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無人地上車両(UGV) (コメント数:5)

1 manolo 2014-10-20 22:08:20 [PC]


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出典:『日本版ニューズウィーク』、10/21/2014、「無人軍用車が変える未来の地上戦」、pp.42-44

戦争 紛争地帯を飛び交う無地航空機に続いて
陸上でも遠隔操作で動く軍用車両が導入されている

1-1.
 戦争の未来が見えてきた。もはや最前線に重装備の兵士はいない。先頭に立って目を光らせ、敵の奇襲に反撃するのは無人走行車両(UGV)。イラクやアフガニスタンの戦争でその名をはせた無人航空機(UAV)の地上バージョンだ。既にイスラエル軍は、遠く離れた安全な場所から無線操縦できるUGVを配備している。(p.43)

2 manolo 2014-10-20 22:10:42 [PC]

1-2.
 米軍事産業大手のオシュコシュは暗闇での戦闘状況を見極める能力が人間より高い軍用車両の自動操縦技術を開発。現在、米海兵隊がこの技術をテストしている。空の無人機で実績のあるロッキード・マーティンも軍用車両の自動操縦に取り組み、海兵隊と陸軍が共同でテストを行ってきた。専用車両も開発し、メサ・ロボティクスやキネティク・ノースアメリカといったベンチャー企業の製品ともども、米陸軍でテスト中だ。(p.43)

1-3.
 国防総省の防衛先端技術研究計画局(DARPA)がボストン・ダイナミクス社と共同開発した「アルファ・ドッグ」は四足歩行ロボットで、最大180キロの器材を背負って連続32キロの走行が可能だ。英軍も先に、敵の障害物を破壊しつつ、戦場で塹壕を掘れるBAEシステムズの装甲掘削車両「テリア」60台を購入している。テリアは通常人間が乗り込んで運転するが、遠隔操作による無人走行も可能だ。「こうしたUGVがあれば、われわれは戦場で間違いなく優位に立てる」と、英国国防省筋は言う。「監視・警戒・爆発物処理の機能を搭載したUGVを前に置けば、兵員の安全と行動の自由を確保できる」(p.43)

1-4.
 イスラエルは国境警備にUGV「ガーディアン」を使っているが、来年には新たな車両「ボーダー・プロテクター」の導入を予定している。パレスチナ自治区ガザ地区の境界パトロールに使われるこうしたUGVは、仕掛けられた爆弾を察知し、銃声に「聞き耳」を立て、銃弾の飛んできた方角を瞬時に割り出すことができる。(p.43)

1-5. 【物資輸送の支援に期待】
 戦場の光景は様変わりするだろう。空の無人機は「航空戦と対テロ戦に革命的な影響を与えた。UGVも地上戦に同じような影響を及ぼし得る」と、元英陸軍准将で現在は英国戦略研究所の上級研究員を務めるベン・バリーは予測する。英軍は以前から、UGVを爆弾処理に使っている。イラクとアフガニスタンで戦う多国籍部隊にとって、さまざまなUGVは欠くことのできないツールとなってきた。米戦略国際問題研究所の最近の報告によると、米軍が保有する各種のUGVは既に数千万台に上る。(p.43)

3 manolo 2014-10-20 22:12:14 [PC]

1-6.
 現在テスト中のUGVの機能は格段に進歩している。その多くは最高時速64キロで戦場を走り回ることができる。兵士に食べ物や爆弾を供給したり、敵の爆弾の爆発を阻止したりもする。最近の試験走行では、オシュコシュのテクノロジーを導入した海兵隊の輸送車両の半数が、悪路のコースを運転手なしで走行できたという。陸軍もロッキード・マーティンのシステムを組み込んだ車両で同様の無人走行試験に成功している。(p.43)

1-7.
 運転手を必要としないシステムの最大の利点は何か。米軍の武力支援・補給部門の研究開発を統括するアルモンド・トーマス少尉によれば「人間のような持久力の制約がない」点だ。つまり、遠隔操作で走行するUGVは24時間休みなく動ける。人間の運転手と違って睡眠や休息を必要としないからだ。軍の最も重要な活動の1つである物資の輸送でもUGVは重要だ。どんなに優秀な兵士がそろっていても、食料と弾薬が安定的に供給されなければ戦えない。だが何台も連なって走行する物資輸送の車両は非常に目立つ。アフガニスタンでもイラクでも、敵は輸送の車列を執拗に攻撃してきた。(pp.43-44)

