ドライバーの墓穴
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1 スピカ 2019-03-23 05:59:44 [編集/削除]
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そいつは、アクセルを踏んだ。
信号のない横断歩道。右から渡り始めた私を見て、タイミングを読んだのだ。
──いま加速すれば、歩行者の前方(鼻先)を突破できる。
だから、そいつは、アクセルを踏んだ。
私は、右リアのドアを蹴った。
そいつは、車を降りて「訴えてやる」と息巻いた。
じゃ、一緒に派出所へ行きますか。
▼
派出所にて。
そいつが警官になんと申し立てるか、聞いてみた。
「徐行したのに、蹴られた」
そいつは、嘘を言った。
他に目撃者がいないことを幸いに、警官に偽証するという恐ろしいことをやってのけた。
「あなたは横断歩行者を見て、徐行で横断歩道を通行したのですね」
この警官の念押しには重大な意味があった。
「はい、徐行しました」
即答。もう引き返せない。
「横断歩道に人がいたら、一時停止の義務があるんですよ。徐行じゃだめなんですよ」
「……徐行したんです」
「徐行じゃだめなんですよ! 免許持ってるなら知ってるはずですよ」
「…………」
「器物損壊で被害届けを出すなら、あなたの歩行者妨害・安全運転義務違反もしっかり調べますよ。どうしますか?」
どうするもこうするも、ブレーキではなくアクセルを踏んだ時点で、
言い訳は一切できない状況を自ら招いていたのだ。
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