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銃規制 (コメント数:9)

1 manolo 2013-01-18 17:55:52 [PC]

出典:朝日新聞、1/18/2013、p.3

1-1. オバマ大統領は16日、コネティカット州の小学校で起きた銃乱射事件を受けた銃規制の強化策を発表した。最優先課題に位置付けて、議会の反対勢力を押し切る構え。だが、強い政治力を持つ全米ライフル協会(NRA)は強く反対し、国内世論も割れている。

1-2. 米紙ワシントン・ポストと米ABCテレビが14日に公表した世論調査によると、事件後に銃規制がより必要だと感じるようになった人は52%、より感じなくなったとしたのは、わずか5%だった。オバマ政権や連邦議会が取り組むべき政策の優先順位として、「銃規制」は、「経済」「財政赤字削減」「税制改革」に続いて4位につけた。

1-3. 銃犯罪の被害者も動き出した。2年前にアリゾナ州で銃撃され、一時重体に陥ったガブリエル・ギフォーズ前下院議員は6日、夫とともに「責任ある解決を支持する米国民」という政治団体の結成を発表。銃規制に取り組む政治家を支持するという。コネティカット州のサンデーフック小学校の乱射事件の遺族らも、事件から一カ月となる14日に「サンデーフックの約束」という非営利団体を立ち上げた。

2 manolo 2013-01-18 18:10:14 [PC]

1-4. 一方、銃規制に反対する全米ライフル協会(NRA)は16日、「法律を守る、正直な銃所持者だけが影響を受けて、こどもは再び悲劇にあう」とオバマ氏の対策を批判。「我々は超党派の連邦議会と、本当の問題解決に取り組む」と、関連法案の成立阻止に自信をのぞかせた。

1-5. NRAは15日に公開した宣伝ビデオで、オバマ氏の二人の娘が学校でも警備の対象になっていると指摘。すべての学校に武装警官を配置するというNRAの提案に反対するのは「偽善だ」と批判した。

1-6. 豊富な資金力と選挙での支援をテコに、強力なロビー活動を行うNRAの影響力は、下院で過半数を占める共和党はもちろん、与党・民主党にも及ぶ。上院民主党の司令塔・リード院内総務ですら、NRAの支援を受けており、規制強化の法案には消極的だ。

1-7. とりわけ、殺傷力の高いアサルト・ウエポン(突撃銃)や弾倉・弾丸の製造・販売の禁止はハードルが高い。どこまでを「殺傷力の高い」と認定するかは難しく、線引きの仕方によっては、憲法で定められた銃所持の自由に抵触する、と批判を浴びかねない。すでに大量に出回っており、製造・販売禁止の効果を疑問視する見方もある。

1-8. ピュー・リサーチセンターが14日に公表した世論調査では、考えられる銃規制のうち、「身元調査の強化」については85%が賛成しているが、「突撃銃の禁止」については55%にとどまっていた。

3 manolo 2013-01-23 11:40:10 [PC]

出典: ニューズウィーク日本版、1/29/2013、p.17、p.23、p.83

2-1. 米コネティカット州の小学校で起きた凄惨な銃乱射事件を受けて、銃規制強化に突き進むオバマ大統領。これに対し、規制に反対する全米ライフル協会(NRA)は、オバマの娘サーシャとマリアを政治利用するという禁じ手に出た。校内で2人だけに武装した要人警護が付いているのは不公平とし、すべての学校に武装警官を配備するよう求めるCMを放映したのだ。だが高性能の銃器が簡単に入手できる国では、そんな対策は無意味だ。それどころが全米の10万校に年間200日、武装警官が常駐すれば、新たな重大事故が起こる可能性は極めて高い。おもちゃの銃で遊ぶ生徒に誤って発砲する、生徒が警官の銃を奪ってけんか相手を撃つ、精神疾患を患った警官が生徒を大量虐殺する・・・。(p.17)

