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無人機(無人航空機) (コメント数:13)

1 manolo 2013-02-14 01:09:59 [PC]

出典: ニューズウィーク日本版、2/19/2013、p.20

1-1. オバマ米大統領の無人機使用は今や公然の秘密。しかし、その実態はあまり知られていない。パキスタンやイエメンで実施された作戦は広く報道され、米政府もそれとなく事実として認めることが多い。とはいえ公式にはあくまで機密事項であり、作戦遂行に何らかの指針があるとしてもそれは非公開だ。

1-2. オバマ政権顧問として無人気による「標的殺害」計画を策定したジョン・ブレナンがCIA(米中央情報局)の新長官に指名されると、指名承認公聴会でも当然、注目を集めた。折しも、先日NBCニュースが入手したオバマ政権の内部文書には、無人機による殺害を正当化する法的根拠などが示されていた。

1-3. 【リークされた文書の中身】
 16ページに及ぶこの文書を理解するには、11年9月の作戦について知っておかないといけない。アルカイダ系組織の指導者で米国籍を持つアンワル・アル・アウラキが、イエメンでの無人機攻撃で殺害された。彼は正式に訴追されていなかったため、この作戦は米憲法修正5条(法に基づく適正な手続きなしに生命を奪われない)違反ではないかと指摘されている。文書では、政府は外国にいる人物でも、「切迫した脅威」を及ぼせば殺害できるとする。ただし「切迫した」の定義が広すぎて意味がない。近日中にアメリカの国民あるいは権益が攻撃されることを示す明確な証拠がなくても、「切迫した脅威」に入り得るというのだから。

1-4. 【作戦承認の手続き】
 「標的リスト」に新たなターゲットを追加する場合は、オバマ大統領自身が承認しているといわれる。またその傍らには常にブレナンがいる。だがこの2人以外では誰が新たな標的を「指名」できるのか。選定に基準があるのか。その場その場の判断なのか。大統領選中に共和党のロムニー候補の優勢が伝えられた際、オバマは政権は引き継ぎに備えて、それまでなかったある種の「マニュアル」を慌てて作り始めたとも報じられた。

2 manolo 2013-02-14 05:58:52 [PC]

1-5. 【誰を殺害しているのか】
 これも内部文書では明らかにされなかった疑問だ。02年のブッシュ政権時に始まった無人機作戦の初期の標的は、対米人攻撃を計画中とされるアルカイダ幹部だった。しかし上層部を一掃した後も作戦は続行された。最近はアフガニスタン、イエメン、ソマリアで反政府武装勢力の下っ端戦闘員が標的にされ、相手の身元がよくわかっていないこともある。集団行動のパターンが少しでも武装勢力のように見えたら標的にする「識別特性攻撃」も論議を呼んでいる。米国務省ではこんなジョークがはやっているらしい。男が3人並んで軍事訓練のような挙手跳躍運動をすれば、すぐにCIAに殺される。

1-6. 【民間人を殺しているのか】
 公式見解は、ブレナンいわく民間人の犠牲は「非常にまれ」だ。だが、CIAは無人機作戦の犠牲者が成人男性だった場合、「戦闘員」として数えている。昨年8月にイエメン人のアルカイダ要員3人が無人機で殺害されたとき、ちょうど彼らのテロ活動をやめさせようと説得に来ていた穏健派の聖職者とその親族の男性が巻き添えになった。この2人の作戦遂行直後は、民間人でなく戦闘員として処理されたはずだ。

1-7. 【作戦の全体像とその規模】
 正確にはわからない。調査報道協会の推定では、作戦回数はパキスタンで04年から300回、イエメンで02年から40~50回、ソマリアで07年から3~9回。死者数は多めに見積もって3000~4500人だという。

3 manolo 2013-10-19 15:54:58 [PC]


259 x 194
出典:朝日新聞10/19/2013、(「米英無人機、市民犠牲479人」)p.1

2-1. 【国連依頼、初の調査】
 潜伏するテロ容疑者を殺害するとの目的で米英軍などが実施した*無人飛行機による攻撃で、パキスタンなど3カ国で少なくとも民間人479人が犠牲者になっていることが、国連人権理事会が依頼した専門家チームの調査でわかった。朝日新聞が入手した調査報告は米国を名指しし、対テロ作戦や民間人犠牲者のデータを最大限公開し、責任説明を果たすよう求めている。

