かう言ひながら
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1 Ryou 2014-03-27 09:52:58 [URL]
かう言ひながら、加部錬之介は、もう声がかすれ、眼鏡の奥で、きらきらと涙が光つてゐました。
保枝は、相手のこの感動をそのまま実感として胸にうけることはできませんでしたが、ただその場の情景と、それが自分に向つて直接言はれてゐる言葉だといふだけで、なにか、やるせない、そこへ突つ伏してしまひたいやうな気持になりました。
「それを伺つて、あたくしはもう、なんにも申しあげることはございません。福代さんを責める気はないと、たゞいまおつしやいました、そのことだけを、あたしは、女として、ありがたくお聴きして帰らせていたゞきますわ」
これをきつかけに思ひ切つて座を起たうとしたが、加部錬之介は、それに頓着なく、まだ話しつゞけようとします。
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