政党
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1 manolo 2014-01-16 18:01:44 [画像] [PC]

出典:『よくわかる憲法(第2版)』、工藤達朗編、5/25/2013、(「第3部 I-2 政党の役割」)、黒川伸一、pp.160-161

1-1. 【1. 政党の役割とその憲法上の地位】
 一般的に、*政党は一定の政治目的のために結成された結社であって、統治過程への参加によってその目的を目指すものと定義できる。現在の多くの民主主義国家では、民意を国政に反映させる上で政党が重要な役割を演じていることは周知の事実である。(p.160)

*政治資金規正法及び政党助成法では、政党は衆議院議員または参議院議員を5人以上有する等の一定の要件を満たした政治団体と定義されている。(p.160)

2 manolo 2014-01-16 18:06:14 [PC]

1-2.
 政党の法的な位置づけに関して、ドイツ連邦共和国基本法21条のように、憲法自身がその組織や運営を規定するものもある。しかし、日本国憲法は政党に関する規定を有していない。もちろん、政党もまた結社の一つであるので、日本国憲法21条1項の結社の自由によって、その結成や運営が保障されていることに異論はない。従って、正当な理由もなしに国家が政党の結成や運営に介入することは許されない。ただ、政党は他の結社と異なり、民意を国政に仲介するべく統治過程に参加するという特殊な役割を担っている。そこで、日本国憲法上、政党をどのように位置づけるべきか問題となる。(p.160)

1-3.
 いわゆる*八幡製鉄政治献金事件において、最高裁判所は、「憲法の定める議会制民主主義は政党を無視して到底その円滑な運営を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定している」と指摘する。この判例のように、一般的には議員内閣制や政党が事実上果たしている機能を根拠にして、日本国憲法は政党の存在を予定していると考えられる。しかし、他方で、憲法には一見すると政党に敵対すると思われる規定も存在している。例えば、43条1項は、国会議員は「全国民の代表」であって、政党や政党支持者の代表ではないと規定する。また、51条の定める国会議員の**免責特権も、党所属議員の発言や表決を拘束しようとする政党にとって障壁となりうる。確かに、これらの規定は政党の存在を直接否定するものではないが、そのあり方に一定の制約を加えている。そこで、政党に関する個別的な問題を解決する際には、現代の議会制において政党の果たしている機能を前提にしながらも、これらの規定の趣旨をも顧慮することが重要となる。

*八幡製鉄政治献金事件
旧八幡製鉄の代表取締役によってなされた政党への政治献金が、会社の目的の範囲内の行為であるか否かが争われた事件。最高裁判所は会社の人権享有主体性を認め、会社の政治献金もその目的の範囲内であるとしたが、その関連で政党の憲法上の意義に言及している。(最大判昭和45年6月24日民集24巻6号625頁)(p.160)

3 manolo 2014-01-16 18:08:24 [PC]

**免責特権
国会議員に認められた特権の一つ。国会内での自由な討論を確保するために、国家議員によって議院でなされた「演説、討論又は表決について」、院外で民事責任および刑事責任を追及することが禁止される(政治責任が追及されることはあり得る)(p.160)

1-4. 【2. 政治活動に関する諸問題】
 現代の議会制で政党が重要な役割を演じるようになった結果、多くの議員は政党の公認を得て選挙で選出され、政党に所属しながらその職務を遂行していく。しかし、政党は結社の自由によって設立されるのであり、その加入や脱退は自由であって、所属政党の政策を受け入れられなくなった議員は、離党したり、別の政党に所属変更することも自由である。他方で、政党にも結社としての自治が認められるので、政党の政策に反して行動する議員の政治責任を追及することができ、場合によっては当該議員を政党から除名することも許される。もっとも、政党への所属は議員の資格要件ではないので、離党したり、政党から除名されても、議員たる資格を喪失するわけではない。(pp.160-161)

1-5.
 この点に関連して、*比例代表選挙で選出された議員について困難な問題が生じる。比例代表選挙では、当選人は政党が作成した名簿に基づき、政党の得票に応じて決定するから、議員が政党の所属を変更することは許されないようにも考えられる。実際、国会法並びに公職選挙法は、比例代表選挙で選出された議員が選挙戦に戦った相手方の政党に移動することを禁止し、移動した場合には議員の職を失うと規定している(国会法109条の2、公職選挙法99条の2)。このような規定は許されるだろうか。(p.161)