*無人機攻撃
遠隔操作を駆使し、ミサイルなどでピンポイントの攻撃ができる。代表的な攻撃機はプレデターやリーパーなど。米軍や米中央情報局(CIA)などが関与し、米側にとっては人的被害を出さずに効率的な攻撃や情報収集ができる利点がある。オバマ政権はパキスタンなどでテロ容疑者殺害の殺人の作戦に使ってきた。

4 manolo 2013-10-19 15:56:06 [PC]

2-2. 【パキスタンなど3カ国】
 非戦闘地域での無人機攻撃を巡っては、他国の主権を侵害し、多くの民間人を巻き添えにしているという国際社会の批判がある。国連人権理事会は1月、英国の弁護士ベン・エマーソン氏に調査を依頼。民間人の殺害は国際法上、戦争犯罪にあたることから、同氏は専門家チームとこれまでの攻撃例を調査した。無人機攻撃について国連が依頼した調査は初めて。

2-3.
 パキスタンではエマーソン氏が3月に政府関係者に直接確認。2004年以降で全体の死者が2200人に上り、うち民間人が少なくとも400人と判明した。さらに200人が非戦闘員の可能性がある。国連の現地組織などの集計ではアフガニスタンの死者は58人。イエメンでは現地メディアの調査によると、少なくとも21人が殺害されていた。報告書はテロ容疑者と民間人を区別した基準を示していない。リビア、イラク、ソマリア、パレスチナ自治区ガザでも調査を進めている。米英は調査の一部を開示したが、イスラエルは協力を拒んでいるという。民間の犠牲はもっと多いとの指摘もあり、調査が全容を反映しているかは不明だ。

2-4.
 エマーソン氏は今月下旬、人権を担当する国連総会の委員会で中間報告をする。「無人攻撃は民間被害を少なくできる能力もある」と指摘したが、攻撃を行う場合の法的根拠や、攻撃を受ける国の同意の必要性などについて、新たな国際法の枠組みを検討するよう勧告する。来年までに最終報告をまとめる予定。報告は国連加盟国への拘束力をもたないが、国連人権理事会が、国際人道法の有無を最終的に判断し、対応を検討するとみられる。

2-5.
 オバマ米大統領は地上軍などを投入した他国への軍事介入には慎重だが、無人機によるテロ組織掃討には積極的とされる。日本も無人偵察機の2015年度導入を目指し、中国も訓練を始めている。

5 manolo 2013-10-19 18:45:27 [PC]

出典:朝日新聞10/19/2013、(「無人機 やまぬ巻き添え」)p.2

3-1. 【軍事費削減で多用 】
 米軍などがパキスタンや中東で多用してきた遠隔操作の無人機による攻撃で、国連が依頼した調査結果が明らかになった。自軍の人的被害をゼロにでき、攻撃側には「便利」な手段だが、相次ぐ民間人の巻き添えに、現地や国際社会の視線は厳しさを増す。「むしろテロをあおる」との批判さえある。

3-2.
 「この攻撃には、インテリジェンス(情報の収集・分析活動が不可欠だ。」 数年前、アフガニスタンで無人機攻撃に関与する米軍将校は関係国の外交官にこう打ち明けた。動く人を狙うため、攻撃直前まで正確な情報が必要になるからだという。パキスタン領に逃げ込んだ反政府勢力タリバーンを攻撃していた。治安が悪く、直接部隊を送り込むのは難しいという。

3-3.
 米軍は2001年の米同時多発テロ後無人攻撃を本格化。オバマ政権になって、軍事費の削減もあり、多用するようになった。アフガンの首都カブール市内には、内通者を育て、連絡役になる米中央情報局(CIA)の軍事要員が駐屯。内通者が伝えてくる攻撃目標の動静を即座に、ワシントン郊外のCIA本部に報告していたという。

