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★(2) 日本語の「勝てば官軍」ということわざは見事である。短いフレーズに戦争の「真理」が凝縮されている。両者が戦争に至った経緯や社会背景、その後の経過、戦時中の出来事、勝利を得た手段などにかかわらず、最終的に勝った側が「官軍」、すなわち「正義」を語る権利を得るのだ。恐らくこれは時代や洋の東西を問わず、永遠の真理だと思う。 勝利によって「正義」を得た側は、過去の味方の不正義と、敵の正義を隠蔽する。日本の近代史で言えば戊辰戦争で倒幕軍が掲げた「錦の御旗」は薩摩藩・長州藩が作成した偽物だった。つまり明らかな不正義である。しかし、これが討幕軍の士気を高め、徳川幕府側の動揺を誘うなど、大いに効果を発揮した。戦争終結後、明治新政府による真実の隠蔽、正当化、情報操作などが行われただろうことは想像に難くないが、今さら徳川家の子孫が文句を言ったところで後の祭りである。
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