正義論
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1 manolo 2014-01-13 23:18:32 [画像] [PC]
『よくわかる法哲学・法思想』、深田三徳・濱真一郎編著、ミネルヴァ書房、(「第1部 I-2 正義論の体系化:アリストテレス」)、戒能通弘、pp.6-7
1-1. 【1. アリストテレスの法思想】
アリストテレスの法思想を理解するには、彼の人間本性論の理解が必要である。よく知られているように、アリストテレスは、「人間は本性的にポリス的動物(ゾーオン・ポリティコン)である」と述べているが、それは、共同生活そしてポリス(都市国家)で生きることは、人間の本性に基づくという認識による。それ故、アリストテレスの法思想では、ソクラテス・プラトンと同様に、*ノモス(ポリス的法秩序)とピュシス(人間の自然)をソフィストのように対立的の捉え、後者によって、前者を批判、あるいは全否定するのではなく、その統一的な理解が展開されている。(p.6)
*ノモス(ポリス的法秩序)とピュシス(人間の自然)
ノモスは、現代の実定法的法秩序よりは、幅広いものとして捉えられるべきである。それは、ポリスにおいて伝統的に継承されてきたルールであり、現代における実定法のみでなく、道徳、あるいは、習俗をも含み、ポリス構成員の生活全般を規律するものであった。一方、ピュシスとは、人間の自然、本性的なものである。前項目で扱ったソフィストは、ノモスを恣意的なもので、ピュシスに反すると論じていたが、アリストテレスはこれに反論したのであった。(p.6)
22 manolo 2014-02-10 21:37:14 [PC]
5-5.
ロールズの提唱した正義原理のうちで、最も注目を集めたのが格差原理である。格差原理は、人々の生まれながらの才能は「偶然」のものであるという理由で、個々人の才能などを社会的共同資産と見なす。この理解によって、最も不利な状況にある人々への、国家による基本財の平等な分配に道が開かれる。基本財とは、権利と自由、機会と権力、富や所得、さらに自尊心などである。なお、格差原理は、アメリカで行われた積極的格差是正措置といった、平等主義な社会変革の正当化にも用いることができる。ロールズ自身は、そういった措置について何も語ってない。しかし、彼の格差原理が、彼の正義論以降の平等主義的リベラリズムの先駆をなしたことは間違いない。(p.109)
5-6.
正義原理の社会的諸制度への適用については、四段階順序の枠組みで説明がなされる。「原初状態」で選択された正義の二原理は、無知のヴェールが少し開かれた「憲法制定会議」において、人々の代表によって、立憲民主制、人権保障制度、法の支配、違憲立法審査制、代表民主制などの憲法制度へと具体化される(第一原理の適用)。「立法段階」では、機会の公正な均等という条件のもとで、最も不利な立場にいる人々の期待を最大化するための、個別のルールが立法化される(第二原理の適用)。「ルールの適用・遵守段階」では、個別のルールが、裁判官や行政官によって適用され、市民によって遵守される。(p.109)
5-7. 【3. 政治的リベラリズム】
1980年代以降のロールズは、正義原理を哲学的に基礎づけるのではなく、正義原理を政治的なコンセンサスによって表面的に支えるという、政治リベラリズムの構想を前面に打ち出している。立憲民主主義な政治文化には、互いに対立する宗教的・哲学的・道徳的な包括的諸説が、多元的に存在する。この多元性の事実を重く受け取るならば、正義原理を、特定の包括的教説によって哲学的に基礎づけることはできない。そこで、ロールズは正義原理を、対立する包括的諸教説を擁護する人々の間の、部分的に重なり合うコンセンサスによって支えられる、政治的構想(これは包括的教説と区別される)として提示するのである。(p.109)
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