刑法と刑罰
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1 manolo 2013-10-15 09:55:03 [画像] [PC]

出典:『よくわかる刑法』、井田良、4/20/2006、ミネルヴァ書房(2.「刑法の目的と機能」、飯島暢)pp.4-5

1-1. 1. 刑法は何のためにあるのか?:刑法の目的
 刑法の目的は何か? この問いに答える前に、そもそも法の目的を考えてみたい。これは一言でいえば、個々人の行為を法という一定のルールによって規制することによって、社会秩序を維持することに他ならない。そして、法治国家においては、制定法が行為を規制するルールとなり、社会秩序が維持される。刑法も一つの法である限り、やはりその目的は社会秩序の維持である。しかし、民法のような他の法規範と大きく異なり、刑罰という厳しい制裁手段を通じて社会秩序の維持を図るところに刑法の特徴がある。つまり、極めて重大な事態である犯罪に対して、刑罰という厳しい制裁手段で臨み、社会秩序を維持することが刑法に固有の目的なのである。犯罪が発生すると社会は動揺し、人々は安全な社会生活を営めなくなってしまう。刑法は、刑罰を用いて、事前に犯罪を防止し、犯罪が発生してしまった後は、引き起こされた社会的動揺を鎮静化させる役割を果たさなければならない。刑法はこのような社会秩序の維持という目的を達成するために、いくつかの機能を発揮する。(まとめて刑法の社会的機能という)。ここでは、規制的機能、法益保護機能、人権保障機能の三つが刑法の社会的機能として重要である。(p.4)

12 manolo 2014-01-21 06:53:26 [PC]

**自首
犯罪事実又は犯人が誰であるかが捜査機関に発覚する前に、犯人自ら捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その処分に服する意思を表示すること(42条)。なお、特別の規定について刑の免除事由となることもある(例えば、内乱罪に関して80条参照)。(p.106)

**酌量減軽
裁判所は刑を言い渡すに際して犯罪の上場に酌量すべきものがあるときは、一定の基準(71条、72条)に従って、法定刑より軽い刑の範囲で処断することができる(66条)。(p.106)

4-2. 【2. 量刑基準と刑罰目的の関係】
 行為者にどの程度の刑罰を科すべきか、という問題を考えるのであれば、そのは必然的に「刑罰は何のために課されるのか」という問題に至ることになる。現在では、刑罰はあくまで犯した罪の限度において、責任非難に見合う範囲内で科されるものではあるが、その枠内において、可能な限り一般予防や特別予防の効果についても考慮しようとする考え方(*相対的応報刑論)が主流である。この考え方によれば、純粋な応報の観点からは刑の重さは同等であると思われる場合であっても、個別具体的な予防効果の程度に応じて刑の重さは変わり得ることになる。このような考え方を一応の前提として量刑基準の問題に目を向けるとき、処断刑という一定の範囲を持った「責任刑」の枠内で考慮され得る事情には、おおまかに分けて以下のようなものがあると考えられる。まず第一に、その犯罪結果がどれだけ重大なものであったか、行為の態様がどれだけ悪質なものであったか、いかなる動機から犯罪行為に出たのか、というようなその犯罪の違法性・責任の程度に直接関係してくる事情を挙げることができる。(pp.106-107)

*相対的応報刑論
刑罰の目的を応法の観点から説明する見解(応報刑論)と、逆に予防の観点から説明する見解(目的刑論)を折衷した考え方。(p.106)

13 manolo 2014-01-22 14:46:22 [PC]

出典:『よくわかる刑法』、井田良他著、4/20/2006、ミネルヴァ書房、(「第1部 VI-2 「軽量理論と刑罰目的」)、照沼亮介、pp.106-107(修正版)

4-1. 【1. 刑の量定】
 犯罪の成立が認められると、裁判所は被告人に対して法律上認められた範囲において言い渡すべき刑を確定する作業を行う。これを広い意味での刑の量定(量刑)というが、そこではまず、@個々の刑罰法規に定められた一定の範囲を持つ刑(法定刑)について加重・減刑を行って量定の基礎となる刑(処断刑)を形成し、次に、Aその範囲内で被告人に言い渡す刑(宣告刑)を決定する、という手順が踏まれることになる。@の過程においては、例えば*再犯加重(56条、57条)のような加重事由や、**自首(42条)などの任意減軽事由、心神耗弱(39条2項)などの必要的減軽事由、その他裁判官の裁量に委ねられている***酌量減軽(66条)が考慮され、また、複数の刑罰法規の適用の有無が問題となるような場合には罪数/犯罪競合の判断を行った上で、例えば「半月以上5年以下の懲役」のような形で処断刑が形成される。その後、Aにおいて、処断刑の範囲内で具体的に被告人に言い渡される刑が決定されることになるが、このAの過程を狭い意味での「量刑」と称する。Aの狭義の量刑判断に際しては、いかなる事実がいかなる観点から考慮されるべきかという問題、すなわち量刑基準の問題が生ずる。ここでは、一方において、個々の被告人の罪責に見合った刑を科すためには可能な限り多様な状況について検討を加えるべきであるが、しかし他方において、同等の重さをもった犯罪を行った者の間で可能な限り不平等を生じさせないようにすべきである、という相反する要請を満たすというきわめて困難な課題が待ち受けているのである。(p.106)