3-4.
 無人機は基本的に米本土から遠隔操作する。戦闘機などの実践経験者らがモニターを見ながら行う。カブール郊外の米軍基地などから発進。搭載カメラやレーダーで目標を識別し、ミサイルなどの精密誘導兵器でピンポイント攻撃をする。米本土以外に前線にもオペレーションルームを設けているケースもあるという。第一線の部隊から、攻撃目標の近くに民間人の集団がいるといった情報が寄せられた場合、前線の方が早く対応できるからだ。

6 manolo 2013-10-19 19:03:51 [PC]

3-5.
 だが、攻撃した場所にいあわせた米国人を含む多くの市民が巻き添えになっているとされる。インテリジェンスに限界があるうえ、無人機は飛行音が比較的静かなため、接近しても気づきにくいとの指摘もある。操縦者が外傷後心的ストレス障害(PTSD)を患うなど倫理的面の問題も指摘される。軍事アナリストの小川和久さんは「操縦者は殺害場面を画面で見るためストレスが大きい」と語る。

3-6.
 米国は内通者の保護などを名目に、日本などの同盟国にすら無人攻撃の実態を隠し続ける。日本政府関係者は関係国から証言を集め、大体の実態を把握するぐらいしか方法がない」。当時、アフガンの米軍将校は、無人機攻撃を巡る批判について「誤認攻撃が多いというのはタリバーンのプロパガンダだ。戦果は確実に挙がっている」と強調してみせたという。

3-7. 【マララさんも批判 テロあおっている」】
 「無人機攻撃はテロリズムをあおっている」。今月11日ノーベル平和賞が有力視されたパキスタン人少女・マララ・ユスフザイさん(16)は米ホワイトハウスでオバマ大統領を面会し、そう語った。市民が犠牲になり、国民は怒っている、とも訴えた。

3-8.
 無人機攻撃を巡る国際世論は厳しさを増している。世界の人権状況の改善に取り組む国連人権理事会も背中を押された形だ。オバマ氏は就任以来、、無人機攻撃を多用し「対テロ作戦」と説明してきた。しかし、テロ容疑者を司法手続きを経ずに殺害する方法は、残虐だとの指摘は米国内外で出ている。批判の高まりを受けて今年5月、「米国人にとって差し迫った脅威」と認定した人物に対し、校則が困難な場合に限って使用する方針を表明。運用厳格化へ事実上の方針転換を迫られている。

7 manolo 2013-10-20 00:23:50 [PC]

3-9. 【「主権を侵害」 現地制限訴え】
 パキスタンで無人機攻撃が続いているのは、隣国アフガニスタンと国境を接する部族地域。地元部族が自治する半無政府状態にあり、01年以降、対テロ戦でアフガンを逃れた国際テロ組織アルカイダの外国兵が流入した。パキスタン軍も10年以上にわたってこの地域で掃討作戦をしているが、制圧は一部にとどまる。地域の奥深くに潜む武装勢力の中枢部をたたくうえで、無人機攻撃はほとんど唯一の有効な攻撃手段だ。

3-10.
 CIAは04年、ここで無人機による攻撃を初めて実施し、アルカイダをかくまっていた地元武装勢力の幹部を殺害。その後も、アルカイダ系を含む武装勢力の幹部を多く殺害した。米国は中東イエメンでも「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)の掃討作戦で無人機を多用している。AQAPは09年末に米デトロイトで起きた米航空機爆破テロ未遂への関与が疑われる。オバマ米政権は「とりわけ深刻な脅威」と位置づけ、11年春ごろからCIAによる無人機攻撃を本格化。同9月にはAQAP指導者だった米国人アンワル・アウラキ氏らを殺害した。

3-11.
 イエメンやパキスタンは米軍の大規模戦闘地域ではない。だが、両国の政府は武装勢力を抑え込みたい思惑から、米国による無人機殺人攻撃を容認してきた。一方で両国の国民は無人機攻撃に強く反発する。テロ組織とは無関係の市民の命が奪われたからだ。パキスタンでは民間人400~600人が死亡。イエメンでは昨年9月、AQAP幹部の車を狙ったミサイルが後続の小型バスに命中し、子どもを含む十数人が亡くなった。パキスタンのシャリフ政権は今年9月、国連安全保障理事会で「無人攻撃は主権侵害で国際法違反」と問題提起。シャリフ首相は今月下旬に予定される訪米の際、オバマ氏との会談で無人機問題を取り上げる見通しだ。

