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結婚 (コメント数:6)

1 manolo 2013-09-19 12:19:56 [PC]


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出典:『よくわかる現代家族』神原文子他編著、ミネルヴァ書房、4/30/2009、(VI-2.「結婚とはなんだろう」)、pp.86-87

1-1. 1. 結婚の意味
 結婚とは、従来より*一組の男女が社会から性関係を承認された夫婦という関係になるための契約を結ぶことととらえられてきた。配偶者選択においては、①それぞれの社会で**近親婚禁止規則や***外婚・内婚規制を遵守すること、②それぞれの社会で重視される人々(例えば、血縁や地縁による了解、領主や幕府の許可など)の承認を得ること、③社会的承認を得るために、婚姻儀礼の習俗慣習、法的届け出といった手続きを行うこと、などがある。また、夫婦としての権利‐義務として、婚外の性関係の規制、居住規則、夫婦の財産権、離婚権などが規定されており、それらはそれぞれの社会における支配体制や男女の社会的地位を反映し、身分、階層、地域によっても異なった様相を呈してきた。(p.86)

* 結婚は、当事者男女の性的結合のみならず、生まれた子どもの嫡出の認知や新たな姻戚関係形成の契機ともあることから、古代より結婚の社会的承認には様々の条件を満たすことが必要とされてきた。(p.86)

**近親婚禁止規則
インセストタブーともいう。親子、きょうだいなど、近親関係にある者同士の性関係を禁止する規範である。(p.86)

***外婚・内婚規制
配偶者を求める範囲を規定する制度であり、外婚は、同族などの範囲の外側から配偶者を求めること、内婚は、身分、階層、文化など、一定の範囲内で配偶者を求めること。(p.86)

2 manolo 2013-09-19 12:24:51 [PC]

1-2. 2. 戦前の結婚から戦後の結婚へ
 戦前の日本においては、明治初期の一時期、身分を超えた結婚の自由や妻からの離婚請求を認めるなど、近代的な婚姻法が施行されたが、1889年(明治22)に施行された明治民法では、婚姻制度は国家と家長による統制の強い内容となった。すなわち、明治民法のもとで家制度が強化されたことにより、結婚は当事者の意思に関係なく家と家との婚姻となり、夫婦同姓が規定され、嫁入り婚が一般化した。また戸籍届により婚姻が成立する法律婚主義が全国民に適用され、婚姻届によって女性は夫の家の妻として組み込まれることになり、生まれた子どもは嫡出子として位置づけられることとなった。しかし、明治民法のもとでは婚姻は妻の地位を保障するものではなく、妻は財産権も親権も認められない無能力者とみなされ妻の地位は歴史上最も低く位置づけられた。(p.86)

1-3.
 1947年(昭和22年)施行の日本国憲法第24条では、「婚姻は、両性の合意のみに基」づき、家族における個人の尊厳と両性の平等が明記された。さらに1948年の民法改正によって家制度は廃止され、夫婦家族制が確立した。とはいえ現民法も婚姻年齢の男女差、女性のみの再婚禁止期間の規定などに、性差別の要因を留めており、また、夫婦同姓の規定にも問題をはらんでいる。(p.86)

*近年、北欧やフランスなどでは、多様なカップル関係を容認する法制度の整備により、非法律婚カップルが増加している。さらに欧米を中心に同性婚を法的に認める国も増加している。(p.86)

**女性が男性の家に“入籍”することではなく、いわば、ふたりで新たに“創籍”することである点を強調しておきたい。(p,86)

***
改姓したくない人々が婚姻届を受理されなかったり、婚姻後に通称使用を余儀なくされたりしている。ジェンダー平等の観点に立った民法改正が期待される。(pp.86-87)

3 manolo 2013-09-19 12:26:53 [PC]

1-4. 3. 結婚をめぐるコミュニケーション
 今日、未婚の男女は結婚をめぐって対等で十分なコミュニケーションを行っているだろうか。

「結婚をめぐる自己内と自他のコミュニケーション」(概要)

① 自分はこれからどんな生き方をしたいのか、自分の生き方志向にとって結婚はどんな意味があるかという自己内コミュニケーションをする。
② 結婚することに意味を認める人は、結婚に期待すること、結婚の意義、期待するパートナー像などについて自己内コミュニケーションをしてみる。
③ 特定の異性と出会ったら、相手についての自己評価や気になる点、ふたりが対等な関係かどうかなどについて自己内コミュニケーションをするとともに、自他のコミュニケーションをする。納得できなければ先へ進まない。
④ 気になる点や疑問点が解消されてきたら、再び自己内コミュニケーションにより、自分は相手を愛しているのか、愛されている実感はあるのかを確認する。
⑤ ふたりが愛し合っていても、ありのままの自己を開示し、ありのままの相手を受容できるかどうか、自己内と自他とコミュニケーションをする。
⑥ 結婚への合意ができるかどうか、時間をかけて自己内と自他のコミュニケーションを繰り返す。いつまでも立ち止まったり、引き返したりしてよい。
⑦ 私的了解への判断。
⑧ 結婚への準備。
(pp.86-87)

4 manolo 2013-09-23 14:31:26 [PC]

