セクシャル・マイノリティ
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1 manolo 2013-12-03 06:05:00 [画像] [PC]
出典:『よくわかるジェンダー・スタディーズ ―人文社会科学から自然科学まで−』、木村涼子他編著、ミネルヴァ書房、3/30/2013、「III-1. セクシュアル・マイノリティ」、pp.186-187
1-1. 【1.セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)とは誰か】
1960年代の米国で起こったさまざまなマイノリティ(少数者)運動に倣い、社会における多数者の性のありようとは異なる、統計学上の少数者という意味で使われているのが「セクシュアル・マイノリティ」という言葉です。しかし、単に多数者のありようとは異なるというのでは、たとえば小児性愛者なども含まれることになってしまいます。そういった問題を回避するうえでも、また他者からの「名づけ」ではない言葉で自分たちが表現するという意味でも、最近は英語圏を中心に、セクシュアル・マイノリティにかえてLGBTという用語が頻用されています。(p.186)
1-2.
LGBTは、Lesbian=レズビアン(女性同性愛者)、Gay=ゲイ(男性同性愛者)、Bisexual=バイセクシュアル(両性愛者)、Transsexual/Transgender=トランスセクシュアル/トランスジェンダーの頭文字の集合体であり、この他にも、生物学的・解剖学的レベルで男女に非典型的な特徴を持つひとびとの総称であるインターセクシュアル=Intersexualや、好きになった相手を性的対象とはみなさないひとびとをあらわす*エイセクシュアル=Asexual、自己のアイデンティティとして、LGBTあるいは異性愛者など、既存の分類のカテゴリーがしっくりこない、あるいは明確な自己認知を確立していないひとびとをあらわすクエスチョニング=Questioningの頭文字が追加されることがあります。(p.186)
*人に愛情がもてない、好きになれないひとびととして誤解されることが多い。(p.186)
2 manolo 2013-12-03 06:08:35 [PC]
1-3. 【2. セクシュアル・マイノリティと生きづらさ】
LGBTはそれぞれが固有の特徴とニーズをもつ不均質な集団ですが、*スティグマ・差別・偏見にさらされやすいという共通点も見られます。たとえば、性別違和を主訴に来院した患者1138名を対象に実施した調査結果として、自殺念慮62.0%、自殺企図10.8%など、自殺関連の高い経験率が報告されていますが、これは男性同性愛者6000名を対象とした調査においても、「自殺を考えたことがある」66%、「自殺未遂の経験がある」14%という、近似した数値が報告くされています。(p.186)
*スティグマとは、個人や社会集団に対して、他者あるいは社会によって押し付けられる負の表象・烙印のことを意味する。(p.186)
1-4.
また、こうした経験のピークの一つは思春期にあり、学校という人生前半で最も長い時間を過ごす空間が安心・安全な場ではないと指摘されます。たとえば、男性同性愛者の調査においては「学校で仲間はずれにされていると感じたことがある」42.7%、「教室で居心地の悪さを感じたことがある」57.0%、「“ホモ”、“おかま”などの言葉による暴力をうけたことがある」54.5%、「“言葉以外のいじめ”を受けたことがある」45.1%といった結果が報告されており、トランスセクシュアル/トランスジェンダーにおいても高い不登校率が指摘されています。(pp.186-187)
1-5.
スティグマ・差別・偏見によって社会的資源(予防啓発・検査・治療などの保健医療サービス、ケア、情報など)へのアクセスが阻害され、深刻な健康被害をもたらしていることも知られています。たとえば、「AIDSはウイルスによって引き起こされるが、パンデミックはスティグマによって引き起こされる」とよく言われます。これまで、HIV感染症の世界的流行(パンデミック)について最も深刻な影響を受けてきた集団(most affected population)の一つが男性同性愛者を含む*MSMである事実についても、人権的文脈によってその原因を分析し、対応していくことが求められています。(p.187)
*MSMとは、Men who have sex with menの略称。男性とセックスする男性のことを指す。(p.187)
3 manolo 2013-12-03 06:09:08 [PC]
1-6. 【3. セクシュアル・マイノティと医療・当事者運動】
かつて同性愛が精神疾患とみなされていたことを代表例として、多数派のありようとは異なる特徴は、それを許容しない社会において、「治療」という名の「修正・矯正」の対象にされることがあります。インターセクシュアルの非典型的な外性器などの特徴も、長く「治療の対象」とされてきました。逆の観点から言えば、トランスジェンダーの求める医療サービスは(ホルモン療法や手術療法)が社会的に認知されるためには、性同一障害や性別違和症といった疾患概念が必要とされています。(p.187)
1-7.
