贖罪のエベレスト学園
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1 サラ 2021-06-02 11:50:14 [PC]
自由を無くしたくない一心で夢助が壁を叩く。
「出して、入学したく無い」
「夢美ちゃん、危ないからマンマの時以外出てきたら駄目だよ」
「何でこんな目に合わないといけないの」
「本当に心当たり無いののんきだね」
「え、まさか答案用紙入れ替えたのまだ根に持ってるの」
「他にこんな事する理由あると思う」
「ごめん許して」
「私ね。今の貴女の環境が楽園に思える様な暮らし5年してきたの。
それにね。あの答案用紙偽装でなくて貴女の答案用紙でしょ。そうなら入るべだったのは貴女です」
「何でもするから出して」
「なら5年前の真実を全てさらけ出して」
「それだけは勘弁して入学したく無い」
「身勝手ね」
昨日までは頼もしかった。保母ロボットが入ってくる。
「ムミチャンオウチニカエリマチュヨ」
「嫌だ。ここが家なの」
「イヤイヤスルコハオウチデチュ」
「違うの」
「イヤイヤシテマチュ」
「夢美ちゃん、駄々をこねる子は学校だよ」
「許して」
「あんな身勝手な子は許しません」
「申し訳ございません」
「何度言ったら分かるの。泣いて謝られてもダメなものはダメです」
送迎車が着くが夢助が座り込む。
「ブーブーニノリマチュヨ」
「嫌だ」
「何度も何度もしつこいわね」
「だって」
「イキマチュヨ」
「やだ引っ張らないで。痛い」
「アンヨデチュヨ」
「行きたくないの」
「駄目」
保母ロボットに抱っこされる。
「降ろして」
「駄々をこねてもこうなるだよ」
「ムミチャンメ」
「やだ」
「しつこいわね」
「違うのトイレ」
「夢美ちゃんのトイレはオムツです」
「ハッキシテマチュヨ」
送迎車のベビーベッドに閉じ込められて出発する。
「出して」
「チャイルドシートハナイナイデチュ」
「違うチャイルドシートも嫌」
「カエレマチェンヨ」
「車停めてトイレに寄ってよ」
「オウチデオムチュキレイキレイシマチュヨ」
「嫌だ。漏らしたくない」
徐々にオムツが黄色く染まり心も悲しみに染まっていく。
「嫌だよ。おしっこが止まらないよ」
「チーチーデチュネ」
「まだ残ってるのトイレ行かせて」
「チーチーシマチュヨ」
「もう全部出ちゃった」
「イイコデチュネ」
2 サラ 2021-06-02 12:21:00 [PC]
駐車する。
「オウチデチュヨ」
「一生赤ちゃんなんて嫌だ」
「イイコナラバイバイデキマチュヨ」
「無理だよ。恥ずかしい」
「ガンバリマチュヨ」
「うん」
「オリマチュヨ」
「嫌だ」
「イヤイヤチャンハバブチャンデチュヨ」
「出られないのも従うのもどっちも嫌」
「エランデクダチャイ」
「降りる」
降ろされて逃げようとするが迷子紐を着けられる。
「オソトハワンワントアンヨデチュヨ」
「迷子紐取って」
「アイタアイタニナリマチュヨ」
「嫌だ」
「ダッコシマチュヨ」
「歩く」
交換室につれ交換されそうになる。
「ゴロンシマチュヨ」
「嫌だ。たっちが良い」
「タッチニシマチュヨ」
「立つだったの」
「タッチガハナマルデチュヨ。ヌッギシマチュヨ」
「自分でやる」
「イッショニシマチョウネ」
「1人やる」
「イヤイヤニナリマチュヨ」
「失敗しないから」
手伝われて交換が終わる。
「ヌッギモハッキモハナマルデチュヨ」
「1人で出来たから」
「ムーチャンガハナマルデチュヨ」
「違うの」
「ワクワクノアンモニイキマチュヨ」
夢助が座り込む。
「お外嫌」
「アンモハワクワクデチュヨ」
「楽しく無い、恥ずかしい」
「オヘヤニモドリマチュカ」
「どっちも嫌」
ベビーカーに乗せられ連れ出される。
「コウエンニイキマチュヨ」