8 manolo 2014-07-07 16:29:13 [PC]

出典:朝日新聞、5/5/2014、「非情世界 信義なき情報戦争 無人攻撃 深い闇 テロ対策、CIA多用」、pp.1-2

4-1.
 中東イエメンの首都サヌア郊外。のんびりと走る自動車が、突然、ミサイルで攻撃された。乗っていた8人は全員、即死だった。昨年1月23日のことだった。教育指導員ムハンマド・カウリさん(40)は、ドローンと総称される無人機によるこの攻撃で、小学校教師の弟(当時33)と大学生のいとこ(同22)をなくした。弟らは市場で出会った武装した男6人に頼まれ、近くの村に送っていくところだったという。カウリさんは攻撃の理由をイエメン内務省に尋ねた。しばらくして、「亡くなった人々は国際テロ組織アルカイダとは無関係だと分かった。不幸な死だった」と記された書面が届いた。検察に捜査を求めたが「背後に米国がいる」と拒まれた。(p.1)

4-2.
 イエメンやパキスタンで、無人機の一つ「リーバー」などを操るのは米国の情報機関、中央情報局(CIA)。職員だったドナルド・グレッグ元駐韓米大使によれば、CIAはカーター政権で中止した暗殺などの軍事的な活動を、2001年の同時多発テロ以降に再開した。無人機攻撃機はテロ組織を掃討するための代表的な手段の一つだ。米国の無人機は、全地球測位システム(GPS)によって地球の裏側からでも操縦できる。ブッシュ、オバマ両政権は「民間人の犠牲者や(米国側の)戦死者を出さず、安価に攻撃できる(米政府幹部)として多用した。ワシントンの外交筋は「失業状態だったCIAが軍事部門の士気が大いに上がった」と語る。(p.1)

4-3.
 ところが、無人攻撃機の拡大につれ、誤爆や巻き添えの被害が次々に報告されている。米シンクタンクの推計では、無人攻撃機の死者数は、イエメンとパキスタンだけで約2900~4500人。このうち民間人は330人~400人とみられている。しかし、実際は依然として闇の中だ。国連や人権団体の求めにもかかわらず、米政府は作戦の中身をほとんど公開していない。同盟国の日本も例外ではない。日本外務省関係者は「米国は、情報収集・分析の能力や武器の性能を知られるのを嫌っている」と語る。(p.1)

9 manolo 2014-07-07 16:52:33 [PC]

4-4.
 CIAは軍事部門を有する世界で数少ない情報機関だが、軍隊ではない。CIAによる無人機攻撃には、市民を戦闘対象から除くことを定めたジュネーブ条約違反の影もつきまとう。米国と同じ行動を中国や北朝鮮が取り始めたらどうなるのか。今年度から5年間で3機の無人偵察機を導入する自衛隊、日本も無関心ではいられない。(p.1)

4-5. 【顔・声紋、照合しても誤爆】
 昨年5月、パキスタン北西部の部族地域にある北ワジリスタン地区。反政府武装組織パキスターン・タリバーン運動(TTP)の幹部が無人機の攻撃で死んだ。幹部は家屋に潜んでいたとも、車で移動中だったともされた。外交筋によれば、幹部は部族間の仲裁を終えたばかりだった。謝礼として受け取った電子コーランに、無人機のミサイルを誘導する発信機が仕掛けられていた。同筋は「内通者が発信機を取り付けた」と語る。(p.2)

4-6.
 米軍事関係筋は「ドローン(無人機)攻撃には、インテリジェンス(情報収集・分析活動)が不可欠だ」と語る。日米などの政府関係者や専門家によれば、世界各地に(CIA)の軍事部門要員がいる。彼らは大使館ではなく、独自の施設に勤務。情報を提供する内通者を高額の報酬で募集して操る。(p.2)

