素人茶人の名家
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1 Ryou 2014-06-26 19:39:31 [URL]

 素人茶人の名家にしても明治以後となっては、あれほどやかましくいわれた御殿山さんにしても、その生涯を俗書で終わらしてしまった。ビール翁にしても、本牧、青山、赤坂にしても、みな屈指の大茶人のように万人に知られた人々である。それだけにその遺された筆跡を見ては意外の感を深くするのみである。いずれ劣らぬしっかりした書ではあるが、いずれも俗書であるのが残念だ。
 こうなってくると、茶道の教養というのもあまり当てにならないこととなり、吾人を迷路に引き入れてしまうのである。茶があればこそあそこまで行ったのだ。茶がなければ彼らの俗さ加減は知れたものではないというような低級なことになっては話もおしまいであるが、ともあれ松永さんのいう茶人の指導によりて優れた器が生まれ、初期茶人のような能書も生まれ、芸術工芸の理解も正しくなる……との説が、過去の実例によってだんだんと現実的に怪しくなってきている。作家よ茶を知れなんていわれてみても、聞く者今ではきっと眉に唾つけ笑っているような気がするではないか。かというて茶道教育なんて価値はない、無駄だ無用の長物だと私はいうのではない。むしろその反対に茶の教養のない人をみるたびに、不快ささえ感ずる者である。

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