「嫌だ。降ろして」
「アンヨデチュカ」
「どれも嫌」
「イヤイヤハハズカシイデチュヨ」
周りの注目を集めている事に気づく。
「静かにします」
「ハナマルデチュヨ。チョウチョデチュヨ」
「はい」
「カーカーデチュヨ」
「はい」
公園に到着する。
「オトモダチタクサンイマチュネ」
「ブランコで遊びたい」
「タクサンアソベマチュヨ」
「空いてる所で沢山遊びたい」
3 サラ 2021-06-02 14:23:31 [PC]
ブランコ遊んでいた夢助はお腹がなる。
「モグモグシマチュヨ」
「はい」
「イイコデチュネ」
ベビーカーに乗せられベンチに移動する。
「おともだち沢山いる、そっち嫌」
「ムーチャンハオネエチャンデチュヨネ」
「そうなの、オムツ嫌、ベビーカー嫌、迷子紐も嫌なの」
「オネエチャンハイヤイヤセズニオクチチャックデチュ」
ベンチの前でベビーカーから降ろされる。
「チョンシマチュヨ」
「うん」
「チョンハナマルデチュヨ」
「恥ずかしい。他の場所が良い」
「オネエチャンノハズデチュヨネ」
「お座りします」
「ハナマルデチュヨ。オテテキレイキレイシマチュヨ」
「はい」
飲食が始まる。
「嫌だ。取手の無いコップしっかり持てるし、エプロンいらない」
「ヌレタラオヨウフクサンガエンエンデチュヨ」
「それでも嫌だ」
「オネエチャンハオヨウフクサンニモヤサシクシマチュヨ」
「お姉さんだけどどっちも嫌」
「バブチョンノマンマデチュカ」
「離乳食嫌」
「ムーチャンモグモグデキマチュカ」
「自分で食べる」
「サスガオネエチャンデチュネ」
その後もお姉ちゃん扱いされ続け抵抗しきれずに食べきりました。
「オトモダチニバイバイシマチュヨ」
「さようなら」
4 サラ 2021-06-02 15:37:24 [PC]
保護教育学校に戻りベビーカーから降ろされて個室に抱っこされ帰る。
「嫌だ。学校で過ごしたく無い、家に帰して」
「イヤイヤスルコハカエレマチェン」
「イヤイヤさせられてるの、したくてしてるんじゃないの」
「ナニガイヤデチュカ」
「幼児扱いが嫌」
「イイコニナルタメニアカチョンニナリマチュヨ」
「言って分からないなら脱ぐ」
「ヌッギハダメデチュヨ」
「こんなクソロボットの話なんて聞かない」
「サイショカラニナッチャイマチュヨ」
「無駄だよ。あっかんべー」
増援のロボットが来て抑え込まれる
「離して」
「ムーチャンハワルイコナノデ0チャイクラチュカラデチュ」
「手が動かないけど何着けたの、あんた」
「アカチョンミトンデチュ。0チャイハオテテガヘタデチュ」
「外して、0歳嫌」
「オクチトオテテノツカイカタヲレンチュウシマチュヨ」
「何巻き付けてるの動けないじゃない」
「オクルミデチュヨ」
「やめなさいよ」
「0チャイハネンネデチュヨ」
「おしゃぶりやめて」
「0チャイハシャベレマチェン」
5 サラ 2021-06-02 16:51:46 [PC]
暴れ疲れて眠る。
「あなた誰。なんで喋れるの」
「ここはあなたの心で意思疎通してるので伝わります。私はあなたの善意です」
「ならここから出して」
「すみません、私は現実に干渉出来ません」
「なんで出てきたのよ」
「現実を見つめ最善の方法を考える為です」
「抵抗するのが最善だと思うけど何か」
「夢美は暴れて出してもらえましたか」
「出られてないけど他にあるの」
「なんで一時帰宅出来ましたか」
「言わせないで」
「素直に過ごして卒業間近だったからですよね」
「そうだけど」
「あなたもそうしたらどうですか」
「こんな幼児扱い受け入れられる訳がないでしょうか」
「夢美は受け入れましたよ」
「夢美は夢美」
「それを言うとあなたはあなたで落第点を取っているのだから、受け入れなければならないです」
