そして司令官のあの声が
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1 Ryou 2013-09-30 15:11:32 [URL]
そして司令官のあの声が、ご婦人方が『雷の声』と呼ぶあの声が、聞こえてくるのです。――『今、日の沈む方の国からお越しになっている大先生は、今回、全世界の国の裁判制度を研究することを、旅の目的になさっておる。そして、先ほど言われたことによると、この島の古くから続く制度は、非人道的であるらしい。このような権威のあるお方がこう言われるからには、もはや、この制度を容認しておくことは、これ以上できないことと思われる。本日をもって、私はここに宣言する――うんぬん。』こんな演説を聞いて、あなたはそんなこと言ってないと、あの裁判制度が非人道的だとは言ってないと、横やりを入れたくなるでしょう。むしろ、あなたはたいへん分別のあるお方ですから、あの機械が非常に人間的であり、人間にとってたいへんふさわしいものであると感心しておられるのではないでしょうか。――でも、もう遅すぎるのです。バルコニーにはもうご婦人方でいっぱいで、出て行くことができない。はっとして、大声で叫ぼうとするけれど、ご婦人方の手があなたの口に伸びて、塞いでしまう。――こうして、私と先の司令官がなした一個の作品が、滅びていくのです。」
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