*比例代表選挙
政党の得票数に応じて議席が配分される選挙方法。ひとくちに比例代表選挙といっても、当選人を決定する方法にはいくつかの種類がある。現在、衆議院の比例代表選挙では、当選人が政党の提出する名簿の順位に従って決定される拘束名簿式が、参議院の比例代表選挙ではかような拘束の認められない非拘束名簿式が採用されている(公職選挙法95条の2、同95条の3)(p.161)

4 manolo 2014-01-16 18:10:46 [PC]

1-6.
 この問題について、比例代表選挙で選出された議員は当該政党に所属して初めて全国民の代表と言えることを理由にして、かかる規定の有効性を肯定する見解もある。他方で、どのような選挙方法で選出されたにしても、ひとたび選出されたら議員は全国民の代表になることを理由として、政党の所属を変更あるいは離脱しても議員の身分を失わないという見解も主張されている。確かに、比例代表選挙という方法の特殊性を考慮すれば、そこで選出された議員が全く自由に政党間を移動できることには問題があろう。しかし、議員は全国民の代表であって、選出母体の命令から自由に行動できることを考えれば、選挙時に所属していた政党から選挙戦を戦った相手方の政党へと移動しただけで即座に議席を失うことを正当化するのは、容易でない。(p.161)

1-7.
○党内民主主義の問題
政党は結社の自由に基づいて成立する団体であるから、本来、その内部組織をどのように構成するか、あるいは組織運営を実施するかは当該団体の自由に委ねられている。しかし、同時に政党は国民の意思を国会へ仲介するために、国家権力への参加を目指す公的な存在である以上、その内部組織の構成や運営にあたって党内民主主義を徹底することが要請される。従って、政党は民主的に組織され、民主的に運営されねばならず、恣意的な除名処分などは許されない。最高裁もいわゆる*袴田事件において、政党からの除名処分については適正な手続きにのっとってなされるべきであると指摘している。もっとも、党内民主主義を口実に、結社の自由を侵害するような形で国家が政党の内部問題に介入することは、結社の自由に基づき許されないと考えられる。(p.161)

*袴田事件
某政党の幹部に対してなされた、党を攻撃する表現活動を行ったことを理由とする除名処分の是非が争われた訴訟(最判昭和63年12月20日判時1307号113頁)。(p.161)

5 manolo 2014-01-16 23:49:52 [PC]

出典:『政治学』、川出良枝&谷口将紀編、7/15/2012、(「2. 政党と政党制」)pp.112〜122

2-1. 【政党の役割とタイプ】
 政党とは何か。共通の政策的な目的を実現するために、政治権力に参画しようとする団体の総称とまとめることができよう。では、なぜ政党は必要なのか。日本国憲法には政党の規定は一つもない。しかし、現代の代議制民主政治が作動するためには政党の存在は必要不可欠である。政党が果たしている機能としては、次のようなものが挙げられる。(p.112)

2-2.
 まず、何が重要な争点であり、どのような解決策が望ましいのか、その問題を解決できるのは誰か、有権者に情報を提供する政治的社会化機能、有権者から寄せられるさまざまな要求をまとめる利益の集約機能、これらは有権者との関係において政党が果たさなければならない役割である。また、有権者の意思を政治に反映させるために、政党は政治家を育成し、政府を運営しなければならない。政治を担う人材を選抜し、育て上げる政治リーダーの選出機能、政府を運営する政府の形成機能も重要である。(p.112)

2-3.
 政党は、その成り立ちの経緯や社会の変化に対する適応の仕方、国家との関係のありかたなどに応じて、さまざまなタイプに分けることができる。幹部政党と大衆政党は主に成立の経緯に注目した分類である。幹部政党は、地方の名望家(有力者)が代表を議会に送り出したり、自らが議員となったりして、議会内で議員同士が集うことにより成立したタイプの政党とされる。有力者中心の、ゆるやかなつながりを特徴とする。保守主義や自由主義に基づく主張を掲げる政党に多い。(pp.112〜113)