2-2. コネティカット州のサンディフック小学校で起きた銃乱射事件で、児童20人が犠牲になったのは昨年12月。その後1ヶ月間にさらに900人が銃で命を落としたと、オバマは語った。(p.23)

2-3. 議会に対してオバマは、銃購入者全員に身元調査を行う法案の成立や、04年に失効したアサルト銃の販売禁止令の復活、弾倉に装填〔そうてん〕する銃弾を10発以下に制限する法案の成立を求めている。さらにオバマは、アルコール・タバコ・銃器取締局(ATF)の局長に指名したB.トッド・ジョーンズの承認を議会に求めた。ATF局長職は06年にNRAの要請で議会承認事項とされて以来、空席が続いていた。(p.23)

2-4. 殺傷力の強いアサルト銃の禁止には象徴的な意味があるが、実現までのハードルは高い。議員の半数はNRAの支持を受けており、下院多数派の共和党には禁止を支持する気配がない。(p.23)

2-5. 中道左派のシンクタンク「第三の道」のジム・ケスラーは、アサルト銃の販売を禁止しても拳銃を買えれば犯罪抑止効果は望めないと指摘する。オバマが掲げる対策は、アサルト銃の販売禁止が実現するかどうかだけで評価すべきではないとケスラーは考えている。彼によれば身元調査の効果は10段階で「10」だが、アサルト銃の販売禁止の効果は「3」にとどまる。「銃を愛する人がこの規制も愛することはできる」と、ケスラーは言う。銃の正規販売店で身元調査を経て購入する人に、この規制を恐れる理由はない。ハンターが鹿を射止めるのに10発以上の連射など必要ない。(p.23)

4 manolo 2013-01-23 14:51:12 [PC]

2-6. アメリカにある根強い銃文化の一端は、毎年6月にオクラホマ州で開かれるアメリカ最大規模の機関銃のショーでうかがえる。参加費は1日10ドルで、10歳以下は無料だ。別途料金を払えば大人から子供まで、機関銃を撃ったり戦車に体験乗車したすることもできる。(p.83)

2-7. 幼い子供を連れた家族が機関銃に興じて歓声を上げる様子には、困惑させられる。撮影した報道カメラマンのピート・ミュラーは、「アメリカ人は銃が好きだ。自由や個人、勇敢さといった銃の象徴するものすべてが、アメリカ人には愛国心と結びついている」と語る。銃社会を底辺から支えるのは、アメリカ国民の銃に対する深い愛着にほかならない。(p.83)

5 manolo 2013-02-08 01:22:04 [PC]

出典: ニューズウィーク日本版、1/26/2011、pp.34-37

3-1. 1月12日、アリゾナ州トゥーソンを訪れたバラク・オバマ大統領は、8日に起きた銃乱射事件の犠牲者に思いをはせ、米国民にもそうするよう呼び掛けた。あの日、ガブリエル・ギフォーズ下院議員と会うためにスーパーマーケットの前に集まった人々は、民主的な政治参加という、最も「アメリカ的」な行いを実践していた。そのアメリカは一方で、200年近く前から政治指導者の暗殺を自己表現の効果的な手段とみなす連中に悩まされてきた。その大半は性的な欲求不満を抱えた社会的不適応者で、共通点は世間から孤立していることぐらいしかない。しかし、彼らもまた、アメリカの一部だ。(p.36)

3-2. 彼らの存在は個人単位にまで細分化が進んだアメリカ社会の行く末について、何かのメッセージを発しているのかもしれない。他の国々の場合、政治的暴力のほとんどは過激な政治運動や宗教上の原理主義、犯罪組織と結びついている。だがアメリカの暗殺者は、大抵はイデオロギーというより、漠然とした政治的不満や個人的怒りに駆られた変わり者のストーカーだ。(p.36)