10 manolo 2014-07-11 18:12:08 [PC]

4-7
 内通者が送ってきた情報をCIAが管理する「標的リスト」と照合する。確認項目は名前や居住地など多岐にわたる。標的の写真を撮り、声を録音する。保存した写真や声紋と一致するかどうかを確認するためだ。条件が一致すれば、攻撃に移る。無人機のミサイルを標的まで誘導するため、発信機を仕掛けたり、地上からレーザーを当てたりする。こうした情報は米本土にある無人機を操作する基地に、刻々と送られる。操作の最小単位は3人。パイロット、レーダーやカメラなどを確認するスキャナーマン、状況判断する作戦コーディネーターだ。複数の人間が標的が情報と一致するかを確認したうえで「エクスキュート(執行)」を命じる。

4-8.
 それでも誤爆や民間人の巻き添えは絶えない。まず、「ストローの穴をのぞくような」(米専門家)無人機の画面を見ながら、操作する難しさがある。さらに、内通者の情報が不十分な場合もある。身の危険から標的について十分な確認ができないことも多い。日本政府関係者は「数少ない好機を逃せず、巻き添え被害が出ることを覚悟で攻撃する場合もあるのだろう」と語る。(p.2)

4-9. 【内通者探し テロ組織抗争】
 地上からの標的情報が欠かせない無人機攻撃は、民間時の巻き添えのほかにも、様々な悲劇や混乱を招いている。パキスタンでは2004年以降、320回以上の無人機攻撃が行われた。国防省は昨年10月、攻撃が本格化した08年以降、武力勢力の2千人以上が殺害され、民間人の巻き添えは67人だったと発表した。民間人の死者は数百人に上るとの見方もある。(p.2)

4-10.
 標的は、隣国アフガニスタンでテロや攻撃を繰り返す反政府勢力タリバーンと、共闘関係にあるパキスタン・タリバーン運動(TTP)の幹部や戦闘員、さらにTTPをかくまうテロ組織アルカイダ系の外国兵だ。TTPは誰かがメンバーの所在情報をCIAや、パキスタン軍情報機関に流していると疑い、スパイ探しに躍起だ。(p.2)

11 manolo 2014-07-11 18:49:39 [PC]

4-11.
 部族地域にあるTTPの根拠地、北ワジリスタン地区では11年~12年ごろ、TTPが内通者と疑う人物を捕らえて拷問し、スパイ関与を自白させる様子を録画。町の広場で公開処刑した後、自白内容のビデオを住民に配る事件が相次いだ。多くはぬれぎぬだったとみられているが、住民には強い警告になった.
(p.2)

4-12.
 疑心暗鬼はTTPは内部にも広がる。09年、当時の最高指導者ベイトゥラ・メス―ド司令官が第2夫人用の自宅に滞在中、無人機攻撃で殺害されると、TTPはスパイ関与を疑って、第2夫人の父親と叔父を拘束し、うち一人を殺害した。昨年11月には後継者のハキムラ・メスード指令官も無人機攻撃で死亡。その半年前には、ハキムラ司令官と後継の座を争ったワリウル・レフマン幹部も無人機で殺害された。双方のグループは断続的に抗争を繰り返し、4月だけで約40人が死亡した。互いに相手方が所在情報をCIA側に流したと疑っていることが、構想の一因とされる。(p.2)

4-13
 無人機攻撃を武装政略をたたく有効な手段と見るパキスタンの歴代政権は、CIAの作戦を黙認してきた。現政権がTTPと和平交渉を始めた昨年末以降、爆撃はないものの、無人機は上空を飛び続けている。TTPのシャヒドゥラ・シャヒド報道担当は「パキスタンが相変わらず主権国家ではないことを物語っている」と主張した。(p.2)

4-14. 【無人偵察機 日本も配備へ】
 4月に起きた北朝鮮による核実験騒ぎ。日本政府関係者の一人は「領空外から偵察できる無人偵察機があれば随分違うのに」と語る。日本政府は4基の情報衛星を持つが、北朝鮮の同じ地点を24時間体制では監視できない。上空に衛星がいない時に、核爆弾の運び込みや坑道の封鎖が行われると、危機がどこまで迫っているのか把握が難しい。(p.2)

