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裁判員制度 (コメント数:4)

1 manolo 2014-05-18 15:45:54 [PC]


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出典: 『朝日新聞』/5/18/2014/「裁判員5年 見えてきた課題 上」/p.39

死刑 覆った市民感覚
先例優先か 二審で3件

1-1.
 初めてつかまり立ちをして見せた笑顔、ひな人形の前でほほ笑むあどけない姿、友だちと行った沖縄でのシュノーケリング、母校での教育実習――。荻野友花里さんが生きた21年の証しが、一枚ずつスライドに映し出された。3月末、兵庫県のJR明石駅前にある学習センターの一室。友花里さんの級友や両親を支援する約100人が集まった。

2 manolo 2014-05-18 16:17:06 [PC]

1-2.
 スライドが終わると、母・美奈子さん(61)が言葉を絞り出した。「裁判員の方々が友花里の無念の死を、私たちの心情を分かって下さった。最高裁で、友花里の命の価値を正しく判断していただきたい」

1-3.
 友花里さんは2009年10月、通っていた千葉大学の近くの自宅マンションで殺害された。千葉地裁の裁判員裁判は11年6月、強盗殺人罪になどに問われた竪山(たてやま)辰巳被告(53)に死刑を言い渡した。被告は事件の2カ月前に刑務所を出所。逮捕されるまでに、友花里さんの事件以外にも8件の強盗強姦事件などを起こしていたことを重くみた。裁判員の1人は「議論を尽くして導いた結果」と語った。

1-4.
 だが、二審・東京高裁は13年10月、一審を破棄。無期懲役とした判決は「死刑の選択にあたっては先例の傾向を踏まえるべきだ」。殺害された被害者が一人の場合は死刑が避けられる過去の傾向を重視した。

1-5.
 「裁判に市民感覚を取り入れるために、裁判員制度ができたはず。裁判官だけで積み重ねた『先例』で決めるなら、裁判員制度はいらない」。美奈子さんは強く批判する。検察は上告した。二審判決が出るまで、遺族は公の場で発言することを控えてきた。だが、「黙っていては友花里に申し訳ない」と思い立った。明石での集会もその思いから。7月には同県加古川市で講演する。

3 manolo 2014-05-18 16:42:24 [PC]

1-6.
 友花里さん事件の高裁判決が出る4か月前、同じ東京高裁で、同様に裁判員裁判の死刑判決を破棄する判決があった。東京都内のマンションで五十嵐信次さん(当時74)を殺害したとして、強盗殺人罪などに問われた伊能和夫被告(63)の裁判。裁判員裁判の死刑判決が初めて覆されたケースだった。

1-7.
 「何が正しいのか、分からなくなった」。50代女性は苦々しげに話す。この事件で裁判員を務め、11年3月、死刑を言い渡した。「死刑になってほしいと思ったわけじゃない。証拠を組み合わせて行くと、必然的に結論が出てしなった」。納得した答えだった。しかし、二審は違う答えを導いた。ならば、自分たちの考え方は何だったのか。「人に死刑を告げたときから、心には重たいものがある。その自分自身が、分からなくなってしまった。灰色の底に落ちてしまったような感じです。」

1-8.
 検察は昨年7月に上告。「一般市民の量刑感覚を裁判に反映させるという裁判員制度の趣旨を損なう」と、上告趣旨書に記した。

1-9.
 優先されるべきは、市民感覚か、先例か―― 裁判官出身の原田国男弁護士は、名古屋地裁や東京地裁の判事として多くの死刑判決にかかわった。「死刑は、他の刑とまったく異なる」。何とか死刑を回避できる理由はないか、ぎりぎりまで考え抜き、どうしても見つからない場合のみ死刑を言い渡したという。

4 manolo 2014-05-18 16:50:36 [PC]

1-10.
 そのうえでこう指摘する。「裁判員が熟慮して出した死刑の決断は尊重されるべきで、『先例』だけで破棄することは納得が得られない」 ただし、命を奪う究極の刑の適用は、二審でも改めて慎重に判断すべきだとも強調する。「上級審は事件の本質を見極めて量刑判断をし、しっかりと説明することが求められる」

1-11.
 裁判員裁判が導いた死刑判決は21件。そのうちの3件が、この1年に破棄された。
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