3-3. 今回の銃乱射事件を起こしたジャレッド・ロフナーも、この類型に当てはまるようだ。22歳の銃撃犯はジョン・ロール連邦地裁判事と9歳の少女クリスティ-ナ・グリーンを含む6人の命を奪い、ギフォーズをはじめとする14人を負傷させた。ロフナーはトゥーソンのスーパーの外で半自動拳銃を振り回し、数秒間に30発発射した。当局が公開した顔写真のゆがんだ笑いと異常に鋭い目つきを見る限り、まともな犯行動機があったとは思えない。(p.36)

3-4. アメリカの憲法と政治体制は政治的暴力と表裏一体の関係にある。アメリカは武力革命によって生まれた国家であり、ロフナーや過去の暗殺者もそれを意識していた。多くの米国民の祖先が銃を手にしてフロンティアを切り開き、先住民の土地を奪った事実は、アメリカの自己認識の中でも特に重要な「神話」の一つだ。だが、武装の権利を規定した憲法修正第2条を擁護する人々も、この権利がしばしば暴力事件を助長していることは理解しているに違いない。アメリカ社会が正面から精神疾患と向き合おうとせず、統合失調症に治療に必要な資金調達と法整備に取り組まなかったことも、この種の事件を防げない一因だ。(p.36)

6 manolo 2013-02-08 15:02:53 [PC]

3-5. テキサス州ダラスでジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された1963年から、ワシントンでロナルド・レーガン大統領の暗殺未遂事件が起きた81年までの18年間は、暗殺の時代とも言うべき時期だった。この間に殺傷または銃撃された著名人を挙げ始めれば切りがない。黒人解放運動の活動家マルコムX(65年)とマーチン・ルーサー・キング(68年)、ケネディ大統領のロバート・F・ケネディ上院議員(68年)(中略)ジョン・レノン(80年)・・・・・・。まだたくさんいる。(pp.36-37)

3-6. レーガン殺人事件未遂の後、シークレットサービスは大統領と家族の警備体制をさらに強化し、暗殺者がその網をくぐり抜けるのはかつてなく困難になった。70年代までは、大統領主催行事の招待客は金属探知機を通らずに会場に入れたが、今は大統領の側近でもIDカードを忘れたら入れない。だが、議員や州知事、その他の名士なら、今でも一般市民が近づける。(p.37)

3-7. 多くの場合、こうした事件の直接的な原因を特定することは不可能だ。メディアやネットでどんなに物騒な言葉が飛び交っていても、ほとんどの人は暴力行為に訴えたりしない。だが、ある専門家の推定によれば、統合失調症の人間はアリゾナ州だけで約2万1000人いる。そのうち約10%は危険な行動に走る可能性があるという。(p.37)

3-8. ロフナーの犯行動機はもっと曖昧だが、政治的要因がゼロと言うわけでもない。この事件は怒りで我を忘れた男がショッピングセンターで無差別に発砲したものではない。07年の政治集会でギフォーズに質問したのに、答えてもらえなかった――ロフナーは一方的にそう思い込み、傷ついていた。そのために復讐したいという欲求に取りつかれ、襲撃の計画を事前に練っていたようだ(私物の中にあった手紙には「死ねビッチ!」と書いてあった。(p.39)

3-9. ロフナーは「政府を転覆させて通貨制度を変えることは可能だ」とネットに投稿していた。こうして激しい弁舌は偏執性妄想と政治的狂気が入り混じった典型で、昔からアメリカの暗殺者の特徴でもある。「先輩」の大多数と同じようにロフナーも学校を退学し、仕事は長続きせず(犬の散歩のボランティアは、有毒ゴミ廃棄上の近くを通ると言い張ってクビになった)、軽微な違法行為もあった(交通標識に落書きした)。そして凶行の少し前から急激に人格が変わった。(p.37)

7 manolo 2013-09-26 00:11:07 [PC]


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出典:『ニューズウィーク日本版』、10/1/2013、(「銃の悲劇を止められない規制派の戦意喪失」、デービッド・ウィーグル)p.20