1-8.
 最近も、アフガニスタンに向かうNATO(北大西洋条約機構)軍の補給部隊がパキスタンのペシャワルで民兵に攻撃され、運転手の2人が殺された。イラクとアフガニスタンでは03~07年の間に、補給部隊への攻撃で米軍兵士と請負会社の要員300人以上が死亡している。UGVで物資輸送の車列を支援できれば、従来は車列の警備に充てていた兵士を戦闘任務に回せる。「自律型のUGVシステムがあれば、われわれの戦闘能力は飛躍的に高まる。様々な任務や脅威に柔軟かつ適切に対応できる」と言うのは、陸軍で戦車・車両の研究開発を指揮するポール・ロジャースだ。(p.44)

1-9.
 結果として戦場に赴く人間の兵士は少なくて済むことになる。当然戦死者も減る。「UGVの開発を支持する大きな推進力になっているのは、犠牲者を減らしたいという願望だ」とバリーは言う。オシュコシュの社長で元陸軍少将のジョン・ユライアスに言わせると、UGVは現場の指揮官にとって願ってもない助っ人だ。「部下の命を失うのは、指揮官にとって最もつらいこと」だからだ。「しかし車なら簡単に交換できる」(p.44)

4 manolo 2014-10-20 22:13:51 [PC]

1-10. 【「開戦」の定義に疑問が】
 兵士が命を落とすリスクを先端技術で減らす。技術の進歩で、それが実現可能になりつつある。イスラエル軍や英軍に続いて、米軍も普通の自動車サイズ並みのUGVを実戦配備する日は近いだろう。今の米軍が主として相手にするのは、自爆攻撃も辞さない武装勢力だ。彼らは補給部隊の車列をよく標的にする。だから無人トラックによる補給は効果的な対策だろう。そうなれば生身の兵士は、トラックに燃料を積んだら遠くからリモコン装置を操るだけで済むわけだ。(p.44)

1-11.
 使い捨ての多目的UGVは、戦争の在り方を変えることにもなる。「開戦を望む政府が世論の支持を得ようとするとき、予想される死傷者数が抑制因子として働いてきた」と指摘するのは、マサチューセッツ大学ローウェル校准教授で、戦争倫理に詳しいジョン・カーグだ。「これまで地上部隊が果たしてきた役割の多くをUGVが代行するようになれば人命の損失リスクが減り、政策決定者へのブレーキが利きにくくなる」 一方で、開戦の定義に関する疑問も引き起こす。交戦能力を持つUGVを国境地帯に配備すれば、それだけで相手方に脅威を与えるから、開戦の意思表示となるのか?(p.44)

1-12.
 UGVに人間を攻撃させるのが倫理的に許されるかという疑問もある。ある国の軍隊が反政府勢力にUGVを差し向けた場合、反政府勢力は機械と対決しなければならなくなる。国の軍隊がUGVを所有していれば、世論は人間の兵士よりUGVを投入するように求めるだろう。しかし反政府勢力側も、UGVを使った自爆攻撃を仕掛けてくるかもしれない。(p.44)

1-13.
 オシュコシュで無人システムの開発を指揮するジョン・ベックによれば、開発の次なる目標はUGVの動きをもっと自然にし、敵の目には有人か無人か分からなくすることだ。敵がUGVを避けて有人車両だけを狙うようでは困るからだ。(p.44)

5 manolo 2014-10-20 22:15:24 [PC]

1-14.
 無論、UGVの開発はそれだけでは終わらない。昨年、米陸軍が行ったテストでは、最新鋭のUGVが所定の標的に接近し、発砲し、無事に基地へ戻ってきた。つまり戦闘用UGVの実用化も近いということだ。そうなれば人間の犠牲は減らせる、だが人間とロボットには決定的な違いがある。人間は引き金を引く際に、発射したらどうなるかが頭をよぎる。一方、ロボットが結果を熟慮することはない。だから破壊と暴力を制限するよりも、増大させる結果になるかもしれない。「UGVが自律的殺人兵器になるまでには、まだ時間がかかる」とカーグは言う。「だからこそ、いま考えるべきだ。指揮官がロボットに命令を下し、ロボットが人を殺したら、誰の責任なのか。それが現実になる時代はすぐそこまで来ている。」(p.44)
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