2-4.
 それに対して、大衆政党とは、社会主義や宗教など何らかの価値観を実現するための議会外の大衆組織が基礎となり、その組織が議員たちを指導するというタイプの政党である。議会外の組織を図式化すると、ピラミッド型に構成された階層的な組織が底辺では一般党員を包摂し、その頂上からは党指導部が強い指導力を発揮するというイメージである(コラム「寡頭制の鉄則」参照)。典型的には、労働者が主要な支持者となり、社会主義的な主張を掲げる政党に多い。労働者の生活改善や政治要求の実現が最優先課題である。(p.113)

6 manolo 2014-01-17 01:29:34 [PC]

2-5.
 これら2つの類型は主に19世紀以降のヨーロッパ諸国の事例を念頭に置いて考えられたものである。しかし、キルヒハイマーによると、第2次世界大戦後、いわゆる西側諸国では高度経済成長が実現したため、労働者の生活改善を掲げる社会主義や、それに対抗する自由主義といったイデオロギーの魅力が薄れてきた。これまでの政党はイデオロギーを掲げ、特定の有権者の支持を得ることを目標としてきたが、さまざまな階層の有権者を対象として支持を訴えるように変わっていった。このようなタイプの政党を包括政党という。包括政党と有権者との接点は、議会外の大衆組織からマスメディアや利益集団を通じたものへと、重点が移って行った点が特徴である。(p.113)

2-6
 支持政党を持たない人々(無政党派層)の増大に見られるように、政党と有権者のつながりが弱くなる傾向が続いた。そのため、政党は有権者の支持を得る手段として、マスメディアや世論調査への依存を強めるようになった。特に選挙において、宣伝やマーケティングの専門家が大きな役割をはたすようになる。それが選挙プロフェショナル政党である。その反面で、伝統的な政党組織の役割がさらに小さくなり、政党は党員の減少に見舞われている。党費を納める党員の減少は党財政に悪影響を与えるため、党は新たな資金源の確保を迫られる。そこで、政党間で「談合」し、国家財政から政党に対する補助を行うことを決めてしまう。このような政党をカルテル政党と呼ぶ。(pp.113-114)

2-7.
 政党は国家と社会を結ぶ重要な役割を担っている。社会におけるさまざまな利益を政治過程に反映させ、国家権力をコントロールすることが政党の重要な機能であることには変わりない。しかしカルテル政党に見られるように、政党がその役割を果たす上で、社会から国家へと存立基盤を次第に移しつつある傾向がうかがえる。しかし、政党が社会から遊離しすぎると、有権者を代表する力が弱くなり、政党離れと政治不信の昴進を招くであろう。(p.114)

7 manolo 2014-01-17 01:45:58 [PC]

【コラム:寡頭制の鉄則】
20世紀初頭におけるドイツの社会民主党を題材に、ミヘルスが提唱した法則である。社会民主党は政治から閉め出されていた労働者階級の利益を代表しており、政治の民主化を推し進める存在のはずだった。しかし、政党内部の意思決定は、巨大な党組織の頂上に位置する一握りの指導者層に委ねられており、民主的ではないという矛盾をミヘルスは指摘したのである。先述のように、大衆政党は巨大なピラミッド型の組織を議会外に形成し、その組織の指導者層には大きな力が与えられるという特徴がある。大衆政党に限らず、あらゆる組織には寡頭制が生じるという意味で、それが「鉄則」であるミヘルスは主張する。近年、各国の政党では一般政党が党首選びに参加する事例が珍しくなくなった。日本でも自民党の総裁や民主党の代表を選ぶ際、党員による投票を実施する場合が増えている。それは鉄則に対する反証といえるのか、それとも、大衆の支持を背景に力を振るう指導者が誕生し、寡頭制が独裁制に置き代わっただけなのか、慎重な見極めが必要である。(上神貴佳)(p.114)