「過去を掘り返さないで」
「夢美は冤罪なのに受け入れました。あなたの粗悪な論理に自分の心ながら残念です」
「余計なお世話よ」
「自分の苦しみに気づいてあげてくださいよ。受け入れないと一生おくるみに包まれて過ごす事になりますが」
目が覚める。
「チーチータクチャンデチュネ」
「あー(やめて)」
「ゲンキデチュネ」
「おぎゃー(なんでめっちゃ悲しい)」
「ガラガラデチュヨ」
「やっとわたしに気づいてくれましたか」
「自分こんなに抱え込んでたの」
「だから昨日話したじゃないですか」
「気づかせてくれてありがとう。素直に過ごして卒業します」
6 サラ 2021-06-02 17:58:13 [PC]
10年が経過しました。
「オシャブリトリマチュヨ。オシャベリシテイイデチュヨ」
「え、悪い子でちゅよ」
「タクチャンオベンキョウシテイイコデチュヨ」
「ばいばいしていいでちゅか」
「バイバイノレンチュウシマチュヨ」
「まー」
「アエマチュヨ」
「むーちゃん、うれちいの」
「ホドキマチュヨ」
「たっちなの」
「アイタニナリマチュヨ」
「あれれ、たっちできない」
「ネンネシテタコハスグタッチハデキナイデチュヨ」
「いやいやだよ。帰れないよ」
「レンチュウチタラタッチデキマチュヨ」
「本当に」
「ホントデチュヨ」
「あんよのれんちゅうちたい」
赤ちゃんミトンも外される。
「オテテノレンチュウカラデチュヨ」
「にぎにぎは出来まちゅ」
「ツミキヲハイゾーゾチテクダチャイ」
「あれれ、にぎにぎ出来ない」
「ニギニギデキマチタカ」
「なんで、出来ないの」
「アンヨトオナジデチュヨ」
「れんちゅうちたい」
卒業決定から3ヶ月が経ちリハビリを積み重ねて、よちよちながら自分で歩けるようになり補助箸を使えば食事も自分で出来るようになり、卒業式を迎えました。
「たっち」
「モウチョットオスワリガンバロウネ」
「やーだ」
「ソツギョウショウショジュヨ」
「はいはいはい」
「タハラムミサン」
「はい」
「ガンバッタコトトカガカイテアルカラママニヨンデモラッテネ。リッパナオネエサンダヨ」
「ありがとう。先生」
「カイダンキヲツケテネ」
7 サラ 2021-06-02 18:15:50 [PC]
式を終えて友達と話し込む。
「ちゃんとあんよ出来て凄いよ。なーちゃん」
「むーちゃんこそちゃんと出来てたよ」
「むーちゃん、嬉しい」
「夢美ちゃん元気にお返事出来てたね」
「え、ねーね」
「迎えに来たよ」
「まー」
「お家だよ」
「まーが良い」
「帰ろうか」
「ねーねだいちゅき」
駐車場に移動する。
「どれ」
「赤いブーブーだよ」
「わーかわいい」
「良いでしょ。乗ろうか」
「ドア開けて」
「はいよっと」
「普通のおいちゅみちゃい座れないよ」
「あ、チャイルドシート後ろだった」
「あのおいちゅチャイルドチーチョて言うの」
「そうだよ。後ろ開けるね」
「いつものおいちゅ」
「座ってベルトしといて」
「先生が子どもはめ」
「あーだったね。着けるから」
しばらく走って家に帰り着く。
「ねーね早く」
「降ろすわよ」
「まー」
「おかえり」
「動かないでごっつんしちゃうよ」
「まーだもん」
ママに擦り寄る。
「お口が悪かった夢美ちゃんがこんな素直な甘えん坊になって」
「まーちゅきだもん」
「なんかお腹が生暖かいわね」
「ごめんなちゃい。ちーちーでちゃ」
「良いのよ。素直に謝ってくれるだけで嬉しいよ。素直な子は伸びしろだらけだよ」
「頑張っちゃら花丸たくちゃんになるの」
「絶対なるわよ」
28歳の幼児は愛情を注がれつつ大人への階段を少しずつ登っていくことにしたのでした。
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