国際機関が非軍事的課題に取り組む余裕ができ、各国の民主化が進む一方で政府や市場が様々な問題を解決できなくなっていた時期にあたる。(pp.118-119)
1-5. 3. 国際NGOの活発化
国際NGOの活発化はいくつかの側面から確かめられる。例えば、数の増大、地理的な分散、関係性の密度の高さ、活動分野の広がりは、その側面である。NGO一般と同じように、国際NGOも近年増大していることは間違いないだろう。ただ客観データは乏しい。国際組織連合(Union of International Association、UIA)の国際組織年間(Yearbook of International Organizations)を参照し、1980年代以降国際NGOが急増していると主張される。(p.119)
3 manolo 2013-09-01 13:22:24 [PC]
1-6.
国際NGOは活動拠点を地理的に広げてきているものの、過去の傾向を引きずり、現在でも先進諸国に事務局を置く組織が多い。特に活動のしやすさから、ブリュッセルやジュネーブを拠点にしている場合が多い。しかし、ラテンアメリカ諸国など第三世界諸国に事務局を置く国際NGOも増加してきている。この意味で、国際NGOは国際的な広がりを持ってきたと言える。国際NGOが、NGO間関係や国際組織、政府組織との関係を、近年特に密にしているという意見もあるけれども、裏付けるデータは乏しく、「関係」がそもそも何を指すかという問題もある。しかし例えば、1990年と2000年と比較すると、ひとつのNGOあたりが他の団体と結ぶ関係は倍になっているという考察もある。(p.119)
1-7.
活動分野も広がりを見せている。第2次大戦直後から人権や国際法・国際制度構築の分野で国際NGOは活動してきた。しかし1980年代以降、平和、女性、開発といった分野が新たに国際NGOの射程に加わり、さらに近年では環境に関わる国際NGOが急激に増加している。(p.119)
1-8. 4. 国際NGOの具体的展開
近年の活動を見ると、ネットワーク化した国際NGOの重要性がさらに認識できる。途上国累積債務問題、気候変動枠組条約および京都議定書、対人地雷全面禁止条約、国際刑事裁判所設立規定が顕著な例である。(p.119)
1-9.
途上国の累積債務問題を解決するため、1970年代末から国際NGOのネットワークが形成され、1990年代半ばにはこの問題とジュビリーという観念が組み合わされた。ジュビリーとは、キリスト教における50年に一度の特別な記念日である。特に記念となる2000年に途上国の債務を帳消しにして、新たな千年紀を始めようという問題設定がなされた。この運動を推進したのが、最終的に69か国の組織と166か国の個人から構成されたネットワーク、ジュビリー2000(Jubilee2000)である。1998年バーミンガム・サミットで7万人を動員した人間の鎖、1999年ケルン・サミットにおける抗議運動、IMFや世界銀行総裁の直接会談などの5年間の活動によって、債務削減が重要な政策議題であると債権国政府や国際金融機関に受容させた。(p.120)
4 manolo 2013-09-01 13:30:11 [PC]
1-10.
気候変動枠組条約(1992年署名)および京都議定書(1997年採択)は、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフロロカーボンといった温室効果ガスによる地球温暖化を防止する試みである。地球温暖化を憂う科学と、経済活動に足かせをはめたくない政治とのせめぎ合いの中で、1997年に73か国、約230のNGOで構成された気候行動ネットワーク(Climate Action Network、CAN)が、条約と議定書の各国間交渉過程に影響を与えた。ロビー活動によってアメリカ合衆国の反対を押し切り、「危険な人為的干渉を及ぼすことのない水準」に温室効果ガス濃度を安定化させることを条約の目的とした。CANの当初のもくろみまでは到達しなかったものの、条約と議定書の両方に温室効果ガスの削減目標や期限を盛り込むことに成功した。(p.120)
1-11.
対人地雷全面禁止条約(1997年署名)が対象とした対人地雷は、被害者が起爆させる「受動性」と敷設後も一般人に被害を与え続ける「遅動性」を持ち、過去50年間、国内紛争や内戦などで核兵器と化学兵器よりも死傷者を多く生み出してきた。地雷禁止国際キャンペーン(International Campaign to Ban Landmines、ICBL)は、まず1992年から「特定通常兵器使用禁止・制限条約(Convention on Conventional Weapon、CCW)の再検討会議の開催を要求した。しかし同会議が地雷全面禁止を実現できないことがでわかる、カナダ政府主導のいわゆる*オタワ・プロセスの出発点となる各国政府の会合を組織した。そして、アメリカ合衆国による修正案を押しとどめ、条約案を全面禁止の原則に近づけた。これが評価されICBLは1997年ノーベル平和賞を受賞している。(p.120)
*オタワ・プロセス(Ottawa Process)
国連において対人地雷の全面禁止がなかなか進展しない中、カナダ政府が国連とは別に国際会議を組織し、各国政府いたった1年ほどで全面禁止の条約に署名するよう迫り実現させた。NGOの代表が政府交渉に参加した点も画期的だった。(p.120)
5 manolo 2013-09-01 13:34:38 [PC]
1-12.
