「なかなか早いな。どうれ」
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1 Ryou 2013-12-17 23:59:19 [URL]
「なかなか早いな。どうれ」
吉良は、じっと眺めていたが、
「諸事あまりに切りつめてあるようじゃが」と、内匠頭の顔を見て、
「これだけの費用じゃ、十分には参らぬと思うが」と、つけ足した。
「七百両がで、ございますか」
「そうだ」
「しかし、これまでのがかかりすぎているのではありませんか、無用の費は、避けたいと思いますので」
上野は、じろっと内匠頭をにらんで、
「かかりすぎていても、前々の例を破ってはならん。前からの慣例があって、それ以下の費用でまかなうと、自然、勅使に対して失礼なことができる」
「しかし、礼不礼ということは、費用の金高にはよりますまい!」
「それは理屈じゃ。こういうことは前例通りにしないと、とかく間違いができる」
「しかし、年々出費がかさむようで……」
「仕方がないではないか。諸式が年々に上るのだから、去年千両かかったものが、今年は千百両かかるのじゃ」
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