*再犯加重
56条1項は、懲役に処せられた者が、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときはときは再犯とすることを規定しており、57条は、再犯の刑はその罪について定めた懲役の長期の2倍以下とすることを規定している。(p.106)

14 manolo 2014-01-22 14:50:32 [PC]

**自首
犯罪事実又は犯人が誰であるかが捜査機関に発覚する前に、犯人自ら捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その処分に服する意思を表示すること(42条)。なお、特別の規定について刑の免除事由となることもある(例えば、内乱罪に関して80条参照)。(p.106)

**酌量減軽
裁判所は刑を言い渡すに際して犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、一定の基準(71条、72条)に従って、法定刑より軽い刑の範囲で処断することができる(66条)。(p.106)

4-2. 【2. 量刑基準と刑罰目的の関係】
 行為者にどの程度の刑罰を科すべきか、という問題を考えるのであれば、それは必然的に「刑罰は何のために科されるのか」という問題に至ることになる。現在では、刑罰はあくまで犯した罪の限度において、責任非難に見合う範囲内で科されるものではあるが、その枠内において、可能な限り一般予防や特別予防の効果についても考慮しようとする考え方(*相対的応報刑論)が主流である。この考え方によれば、純粋な応報の観点からは刑の重さは同等であると思われる場合であっても、個別具体的な予防効果の程度に応じて刑の重さは変わり得ることになる。このような考え方を一応の前提として量刑基準の問題に目を向けるとき、処断刑という一定の範囲を持った「責任刑」の枠内で考慮され得る事情には、おおまかに分けて以下のようなものがあると考えられる。まず第一に、その犯罪結果がどれだけ重大なものであったか、行為の態様がどれだけ悪質なものであったか、いかなる動機から犯罪行為に出たのか、というようなその犯罪の違法性・責任の程度に直接関係してくる事情を挙げることができる。(pp.106-107)

*相対的応報刑論
刑罰の目的を応報の観点から説明する見解(応報刑論)と、逆に予防の観点から説明する見解(目的刑論)を折衷した考え方。(p.106)

4-3.
 第二に、例えば犯罪がきっかけとなって被害者が自殺したり被害者の家族に様々な悪影響が及んだりした場合には、それらの事実は違法性や責任の程度には直接関係してくるのではないとしても、行為者に対する非難の度合いが具体的にどの程度であるのかを調べるための手掛かりとして位置づけることができるであろう。

15 manolo 2014-01-22 15:23:10 [PC]

4-4.
 第三に、行為者の性格や、前科の有無の経歴、行為者周囲の環境、さらには犯行後に示していた態度、例えば被害者やその家族に対する損害賠償の有無などの諸事情は、本人が再び犯罪行為に出る危険性がどの程度存在するのか(特別予防の必要性の程度)の判断に関わって来るであろうし、社会全体に与えた衝撃や不安の程度という事情については、同種の事案の再発の危険性がどの程度存在するのか(一般予防の必要性の程度)の判断に関わってくるであろう。第四に、行為者本人も大きな怪我を負ったりすでに難しい社会的制裁を受けているというような事情については、責任非難や予防効果とは一応区別された形で、最終的に刑を科すこと自体の必要性をチェックするための事情として位置づけることができる。(p.107)

4-4. 【3.量刑判断における今後の課題】
 従来は、量刑判断はもっぱら裁判官の裁量に委ねられるものと考えられてきた部分があり、その基準を理論的に明確化しようとすれる試みは必ずしも成功してきたとは言い難い。しかし、裁判員制度の導入等に伴い。実務家の直感や経験だけに頼って解決を図ることはもはや不可能となりつつある。例えば被害者の処罰感情が著しく厳しい場合に、それと量刑との関係をいかに考えればよいのかといった問題は、量刑基準の早急な理論化が要請されていることをわれわれに示しているように思われる。(p.107)

【量刑基準の内容】
@量刑判断の基礎となる事情(違法性・責任の程度に直接関係する事情): 例えば、結果の重大性、行為態様の悪質性、動機の悪質性など

A行為責任のおおまかな範囲を判断するための事情: 例えば、被害者やその家族に及ぼした悪影響の度合いなど

B特別予防・一般予防の程度を判断するための事情: 例えば、行為者の性格・経歴・周囲の環境・犯行後の態度、社会に与えた衝撃の程度など

C刑罰を科すこと自体の必要性を判断するための事情: 例えば、行為者自身も負傷している場合や、既に厳しい社会的制裁を受けている場合など(p.107)


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