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アルジェリア人質事件 (コメント数:6)

1 manolo 2013-01-18 12:50:51 [PC]

出典:朝日新聞、1/18/2013、p.2

1-1. アルジェリア当局や現地報道などによると、16日午前5時(日本時間同日午後1時)ごろ、アルジェリアの首都アルジェの南東約1300キロのイナメナスの天然ガス施設で、重武装の車両3台に乗り込んだ20人ほどにバスが襲撃された。(中略)居住区にいた、少なくとも3人の日本人のほか、英国人、米国人、フランス人、とノルウェー人13人、アイルランド人1人の外国人計40人以上とアルジェリア人150人ほどがとらわれた模様だ。爆弾付きのベルトを着用するように強いられた人質もいるという。

1-2. 武装勢力が外国メディアを通じて出した声明によると、マリに軍事介入したフランス人への報復が目的。服役中のイスラム主義者100人の釈放も要求した。

1-3. 事件の背景には、アルジェリアと国境を接するマリ北部の無政府化にいよって、広大な砂漠地帯が「テロリストの天国」と化していたことがある。マリ北部は昨年4月、反政府勢力「アザワド解放国民運動(MNLA)が一昨年のリビア内戦から持ち帰った高性能の武器で政府軍を圧倒。政府内のクーデターの際、北部全土を制圧し、独立を宣言した。だがアルジェリアやニジェールなどに勢力を持っていた国際テロ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)など複数の武装勢力が入り込み、MNLAを駆逐した。

1-4. マリに対する国際支援は遅れた。その隙に乗じて武装勢力は今月10日、南下を開始した。早期介入を主張していた旧宗主国フランスが、南下を阻止するために空爆を始め、地上部隊も導入した。周辺国を含め3万人の仏系住民がいるほか、ニジェールで仏系会社がウランの採掘に携わるなど国益が脅かされてきたことが背景にある。

1-5. アルジェリアは当初、武装勢力を刺激することで自国への波及と報復を恐れ、自国を含め外国軍の介入んは消極的だったが、仏の強硬姿勢に仏軍機の領空通過を許した。武装勢力側には、これがイスラム教徒の国アルジェリアの「裏切り行為」と映った。マリへの軍事介入も相まって、報復へとつながったとみられる。

2 manolo 2013-01-18 13:21:57 [PC]

1-6. アフガニスタンを拠点としていた国際テロ組織アルカイダは9.11事件後、米国のテロ掃討作戦により、壊滅的な打撃を受けた。のがれた中東でも摘発を受け、行き場となったのがマリやニジェールなど政治基盤が弱い北・西アフリカの国々だった。この地域は石油や鉱物資源の開発が進む一方で、利益は旧宗主国系の特権階級に独占され、貧富の差が拡大。政府や旧宗主国への不満を抱く若者層が、テロ組織に身を投じる土壌ができていたといわれる。

1-7. 飯塚正人・東京外語大教授(現代イスラム研究)は「破綻しかかった国家の人々の目に武力は魅力的に映り、欧米の搾取に反対する姿勢も共感を呼んだ」と指摘する。さらに、2011年のリビアのカダフィ独裁政権崩壊に伴い、武器と戦闘員が周辺諸国に流れ込んだことも武装勢力の伸長に弾みをつけた。

1-8. 今回、傘下の「血盟団」が実行犯と認めた「覆面旅団」もこうした武装勢力の一つとみられる。アルカイダ系組織との連携があるとされる、北アフリカ・サハラ地域を拠点に活動する「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)から分派した。

1-9. 仏紙ルモンドによると、リーダーのモフタル・ベルモフタル司令官は1972年、アルジェリア中部生まれ、ハリド・アブアッバスとの名前もある。91~93年にアフガンでの戦闘にムジャヒディン(イスラム戦士)として参加した。覆面旅団は200~300人の戦闘員で構成され、アルジェリアのほかにエジプト、チュニジア、シリア人などが参加している可能性があるという。仏紙リベラシオンによると、「隻眼」「ミスターマールボロ」など様々な異名を持つという。

3 manolo 2013-01-20 22:17:28 [PC]

出典: 朝日新聞、1/20/2013、p.2

2-1. イナメナスの天然ガス施設は、アルジェリア経済の「生命線」だ。武装勢力はその重要性を認識したうえで襲ったとみられる。軍による早期の制圧作戦からも、外国企業の進出を減速させたくないとのアルジェリア政府の思惑がにじむ。英石油大手BPによると、アルジェリアの天然ガス生産は世界8位(2011年)を誇る。石油と合わせると輸出総額の98%、国内総生産(GDP)の約3割を占める国の屋台骨だ。パイプラインでつながる欧州連合(EU)にとっても、アルジェリアは欠かせない存在だ。イタリアは約4割、スペインは約3割の天然ガスを依存。日本も昨年度、11万トンを輸入した。