国際刑事裁判所(International Criminal Court)設立規定(1998年採択)は、国家を対象とした国際司法裁判所と異なり、重罪を犯した「個人」を起訴するための常設裁判所を目指したものである。この画期的な試みは、「自国民に対する自国の裁判管轄権」という原則に風穴をかけた。長年、国際的に取り組まれてきたもの、手続きが進んだのは、旧ユーゴ国際刑事裁判所(1993年設置)およびルワンダ国際刑事裁判所(1994年)が設置された頃であった。さらにいくつかの問題を乗り越えるため、国際刑事裁判所を求めるNGO連合(NGO Coalition for the International Criminal Court、CICC)が働きかけを行った。CICCは、まず同裁判所設立のための外交会議を後押しした。また、「同裁判所設立のために志を同じくする諸国」間で設立のための主要原則を策定させると共に、同裁判所の安保理からの独立、管轄権、検察官の独立性、検察官とNGOの協力について、同裁判所が実行力のある機関になるよう貢献をした。(pp.120-121)
1-13. 5. 国際NGOの課題
国際NGOの活動と意義を位置づけようと、「グローバル市民社会」(global civil society)、「トランスナショナルな社会運動組織」(transnational social movement organization)、「トランスナショナル・*アドボアカシー・ネットワーク」(transnational advocacy network)、「トランスナショナル市民社会」(transnational civil society)、グローバル社会運動(global social movements)といった概念がつくられた。(p.121)
*アドボカシー(advocacy)
新たな理念、規範、言説を持ち込んでイシューの再構成とアジェンダの設定をし、政策提言を行うこと。(p.121)
1-14.
しかし同時に、国際NGOはいくつかの課題も抱えている。
第1に、国際NGOは重要な政治アクターでありながらも、国際会議でオブザーバーに留まるなど、政治代表のような決定権を持たない。力を発揮できるのは、イシューが国際的に注目されており、安全国家保障などのハイ・ポリティクスではなく、交渉の初期段階から各政府や国際機関の政策担当者と密に接することができる場合に限られる。(p.121)
6 manolo 2013-09-01 13:35:15 [PC]
1-15.
第2に、国際NGOはいかなる意味で市民社会の代表なのか、政府は基本的には選挙などを通して国内で民主的な支持を受け、国際的な討議に参加する権限を得ている。一方NGOは、人々の代表性の件で弱い。そこで国際NGOが活動を正統化するためには、問題に対する情報や技能を政府以上に身につけること、各国の利害を超えた問題解決に向けた普遍的価値に根ざすこと、問題を解決し一定の成果を出すことが常に求められるのである。(p.121)
1-16.
第3に、普遍的価値の実現を追求する国際NGOも、第三世界の「市民社会」の社会編成と接触すると、資源の争奪戦や既存の社会的亀裂の増幅などで普遍的価値がゆがめられる可能性もある。(p.121)
1-17.
このように、いくつかの課題を抱えながらも、国際NGOは国境を超えた「公共性」に関わる問題を解決するための重要な政治アクターとして台頭し、国家を補完する形で国際システムを再編しているのである。(p.121)
7 manolo 2013-09-02 12:50:56 [PC]
出典: 『Understanding the Political World(10th Ed.)』、James N. Danziger、2011、Pearson Education
2-1. NGOs
The second type of international organizational is transnational nongovernmental organizations. NGOs are composed of nonstate actors (private individuals and groups) who work actively in a particular issue area to provide information, promote public policies, and even provide services that might otherwiase be provided by government. NGOs work with each other, with governments, and wtih IGOs [intergovernmental organizations] to address the full array of problems that cross state borders. Between 1960 and 2000, the number of NGOs active in at least three countries rose from 1,000 to more than 30,000. This includes about 5,000 majors NGOs that are very active in a large number of countries. Transnatinal NGOs, which enjoy higher public trust than either governments or business, are using new strategies of engagement with business and have a growing economic base (more than $1 trillion). They are "increasingly important in shaping national and international politics, governance processes and markets" and are "amongst the most influential institutions of the twenty-first century" (Elkington and Beloe 2003). (p.311)
2-2. NGOs are committed to furthering political and socials issues with transnational dimensions. Although their issues tend to be regional or global, the actions and effectivenss of national interest groups. These groups encourage concerned individuals, groups, and even the governments of others states to write letters, organize demonstrations or boycotts, or engage in other political actions to pressure a government or transnational actors to change its practices. (p.311)
2-3.
For examples, you might be aware, from media, mailings, or other information sources, of the environmental protection actions of Greenpeace, the animal preservation goals of the World Wildlife Federation, or the lobbying by the Union of Concerned Scientists to limit destructive tecnologies. Amnesty International, another well-known NGO, is concerned with protecting human rights and is engaged in campaigns to focus attention and pressure on governments that are violating the rights of their citizens. It is one of the leading NGOs among an expanding group of tranborder organizations that promote the protection of human rights. Often local movments of human rights activists coalesce with other outside their state's boundaries to promote this issues. (p.311)
8 manolo 2013-09-02 12:56:58 [PC]
(「国際NGO続き」)
2-4. The actions of some NGOs extend far beyond lobbying because they generate resources and actually deliver googs and services, such as the humanetarian medical services provided by Medecins sans Frontiers. With the globalization of communications and greater mobility, many other groups, advocacy networks, and social movements are able to engage in a mix of persuasion and action, although most operate in only a limited set of countires. And while many transnational actors are admired for their pursuit of nobole goals, some engage in illegal or violent activities that are relevant to states, such as the al-Qaeda terrorist network or international drug cartels. (pp.311-312)
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