可哀そうなのは
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1 Ryou 2013-12-05 22:11:00 [URL]
可哀そうなのはその家の十一になる姉娘と五つになる男の子供です。その二人が行かれるのが厭だといって泣いて居る。殊に姉の方は俯伏せになったまま、顔も見せないでさも悲しそうに啜り泣きをして居る。もういよいよ立つという時になったものですから、母親がお訣れしないかというと大きな声で泣き立ててどうもしようがなかったです。いかにも親しくなると子供でもこういうものか知らんと思いましたが、やはり人情上自分も幾分か離別の苦痛を感じた訳でございました。
で、その家の弟と妻君の弟とそれから妻君の姪になる娘と、テンバという私の連れて行く男の女房四人が私を見送ることになったですが、そう一緒に連なって行きますと人の疑いを惹くからというので、ラサ府を離れてレブン寺の前の林の中で出遇うことにしようという約束で、皆別々に出かけた。私は荷持を連れ僧服を着けてぼつぼつラサの町を出て、釈迦堂の少し前の所へ来ると気の知れぬ巡査 巡査が一人居りましてずかずかと私の前へ走って来まして、時が時ですから何か変な事でも発覚して捉えに来たのじゃないかと、ちょっと私も注意を惹き起したです。
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