2-8. 【政党制とは】
 政党と政党との関係にもさまざまなタイプがある。こうした政党同士の関係を政党制と呼ぶ。サルトーリによると、それに含まれる主要な政党の数とこれらの間の競争関係を考慮して、政党制を区別できる。まず、1つの政党が政権を握り続けている場合、それを一党優位政党制と呼ぶ。自民党の長期政権が続いたかつての日本のような事例に当てはまる。このタイプは自由な選挙により、結果として1つの政党が与党であり続けている場合に当てはまり、そもそも複数の政党間の競争を認めてない一党制とは区別される。2つの大きな政党が政権の座をめぐって競争しているような場合、それを二大政党制と呼ぶ。民主党と共和党が大統領のポストや議会の多数派を占めてききたアメリカの事例を想起されたい。(pp.114-115)

8 manolo 2014-01-17 02:06:06 [PC]

2-9.
 突出して大きな政党が存在するわけでなく、いくつかの政党が連立政権を形成するのが常である場合、それは多数党である。この多数党には、穏健的多党制と、分極的多党制の二つがある。前者にはイデオロギー的に極端な立場をとり、政治体制自体の正当性に挑戦するような政党は存在しないため、政党間の競争が求心的で穏健なものになる。それに対して、後者には極端な反体制政党が存在し、その結果、政党間の競争には遠心力が働く。連立政権も不安定にならざるをえない。(p.115)

2-10
 政党制は変容するものである。例えば、イギリスは長らく典型的な二大政党制の国とされてきたが、2010年の政権交代を経て、保守党と自由民主党の連立政権が成立した。一方日本では長年続いた自民党の一党優位政党制から、2009年の民主党への政権交代を経て、二大政党制に変わったのかもしれない。あるいは参議院の多数派を確保するために連立政権の形成が必要となったことを考慮にいれると、穏健な多党制に落ち着きつつあるのかもしれない。(p.115)

2-11.
 さて、それぞれの政党制には固有の政党間競争のパターンがあることを述べた。この点についてはダウンズの空間競争理論を参照しながら、さらに説明する。ダウンズは経済学における企業の空間立地研究を政治学に応用し、有権者の分布と政党間の競争には関係があることを指摘した。まず、政策空間というものを想定する。例えば、政府の経済政策について、最大限の政府介入を認めるべきだという考え方の有権者は最も左に位置し、まったく介入を認めるべきでないという考え方の有権者は最も右に位置する、そして各有権者は自分の政治的立場に最も近い政党に投票するか、近い政党がないと感じると棄権する。政党もまた、有権者からの支持を最大化するために政治的立場を調整するものであるとしよう。(pp.115-116)

2-12.
 左右どちらでもない(=適度の政府の介入を認める)有権者が最も多い場合、政策空間では真中に位置する有権者が最も多い巣峰型の分布となる。従って、もし二大政党制が成立していたならば、各党は真中に限りなく近い立場を取ることが、得票を最大化するために合理的となる。一方、有権者の分布が左右両端に偏っている双峰型の場合、政党はいずれか両端に近い立場を取ることが合理的である。(pp.116-117)

9 manolo 2014-01-17 02:38:28 [PC]

【コラム:政治改革】
政治改革という言葉にはさまざまな意味が含まれている。1990年代における日本の政治改革が言及される場合には、1994年に成立した政治改革関連3法案の内容を参照すればよいであろう。まず、公職選挙法の改正により、かつての中間選挙区制から小選挙区比例代表並立制へと、衆議院の選挙制度が変更された。中間選挙区制下の自民党候補者同士の争いが解消されるため、派閥政治が消滅するだけでなく、政党主体の政策論争が中心となり、カネのかからない選挙が実現することが期待された。また、小選挙区制の導入は分立している野党に結集を迫ることから、自民党に取って代わりうる政党が生まれ、政権交代が実現するとも考えられた。さらに、企業・団体献金を厳しく制限し、政治資金の公開性を高めるために政治資金規正法が改正され、代わりに約300億円の助成金を各党に公布し、政党中心の政治資金の流れを促す政党助成法が導入された。一連の改革の結果、中選挙区時代の候補者本位の政治に変わり、政党・政策本位の政治がかなりの程度実現された。2009年には選挙を通じた政権交代も行われた。他方で、人びとの政治不信は依然解消されたとは言えず、政治とカネをめぐる疑惑も後を絶たない。90年代改革の成果をふまえながら、なお残された課題について粘り強く取り組む必要があろう。(上神貴佳)(p.122)


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