ダイヤモンド鉱山
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1 Ryou 2013-12-20 11:01:41 [URL]
「あの子が、ダイヤモンド鉱山を持っていたなんて。」と、ラヴィニアはひやかしました。「ほんとうにお笑い草ってな顔してるじゃアないの。あの子は、ますます変人になって来たわね。今までだって、あの子好きじゃアなかったけど、この頃のような変な眼付で黙って見ていられると、たまらなくなるわ。まるで人を探るような眼をしてさ。」
それを聞くと、セエラはすぐやり返しました。
「その通りでございますよ。まったく私は、探るために人を見るのですよ。いろいろのことを嗅ぎつけて、そして、あとでそのことを考えて見るんですよ。」
そういったわけは、ラヴィニアのすることを見張っていたおかげで、いやな目に逢うことを避けることが出来たからでした。ラヴィニアはいつも意地悪で、この間まで学校の誇とされていたセエラを苛めるのは、殊にいい気味だと思っていたのでした。
セエラは、自分で人に意地悪をしたり、人のすることの邪魔をしたりすることは、少しもありませんでした。セエラは、ただ奴隷のように働きました。だんだん身なりがみすぼらしく、みなし子らしくなって来ますと、食事も台所でとるようにいわれました。彼女は誰からも見離されたもののように扱われました。彼女の心は我強く、同時に痛みやすくなって来ました。が、セエラはどんなに辛いことも、決して口に出していったことはありませんでした。
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