格付け会社
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1 manolo 2013-02-06 01:41:56 [PC]

出典: 朝日、2/5/2013(夕)、pp.1~2

1-1. 米司法省は、2008年の金融危機のきっかけとなった住宅ローン関連証券について、不当に高い格付けを与えていたとして、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)を近く提訴する方針を決めた。金融危機を巡って、格付け会社の法的責任を米連邦政府が問う初のケースとなる。(p.1)

1-2. S&Pによると、司法省が問題にしているのは07年に同社がつけた債務担保証券(CDO)の格付け。CDOは、複数の住宅ロ−ンから得られる金利収入などを束ねた金融商品で、証券会社などが作って投資家らに販売した。CDOには低所得者向け(サブプライム)ローンも含まれていたが、S&Pは最上級の「AAA」を与えていた。しかし住宅バブルが崩壊してローンが焦げ付き、CDOの価格も大幅に落ちて、格付けを信用して購入した投資家が損失を被った。
(p.1)

1-3. こうした高い格付けは本来は信用が低いはずの証券に過大なに信用を与え、住宅ローン市場の膨張を招き、08年の金融危機を引き起こしたと非難されてきた。司法省は、高い格付けを与えた背景に、格付けを受ける顧客への営業的な配慮があったと指摘。不正取引をした金融機関に課徴金の支払いを命じる「金融機関再編成再生執行法」を初めて格付け会社に適用する。米国では、司法省が課徴金の支払いを求めるにあたり、民事訴訟の手続きを踏むのが通例。米メディアによると、司法省はS&Pに少なくとも10億ドル(役920億円)の支払いを求めて和解交渉をしていたが、先週決裂したという。S&Pは「米政府も当時、住宅ローン問題は封じ込められると言っていた」と強調。ライバル社も同様の格付けを与えていたとして「提訴は正当性を欠く」と争う姿勢を見せている。(p.1)

1-4. 【格付け会社】
国や企業が発行する債券や金融商品などについて、元本や金利が約束どおり支払われない債務不履行の確立を分析し、アルファベットなど簡単に記号でランク付けする。米S&P、米ムーディーズ・インベスターズ・サービス、欧米系フィッチ・レーティングスが代表的。(p.1)

2 manolo 2013-02-06 02:49:16 [PC]

1-5. 民間企業でありながら、金融商品の信用に絶大な影響力がある格付け会社には、どこまで法的責任があるのか。あいまいにされてきた問題に、米司法省が切り込もうとしている。(p.2)

1-6. S&Pなど有力な格付け会社は、米国の法律で「公認格付け機関」に認定され、法律は、銀行に自ら投資する際の参考に使うようにも求めている。一方、格付けが適切でなかった場合、どんな法的責任があるのかは明確でなかった。米金融危機の際も格付け会社は「誰もが得られる情報をもとに公正に格付けしていた」「格付けは単なる意見に過ぎず、責任は投資家の判断にある」と主張してきた。

1-7. ただ、多くの住宅ローン関連証券は中身が複雑で、そものそも「本当の信用を」を測るのが困難。それにもかかわらず最上級格付けを与えていたことについては、司法省が問題にしていた「顧客への配慮」があった疑念が消えない。格付け会社は、債券や証券を発行する側から代金を受け取る。格付け側とされる側が結びつき、最終的に投資家が不利益を被る「利益相反」の可能性が潜んでいる。裁判では、この仕組みそのものを問われることになりそうだ。(p.2)

1-8. 日本では、2010年に金融商品取引法が改正され、問題のあるか格付け会社に対し、金融庁が業務改善命令を出せるようになった。今回米司法省が訴えの根拠にしている「金融機関再編再生執行法」では、1件につき最大100万ドル(約9200万円)の民事課徴金が課される。米ジョージ・ワシントン大のジェフリ−・マンズ准教授は「(敗訴すれば)格付け会社の事業モデルは再考を余儀なくなくされる可能性がある」と話す。(p.2)

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