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『「市民主権」とは、「国民」以前に「市民」が政治の主体であるという話であり、「分節主権」とは、中央政府と地方政府の対等併存論で、「地域主権」のオリジナルな発想がここにあると言える。 政治決定は「市民」から出発して、市町村、都道府県へと上昇し、国は、市民・自治体レベルの政策の「調整・先導機構」に位置づけ直すべだと松下氏は述べている。・・・ こうした主張の元にあるのが「複数信託」説だ。市民が原初的にもつ政治権力が、国と自治体に二重に信託されたとする憲法解釈である。だから自治体は行政権や立法権ばかりか、国法の独自解釈権も持つと氏は言う。 しかし、地方自治権の根拠をめぐる学説は、国の統治権や憲法の規定に由来するとの学説が一般的であり、複数信託説は異端の学説である。 ともあれ、こうみてくれば、「市民自治」論の正体が分かろう。それは結局、国家主権や国家統治の観念を一掃するための左翼的解釈改憲の試みなのである。言い換えれば「市民自治」論は、憲法の国民主権の原理を換骨奪胎(かんこつだったい・骨を取り換え、胎(こぶくろ)を取ってわが物として使うこと)して、国家に抵抗する市民運動や自治体権力を正当化するためのイデオロギーなのだ。むろん、そこで言う「市民」が、国籍を前提としない「市民」であることはもはや指摘するまでもなかろう。・・・』
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