ほとんどなんにも
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1 Ryou 2013-10-03 19:32:19 [URL]

「ほとんどなんにも手をおつけになっていませんわ」と、グルゥバッハ夫人は言った。
「ああ、いいんですから持っていってください!」と、Kは叫んだが、すべてのものにモンターク嬢が浸みこんでいるようであり、いやな気持だった。
 控えの間を通り抜けるとき、ビュルストナー嬢のしめきった扉をながめた。けれど、この部屋へ招かれたのではなく、食堂へだった。彼は食堂の扉を、ノックもせずにあけた。
 食堂は、奥行はきわめてあるのだが、間口は狭い、窓がひとつしかない部屋だった。その部屋には場所が大いにあるにはあるので、扉側の片隅に戸棚を二つ斜めに置くことができていたが、ほかの場所は長い食卓ですっかり占められ、食卓は扉の近くから始まって、大きな窓のすぐ近くまで達しており、そのため窓にはほとんど行かれないようになっていた。
 もう食事の支度ができていて、しかも、日曜日にはほとんどすべての下宿人がここで中食をとるので、多人数の支度であった。

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