2 manolo 2014-04-12 17:17:31 [PC]
1-2. 今までの親権の考え方は、子どもを支配する要素を持ち続けているといわれています。そのため、児童虐待ケースのような場合、子どもの権利と親権が衝突することがあります。しかし、これからは子どもの権利を擁護するという視点から、全面的に見直されるべきだと考えられるようになってきました。そこでは、親の権利が何のために親に付与されているかについて問い直す必要が出てきます。親権者により子どもの虐待がなされた場合は、親権の濫用に当たります。そのような場合には、親権の制限を考慮する必要があります。親権の制限には、民法による親権の喪失宣告、児童福祉法によるさまざまな親権の制限があります。(p.48)
1-3. 【2. 親権の制限】 親権の制度は未成年者の保護・育成という社会目的をもち、その利益・福祉のためにありますから、親権の適切な行使をなしえない親からは、その意思に関わらず親権を剥奪すべきという趣旨に立っています。ですから、親権者の行為が喪失原因に当たるかどうかの判断については、子どもの利益に反するかどうかを基準とします。また、親権者を排したとき、他の保護者によって現状以上の福祉・利益を子どもにもたらすことができるように考慮される必要があります。(p.48)
1-4. 児童福祉の理念は子どもの最善の利益の実現にあります。親が子どもの利益を害するときには、親としての責任を果たしているとはいえないと考えられています。このような場合には、国は、子どもの権利を守る責任を果たさなければなりません。児童福祉法は、親権者の虐待などがあったとき、家庭裁判所の承認を得れば、都道府県が子どもを福祉施設に入所させる措置をとることができるとしてます(児童福祉法28条)。しかしながら、家庭裁判所による親権喪失宣告も、公的機関によるそれらの権限の行使もきわめて慎重であり、いまだ親権を侵すべきでないとの意識が強く、最近の児童虐待への関心が高まるにしたがって、これらの制度のあり方が問われています。(pp.48-49)
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