2 manolo 2013-09-11 13:11:38 [PC]
1-2. 【租税回避地とは?】 租税回避地の仕組みは得目新しいものではなく、貿易・金融・税規制を迂回する流れはつねに存在していた。それでも第2次世界大戦後、第2の独立の波が起こったとき、いわゆる租税回避地が加速度的に形成されたのが確認できる。これらの領土の多くは、それまでは貿易の通過地域でしかなく、生産地域でも開発地域でもなかった。たとえば、三角貿易を受け継いだカリブ諸島やヴァヌアツ、キリバス、バハマなどで、かつてイギリスの戦略的地域として機能していた。これらの国が独立した時点で、本国は政治的・財政的支援をやめ、多くの新国家は発展のために観光や金融を選択することになる。(p.86)
1-3. 租税回避地の特徴は、国際的資金の流通が完全に自由なこと、銀行の秘密遵守がが強固または完全なこと、企業登録が容易で早いこと、そして非居住者の税金がかからないことだ。また、租税回避地になるには、政治的・経済的に安定していることを強調しなければならず、資金洗浄(マネーロンダリング)の場として有名であってはいけない。さらに、大証券市場(ロンドン、ニューヨーク、パリ、東京、上海)の支援を利用する力もなければならない。後者はオンショア(通常の金融)とオフショア(規制外の金融)の仲介役をしているからだ。(pp.86-87)
1-4. 租税回避地がもたらす利益は無限にある。まず、資産を秘密裏にしておきたい個人の富豪(税金対策、相続税の免除など)に「名目上」の支払い場所を与える。このやり方は倫理上非難されるべきだが、法律を迂回する方法を知っていれば法的に可能である。ここ数十年、世界で大富豪が増加したことで租税回避地への流出現象はより強まった傾向があり、100万ドル以上の資産を預ける個人の数は、1996年の450万人から2010年には1000万人ほどになっている。(p.87)
1-5. 租税回避地はまた大企業にも奉仕している。たとえばヨーロッパの有名大企業上位50社はすべてヨーロッパか他の地域の租税回避地に存在し、そこに子会社の20%の住所登録をしている。このやり方はとくに多国籍大企業に有利で、税の重圧を軽減することができる。税率の高い地域での利益を実質以下にし、子会社のある租税回避地での利益を最大にするのである。(p.87)
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