自由主義、リベラリズム、新自由主義
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1 manolo 2013-01-17 02:58:41 [PC]

(出典)『格差社会と新自由主義』(2011)坂井素思&岩永正也著(放送大学教育振興会)

1. 自由主義とは、「個人の自由」を尊重するという人間の原理的な主張であり、個人が他者や自然・社会環境から自律して、独立した意思決定を行うことができるという考え方である。(p.48)

2. 人間は、生まれながらにして、すべての人の自由を人間の尊厳として認めるべきだとされる。「個人の自由」を守ることは、この意味では、最高度の人間の権利・義務であって、人間を他者が拘束することには、余程の理由がない限り、制限が課されている。(pp.48-49)

3. 多くの場合に、「個人の自由」はその生のままで取り出されることはなく、他者の「個人の自由」に抵触する可能性がかなり高いという現実がある。(中略)・・・一人一人の「個人の自由」を守ることと、その「個人の自由」に抵触する形で発展してきた、もう一人の他者の「個人の自由」とどちらを優先すべきかという問題が直ちに生ずることとなる。(p.49)

4. このことは、今日の「新自由主義」段階での自由主義というものの本質的な問題となってきている。つまり、個人の自由が成立するために、どの程度の「政府の役割」を認めるかによって、自由主義の性格が変わってくるからである。最右翼には、まったく政府を必要としないと主張する無政府主義の、いわゆるアナルコ自由主義の立場がある。最左翼には、個人の自由や安全、生活保障を守るためには、政府の保護が必要であるという政治的リベラリズムの伝統が存在する。(pp.49-50)

2 manolo 2013-01-17 06:39:49 [PC]

(出典)『格差社会と新自由主義』(2011)坂井素思&岩永正也著(放送大学教育振興会)

5. 新自由主義とは、個人の自由、人間の尊厳という、万民に共通の価値を実現するために「私的財産権や法の支配、自由に機能する自由貿易の諸制度を重視している」と考えられている。(pp.50-51)

6. まず、新自由主義は、政治的な自由主義と比較すると、合理的な手段として、市場システムを重視する。これに対して、政治的リベラリズムは政府組織を活用することで、自由主義の拡大を図ることになる。この点では、互いにかなり対立することになる。(p.52)

7. ・・・新自由主義は単なる思想そのものを示すばかりでなく、政策の主導する現実を含んだ帰結主義的な性格を強く持っているといえる。このことは(中略)規制緩和、民営化、私有化などの政策にきわめて顕著にあらわれている。(p.53)

8. これに対して、自由主義の方は次第に社会民主主義的な考えを発展させてきている。北欧での福祉国家的な再配分政策にあらわれているように、政府の力を必要とする政策に特色があらわれている。(p.53)

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