出典:『よくわかる現代家族』神原文子他編著、ミネルヴァ書房、4/30/2009、(VII-1.「夫婦ってなんだろう」)、pp.92-93

2-1. 1. 夫婦関係の歴史的変遷
 夫婦関係が恋人関係と異なるのは、結婚という契約(契り)を結ぶことにある。結婚自体が、時代や文化によって多様であるため、夫婦関係を普遍的に定義することはできない。ただし「婚姻」とは結婚の法的制度のことである。(p.92)

2-2.
 日本でも戦前の家父長制的イエ制度のもとでは、結婚では夫婦の愛情よりも、家と家のつり合いが重視され、妻は夫の監督のもと、家の嫁として夫の親に仕え、農作業などの生産労働に励み、跡取りを産むことが何よりも期待された。戦後、イエ制度が廃止され、新憲法の制定と民法改正により、婚姻の自由と個の尊重が認められ、夫婦関係は法的に平等となった。では、戦後60年以上たって、夫婦関係は実質的に平等になったといえるのだろうか。実際のところ、個々の夫婦関係の平等の度合や勢力関係はをどのように測定するのかは案外難しい。(p.92)

2-3. 2. 夫と妻の三層構造
 夫婦関係は親密な関係なのか、あるいは夫婦といえども他人の関係なのか。夫婦関係は「一心同体」なのか、「二心別体」なのか。従来、夫と妻の関係について相反するとらえ方がされているが、夫婦関係はAかBかではなく、生活者の視点から「*夫妻関係」を三層構造としてとられる考え方を紹介しよう。(p.92)

*「夫婦関係」ではなく、「夫妻関係」と呼んでいるのは、「婦」という文字に、女は「掃除する」者という女性差別的な意味が含まれているからであり、「夫」に対応する語は「妻」だからである。(p.92)

5 manolo 2013-09-23 14:53:10 [PC]

2-4.
①狭義には、「夫妻関係」は、家族内の「夫」という地位につく男性と「妻」という地位につく女性との社会的に承認されたカップル関係である。プライベートな資源・時間・空間を共有・共同できる関係であり、社会的には連帯責任、一夫一妻の性的な拘束性を期待される関係でもある。(p.92)

2-5.
②広義には、「夫婦関係」は、夫である家族成員と妻である家族成員との関係であり、自分たちの家族を維持・存続させることの合意に基づいて協力しあう関係である。性別役割分業であろうとなかろうと、役割の協力・分担におけるギブ・アンド・テイクが互いの許容範囲に収まることが関係存続の条件である。また、個人名義の財産を保持する資源分有性、夫妻といえども賞罰は個人に帰属するという責任個別性、離婚により関係が終結するという有限性によって、夫婦であっても、夫は妻とは別々の個人であって、個人の利益を保障されている点を押さえておこう。(p.93)

2-5.
③最も広義には、ひとりの生活者である夫と妻ともに、夫婦であることが互いの個としての生き方をサポートするけれども妨げないという合意に基づく関係である。*疑似他人関係と呼ぶことができる。(pp.92-93)

*疑似他人関係
互いの個としての生き方を認め合っていながら、無関心・無干渉な関わりを維持するという「他人関係」の特徴も持ち合わせている関係を指す。神原の造語である。(p.93)

2-6.
 夫にせよ、妻にせよ、カップルとしての夫婦関係満足度が、家族成員としての満足度に影響を及ぼし、さらに生活者としての満足度にも影響を及ぼすことになるだろう。にもかかわらず、夫婦関係を三層でとらえるのは、個々の生活者にとって三層のの夫婦関係の意味づけが異なり、それゆえに、満足できる夫婦関係のあり方も異なるものと考えられるからである。(p.93)

6 manolo 2013-09-23 15:16:18 [PC]

2-7. カップルとしての夫婦関係
 男と女であれ、女同士であれ、男同士であれ、カップルになる意味は何だろう。まず、第1に互いの肉体的・性的な交わりそのものに価値をみいだすというエロス的結合に基づき愛を育てられることである。第2に、互いの生命を支え合う互助的結合に基づき、生命を育めることである。第3に、日常の喜怒哀楽をふたりで共同体験指定ことに意味をみいだす共生的結合に基づき、一緒に生きることを喜べることである。そして、第4に、互いの個を尊重し合える受容的結合に基づき、互いに自己を解放できることである。(p.93)

2-8.
 性の違いを認めた上で対等な関係を築いていくこと、そして互いを拘束しないことが、双方のカップルとしての満足度を高めることになりそうです。(p.93)

2-9. 現代の夫婦関係の特徴は?
 誰しも、ひとりで生きていくことが可能になったことを受け止め、双方がカップルとして生活することに積極的な意味をみいだすことができなければ、カップルになることを選ばないという選択肢があること、そして、たとえ結婚してもふたりの関係が永続するという保障は何もないことを暗黙の前提として、夫婦関係が成り立っていることを押さえておく必要がある。しかも、カップルとしての夫婦間の愛情を重視するほど、愛情が冷めたら夫婦生活を続ける意味は低下することになるだろうし、愛情が低下すると、家族成員としても夫婦間の利害関係が露呈しやすく、その場合、生活者としての夫婦関係が対等で支配服従関係でないほど、夫婦間に生じた葛藤が顕在化しやすくなり、離婚にもつながりやすいことも押さえておく必要がある。それだけに、夫婦関係になるという選択が、男性にも女性にも多大なが犠牲を強いることなく、共同生活から生じるリスクと、離別するかもしれないときのリスクとを最小限かつ公平にできるような、公的・私的な予防的施策が必要であると提案したい。(p.93)
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