3 manolo 2013-08-07 21:21:45 [PC]
1-6. 平等違反の審査方法 現実に生じている差別を救済し、あるいは差別の存否を判定することには憲法14条を根拠に裁判所が一定の役割を果たす。しかし、先述したように、そもそも法律を制定する作業自体が「区別」を前提に行われるものであるから、問題は、かかる「区別」が合理的か不合理(=差別)かということになる。その判断方法は、①立法目的、②立法目的達成のための手段(規制手段)を、それぞれ、またその相互関係について、その合理性を支える社会的・経済的・文化的な事実背景があるかどうかをみていくことになる。(p.45)
1-7. この判断方法を原則に、学説上いくつかのアプローチが唱えられている。ひと口に「平等」といっても、様々な場面での平等が考えられるからである。(p.45)
1-8. 精神的自由と経済的自由とのそれぞれの制約に対する違憲審査方法に濃淡を設ける「二重の基準の理論」に従えば、精神的自由を制約することに付随する差別に対しては、立法目的が必要不可欠で、立法目的達成が是非とも必要な最小限度のものかどうか(=「厳格審査」)が検討される。経済的自由に関連してくる平等問題には、より緩やかな判断でよい。具体的には、経済的消極目的規制に対しては、立法目的が重要なもので、目的と手段の間に実質的関連性が求められる(=「厳格な合理性の基準」ないし「中間審査」)とし、経済的積極目的規制には、立法裁量が広範に認められるので、立法目的が正当であり、目的と手段の間に合理的関連性があれば足りる(=「合理性の基準」)。(p.45)
1-9. また、14条1項後段の列挙事由「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」が歴史的に特に差別を受けていたことから、これらに該当する差別に対し、区別を設けることに合理性があるとの立証責任が公権力側にあるとされる。また*列挙事由のうちでも、その性質に従い、審査方法は厳格審査(人種、信条)と中間審査(性別、社会的身分、門地)に区別される。(p.45)
*列挙事由 これらの列挙事由に対してのみ「法の下の平等」が適用されるとする制限列挙説と、これらの自由は単なる例示にすぎず、これに該当しない差別であっても、しれが不合理なものであるかぎり平等違反になるとする例示列挙説が存在したが、後者の例示列挙説が判例・学説ともに認められている。(p.45)
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