とてもはしではだめだ
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1 Ryou 2014-05-16 11:12:10 [URL]

 こいつは、とてもはしではだめだということになり、みんな手づかみでやりはじめた。それは彼女がお手本を示したのだから、市ノ瀬牧人はよろこんだ。
「こいつは愉快だ。さつきなべをのぞいてみて、奥さんにはどうかなと思つたんだ。これで安心した」
「あら、こういうお料理は指をつかうのが本当なのよ。ちつともご心配はいりません」
「なるほど、そういうもんか。やつぱり自然が本当なんだな」
 と、市ノ瀬牧人は感心する。
 あきざらに骨をうず高く積んで、食事がおわる。
「あゝ、おいしかつた。トムちやんはウサギなんてはじめてね。どう? この味をよくおぼえとくといゝわ」
 それから、市ノ瀬牧人の「イカモノ」を食つた話になり、彼女は、とき/″\まゆをよせる。が、しまいに、
「もういゝわ、そのお話は……。よくあることだけど、へんよ、すこし、男のひとの悪食趣味つて……。どこまで行くかわからないから、いや、あたし……」
 やんわりとたしなめられたかたちで、市ノ瀬牧人は頭をかくまねをする。
「でも、そいつが、戦争中、ところによつちや、やくに立つたと思うんですがねえ」
 と、おそる/\抗議をしてみる。

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