セエラは、今はもう
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1 Ryou 2013-12-20 11:01:26 [URL]

 セエラは、今はもう勉強どころではありませんでした。楽しいことは、何も教わりませんでした。忙しい一日がすんでから、古い本を抱えて、人気のない教室へ行って、一人夜学を続けるばかりでした。
「気をつけないと、習ったことまで忘れてしまいそうだわ。これで、何にも知らないとすれば、ベッキイと選ぶところがなくなるわけだわ。でも、私忘れることなんて出来そうもないわ。歴史の勉強なんか、殊にやめられないわ。ヘンリイ八世に六人の妃があったことなんか、忘れられるもんですか。」
 セエラの身の上が、こういうように変ると同時に、お友達との関係も妙なものになって来ました。今までは、何か皇族ででもあるかのように尊ばれていたのに、今はもう皆の仲間入りもさせてくれなそうでした。セエラが一日中忙しいので、少女達と話す暇がないのも事実でしたが、同時にミンチン女史が、セエラを生徒達からひきはなそうとしている事実も、セエラは見のがすわけにはいきませんでした。

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