2-2. 砂漠に囲まれ、事件現場となったイナメナスでは、BPなどが06年にガス生産を開始。その主要施設を襲われたアルジェリア政府にとって、自体が長期に及ぶことは輸出に影響を与えかねない。英紙ファイナンシャル・タイムズ(電子版)は「欧州のエネルギー市場に影響がでている」と報じた。イナメナスはリビア国境から50キロに位置している。リビアも天然ガスなどの資源に恵まれるが、カダフィ政権崩壊に伴う混乱で、欧州各国はアルジェリアへの資源の依存度をさらに高めることになった。

2-3. また、同時に大量の重火器も武装勢力などに流出。米CNNによると、リビア南部にはイスラム過激派の3拠点がある。英紙ガーディアン(電子版)は米情報会社のアナリストの話として、「外国企業が投資する辺境のプラントは、テロ組織にとって、その国の双方に打撃を与える格好の標的になっている」と伝えた。

4 manolo 2013-01-22 23:02:36 [PC]

出典: 朝日新聞、1/22/2013(夕)、p.9

3-1. 【日本人が巻き込まれた主なテロ】

1996年12月
ペルーの日本大使館公邸を左翼ゲリラが占拠。大使ら約600人が人質に

1997年11月
エジプト・ルクソールで銃乱射テロ。日本人観光客10人を含む約60人が死亡

2001年9月
米国同時多発テロ。日本人24人を含む約3千人が死亡

2002年10月
インドネシア・バリ島で爆弾テロ。日本人夫婦を含む外国人観光客ら約200人が死亡

2003年11月
イラク北部で日本人外交官2人が殺害される

2004年5月
イラク・バグダッド近郊で日本人フリージャーナリスト2名が襲われ死亡

2005年10月
インドネシア・バリ島に同時爆弾テロ。日本人1人を含む約20人が死亡

2008年11月
インド・ムンバイで同時多発テロ。出張中の日本人会社員1人を含む約170人が死亡

5 manolo 2013-02-15 00:18:50 [PC]

出典: 朝日新聞(社説、川上泰徳(やすのり))、2/14/2013、p.

4-1. アルジェリア人質事件発生からもうすぐ1カ月になる。多くに人命が失われた悲劇はいまも重く胸にのしかかる。国内では自衛隊法改正の動きが出ている。在外邦人の避難や輸送のため、自衛隊による陸上輸送や海外での武器使用基準の緩和が検討されているという。

4-2. 一方で、中東で援助活動に携わる専門家やNGO関係者からは「中東での安全は、地元の人々との信頼関係から生まれる」という声を聞く。危険があれば地元のアラブ人が助けれくれるし、警告もしてくれる。私の経験でもそれが一番頼りになる。中東にいる日本人は、日本の特殊部隊が来て救出してくれるとは考えない。日本大使館の情報収集能力は高くないことも承知している。

4-3. その代り、日本や日本人の強みは中東の人々に好意的に受け入れられることだ。欧米と違い、この地域で植民地や軍事侵攻など負の歴史を持たず、戦後復興と成功の象徴として尊敬されている。日本はエジプトのカイロ大学小児病院建設や、パレスチナ自治区で母子手帳を使った母子保健など「人の命を助ける」援助を重ねてきた。

4-4. 今回事件が深刻なのは、そんな中東で10人もの日本人が犠牲になったことである。事件を起こした「アルカイダ」を率いたビンラディンは2003年秋、イラクに自衛隊を派兵する動きの中で「不当な戦争に参加する国々」として日本を名指しした。当時の小泉首相はアラビア語衛星TVアルジャジーラに出演し、「自衛隊は戦争に行くのではない」と語った。しかし、私は中東で何度も「日本はなぜ、米国の戦争に協力するのか」と質問を受けた。自衛隊は2年半後、駐留を終えた。小泉首相は「自衛隊はイラクで一人も殺さなかった」と伝えるべきだった。

6 manolo 2013-02-15 05:44:26 [PC]

4-5. ビンラディンは米軍に殺害されたが、その言葉はインターネット上に残ろる。日本のテロとの戦いは、人々との信頼関係を構築し、「日本敵視」の言葉を切り崩すことだった。日本政府が人質事件で求めた「人命重視」は中東とのかかわりで基本でもある。そんな日本の立場は中東の人に伝わっているだろうか。

4-6. 日本はアラブの民衆に向けて、日本人が殺されたことに対する無念なお思いを日本が行ってきた「命を救う」プロジェクトの実績とともに、発信する必要がある。
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