しかし、当事者運動においては、社会の多数者と異なるものであっても自分たちのありようは疾患/病理/障害でない、治療の対象とすることがスティグマ化されている証拠であり、さらなるスティグマを生み出すことにつながっているとの反論があります。他者(社会)からの名づけである疾患概念ではない、インタ―セクシュアルやトランスジェンダーといった呼称は、こうした当事者運動から生まれたものなのです。(p.187)
4 manolo 2013-12-03 06:12:36 [PC]
出典: 『エコノミスト』、花谷美枝、12/10/2013、(「ダイバーシティ経営 性的少数者に配慮した職場づくりに関心高まる」)p.13
2-1.
同性愛者など性的マイノリティー(少数派)が働きやすい環境づくりに関心を持つ企業が増え始めている。11月22日、東京・品川区で人事担当者向けなどのセミナー「LGBTと日本の職場、今後と課題」が開かれ、約120人が参加した。LGBTはレズビアン(女性同性愛者)やゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛)、トランスジェンダー(性同一障害)など性的マイノリティーの総称。セミナーではLGBTの当事者が登場し、「職場で性的指向を明かせないと居心地が悪い」「同性愛者をからかう発言に傷ついた」など精神的な負担を抱えていると訴えた。同セミナーは昨年に続き2回目。主催は日本IBMやLGBTを支援する団体などでつくる任意団体のワーク・ウィズ・プライド。
2-2.【隠すことが苦痛】
電通の2012年の調査では自分がLGBTだと答えた人は5.2%に上る。だが職場では性的指向を隠している人が多い。企業のLGBT対応を支援するNPO虹色ダイバーシティがLGBTの約1000人に行ったアンケートでは、同僚や上司、部下のいずれかにカミングアウト(公表)している人は38.5%にとどまる。また47.7%が職場で「差別的な言動がある」と答えている。差別はなくても居心地の悪さを指摘するLGBTは多い。都内のIT企業に勤める増原裕子さんは4回の転職を経て、現在の職場でレズビアンであることを明かした。以前は性的指向を隠すことにストレスを感じていたが、打ち明けると不利益があるのではと恐れて言い出せなかったという。
2-3.
就職を控える学生も事情は同じだ。早稲田大学の学生を中心に性的マイノリティを支援するサークル、LGBTユース・ジャパンの代表を務めるレズビアンの学生は、「LGBTは経済的な自立を意識する人が多いので、働きやすさは大事。就職活動で企業のダイバーシティー(多様性)施策をチェックする」と話す。だが就職活動で性的指向を打ち明けることは難しい。来春、電機メーカーに就職予定のバイセクシュアルの女子学生は、内定先企業に性的指向を明かしていない。「学校でオープンに振る舞ってきたが、会社でどうなるか」と不安をもらす。
5 manolo 2013-12-03 06:13:48 [PC]
2-4.
こうした問題に対して一部の企業は対策に取り組んでいる。日本IBMは04年からダイバーシティー推進にLGBTを加えた。職場環境の改善を議論する委員会を設置したり、相談窓口を設けている。12年からは結婚祝い金の対象を同性カップルや事実婚に拡大。1年間で9組の同性カップルが申請した。「会社が支援する姿勢を示すことで、当事者は不安が和らぎ仕事に集中できる」とダイバーシティー&人事広報担当の梅田惠部長は話す。
2-5.
ただ、LGBT支援を啓蒙するポスターを「お客様に見られるのは恥ずかしい」と撤去するよう求める声もあるなど、反応はさまざまだ。社内の理解を広げるため、副社長が支援者として情報発信したり、当事者以外の社員向け勉強会を行うなどしている。
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