4-1.
 なぜアメリカは銃による悲劇を止められないのか。先週、首都ワシントンの海軍施設で新たな銃乱射事件が発生した。約5カ月前の4月17日、米上院は銃規制強化法案を採決している。法案は26人が死亡した昨年12月のコネティカット州の小学校での銃乱射事件を受けて超党派の議員らが提出。銃購入時の身元確認強化を目指す内容だった。次に乱射事件が起きたら、その時こそ――オバマ政権をはじめ多くの銃規制派がそう考えた。

4-2.
 しかしあえなく否決。法案をまとめたパトリック・トゥーミー上院議員(共和党)の広報担当者は「社会の風向きは変わらない限り、結果も変わらない」とぼやいた。今回の事件後にトゥーミーは声明を出した。「上院で銃規制について話し合ったが可決に必要な票数に5票足りなかった。今回の悲劇が風向きを一変させるかどうか」

8 manolo 2013-09-26 00:13:45 [PC]

4-3.
 残念ながら答えはノーだ。確かに小学校での銃乱射事件は銃規制の動きを加速させ、民主党議員もようやく重い腰を上げて全米ライフル協会(NRA)と対決した。その結果4州で新たに銃規制法が生まれたが、18州では逆に規制が緩和され、そのほとんどで銃を隠して携帯できる範囲が拡大した。西部で唯一銃規制法案を可決したコロラド州では、州議会で法案成立の先頭に立った民主党議員2名が弾劾選挙に敗れた。

4-4.
 そもそも銃規制派に事件を防ぐ有効な手だてがあるわけではない。今回の乱射事件の容疑者は犯行2日前にバージニア州の銃販売店でAR15アサルトライフルを試射したが、州民以外への販売が州法で禁じられていたため購入を断念。代わりにショットガンを購入した。護身用にショットガンを買うことはバイデン副大統領も勧めており、政府が認めたも同然だ。

4-5. 《「銃には銃で」という姿勢》
 クリントン政権の時に軍事施設での銃規制を強化さえしなければ事件は防げた、と銃容認派は主張する。息子が「事件当時、海軍施設の海兵隊兵舎にいた」という男性はテレビ取材に応じ、「銃弾さえあったら」容疑者を撃つことができたのにと嘆いた。「他人の身分証明証で軍施設に入れるというのに、身元確認強化ぐらいで不適格者の銃購入を防げるのか」という声もある。

4-6.
 銃規制派が戦意を喪失している間も銃容認派の攻勢は続く。NRAの提言通り、武装した警備員を配置する学校も出てきている。

9 manolo 2013-09-26 00:14:41 [PC]

4-7.
 一方の銃規制派は一貫性を欠く。過去に規制法案を提出したダイアン・ファインスタイン上院議員は(民主党)は事件直後に声明を発表。「議会は責任回避をやめ、銃による暴力について真剣な議論を再開すべき」で「人命が際限なく失われる状況に終止符を打つべく一層の努力が必要」と訴えた。ところが翌日には一転して「今は楽観していない」と認め、「また否決されるのはごめんだから」再審議は要求しないと語った。

4-8.
 民主党の説得力のなさは致命的だ。銃規制を推進して失職したコロラド州議員の1人は、事件翌日のニュース番組で、銃規制が難しい海軍施設を「武装した人間がどこよりも多い場所」と事実誤認発言。かえって自衛のための銃携帯を促す形となった。

4-9.
 現在は議会も政府も予算案のことで手いっぱいだ。前回はオバマ大統領は再選を果たしたばかりで、議会も財政赤字や医療保険制度改革の問題を秋まで先送りにして銃規制強化法案の審議に臨んだ。しかし予算案合意のタイムリミットが迫っている今、誰も勝ち目のない党派争いを再燃させたくないだろう。「次こそは」という銃規制派の考えは欠陥だらけだ。
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