12 manolo 2014-07-11 19:03:22 [PC]

4-15.
 日本政府は、今後5年間で無人偵察機3機を配備する。高度偵察機「グローバルホーク」が有力だが、防衛省幹部は「国内議論がまとまらず、世界の流れに遅れた」と語る。昨年9月には、中国の無人機が尖閣諸島上空近くを始めて飛行した。政府内には「将来は無人攻撃機の導入も検討したい」という声もある。米軍の情報将校としてアフガニスタンなどで従軍したデレク・ハービー元陸軍大佐は無人機について「敵を潰すために価値の高い標的を特定するうえで不可欠だ」と語る。(p.2)

4-16.
 だが、不安もつきまとう。無人機を巡る国際的な取り決めはまだない。米高が「テロとの戦争」を理由にジュネーブ条約が禁じる市民の殺害に関与している可能性は高い・国連でも昨年10月、専門家が米国に説明を求めたが、事態は進展を見せていない。専門家の中には「中国がチベットなどで『テロ容疑者』への無人機攻撃に踏み切っても、米国は文句を言えないだろう」という指摘まである。(p.2)

4-17.
 こうした懸念について、日本の立ち位置ははっきりしていない。外務省幹部の一人は「問われれば判断する立場にない、と答えるだろう」と語る。「これほど、他国の主権を侵害するやり方はない。だが、同盟国である米国が様々な政治判断のうえで決めたことには口を出さない」(p.2)

13 manolo 2014-07-11 19:22:28 [PC]

4-18.【ミス積み重なり誤りも ジョン・ジャクソン米海軍大教授】
米無人機の実態について、米海軍大学で無人機のシステムや運用を教えるジョン・ジャクソン教授に聞いた。

4-19.
 CIAは、米同時多発テロが起きた2001年秋以降の早い時期に、アフガニスタンで使い始めた。02年にはイエメンで、その後にパキスタンでも使うようになった。無人攻撃機の運用は、非常に注意深く行われている。地上にいる人からの情報、電話や無線などの電波情報を総合し、攻撃する。攻撃命令は複数の人間が連携して行う。米国にある指揮所にはパイロットや(探知装置を扱う)センサーオペレーター(スキャナーマン)がいるが、その背後にも数人が控える。攻撃時、パイロットが目標を見つけ、センサーオペレーターが攻撃対象かどうかを確認。法的な問題も考慮し、最後に指揮官が攻撃を命じる。パイロット1人が攻撃を決める有人飛行機よりも良いプロセスだ。(p.2)

4-20.
 目標を識別する方法も複数ある。多くの場合、地上にいる人間が照準器で目標にレーザーを当て、ミサイルを誘導する。(標的にひそかに発信器をつけることは)実際にあったかどうか、答えられない。発信器を使えば目標の発見や攻撃がより簡単になるのは事実だ。昔は一つの目標の攻撃に数百発の爆弾を使った。今は様々な技術を使って、一発の爆弾やミサイルで目標を簡単に攻撃できる。米国には日本と同じように自衛する権利がある。パキスタン政府は、タリバーンやアルカイダを掃討できない。こうしたテロ組織が米国を攻撃するまで待つことは、我々にはできない。(p.2)

4-21.
 (民間人の犠牲者がパキスタンなどで479人に上るとされることについて)全員が無人機の犠牲なのかどうか、はっきりしない。どんな戦争でも市民の犠牲は生まれる。無人機は、他の兵器に比べて市民の犠牲を減らせると信じる。(誤爆は)機械故障の場合もあるし、人からの情報が誤っている場合もある。小さなミスの積み重ねが誤りにつながる。米国は、無実の市民を殺す敵と戦っている。今、我々が取り組むのは、従来はなかった戦争だ。敵の姿や行動を知るために、インテリジェンス(情報収集・分析活動)はこれまで以上に重要になっている。(p.2)
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