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アカウンタビリティ (コメント数:3)

1 manolo 2013-10-09 20:44:01 [PC]


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出典:『よくわかる組織論』、田尾雅夫編著、4/30/2010、ミネルヴァ書房(「5-III-2. アカウンタビリティ」、深見真希)pp.212-213

1-1. 1. アカウンタビリティとは:双方向の説明責任
 一般的に、アカウンタビリティとは「説明責任」と訳されている。もともとは、会計用語で「会計(accounting)」と「責任(responsibility)」を合わせた「会計説明責任」という用語で、株主に対して企業の経営状況を説明することおよび、その義務を示すものである。しかしながら、実際にアカウタビリティという考え方が生まれたのは、実は1960年代の米国行政であった。公共組織が、納税者である米国市民に、公金使用の説明を行うところからアカウンタビリティの考え方が生まれたといわれている。(p.212)

1-2.
 アカウンタビリティの活動は、利害関係者(ステークホルダー)に対して、組織の活動内容や財務状況を公開、説明することを指す場合が多いが、一方的に説明すればいいというのではなく、説明する側とされる側の間で信頼関係を築くための双方向的なものである。説明することによって透明性が確保されることが目的であり、したがって特に重要になるのは意思決定過程の可視化である。目標を達成するという意味で「遂行責任」という意味を帯びる場合もある。ただし遂行責任は用語的にはレスポンスビリティ(responsibility)が当てられ、アカウンタビリティの結果責任と区別されることが多い。現在アカウンタビリティは、従来の会計や行政といった文脈のほか、環境や人材開発といった文脈でも用いられることが増えてきている。(p.212)

2 manolo 2013-10-09 20:46:57 [PC]

1-3. 企業のアカウンタビリティ
 企業が行うアカウンタビリティ活動の代表例は、IR(インベスターズ・リレーション、財務広報)活動である。企業は、投資家や利害関係者に対して、企業活動の結果や成果、事業活動の状況について情報を公開し、説明しなければならないが、財務諸表など経営状況の情報開示は、商法や証券取引法などの法律によっても義務づけられている。このように法律で義務づけられているものだけでなく、状況に応じて、様々な利害関係者と対話をすることも、社会的責任という点から、重要なアカウンタビリティになる。例えば、地域住民を対象とした説明会や見学会を開催したり、環境に与える影響に関して情報提供をしたり、事件や事故が発生した場合に記者会見を積極的に行ったり、NPOやNGOと対話したりするようなことも、今日の企業に求められるアカウンタビリティなのである。(pp.212-213)

1-4. 3. 行政のアカウンタビリティ
 日本でアカウンタビリティが注目されるようになったきっかけは、1990年代に欧米で流行した*ニュー・パブリック・マネジメント(New Public Management: NPM 新公共管理)であった。NPMでは、市民をユーザーや顧客として捉え、彼らのニーズを満たすような行政サービスを提供するというように考える。業績評価や行政評価などを用いて
業績指標の達成程度を測定し数値化することによって、元来見えにくい行政サービスを、市民に対して見えるようにした試みが、行政におけるアカウンタビリティであった。(p.213)

*ニュー・パブリック・マネジメント
民間企業の経営手法を、政府や行政を応用したもの。成果主義の導入や市場メカニズムの活用、顧客中心主義など。(p.213)

3 manolo 2013-10-09 20:48:28 [PC]

1-5.
 わが国においても、行政のアカウンタビリティとして「政策評価」や「行政評価」といった手法が導入され、90年代後半から自治体を中心に取り組まれるようになった。例えば、当該事業の投資効果を客観的に評価する事業評価システムや事業アセスメント制度の導入、費用対効果分析の制度化や目標達成状況の評価などであり、それらは主に、目的、成果、費用対効果を数値で判定することを指していた。(p.213)

1-6.
 しかしながら、実際には公共サービスの数値化は難しく、業績評価や行政評価だけで公共サービスの質を問うことはできない。アカウンタビリティの目的は、行政が当該サービスの目的や意義、必要性を市民に理解してもらい、相互に信頼関係を築くことにある。したがって、業績評価や行政評価以外にも方法はある。例えば、企業の社会的責任と同様に、積極的に情報を開示することや多様な利害関係者と対話する機会を設定すること、意思決定や政策実施などの過程で市民やNPOと協働することや誰にでも理解できるような平易に言葉遣いによる説明や用語の統一などである。また、政府や行政における事業活動そのものをマネジメント・プロセスとして捉え、「Plan」「Do」「Check」「Action」というマネジメント・サイクルで回していく過程において、評価システムなどを取り入れていくようにしなければ、効果の出にくい断片的な取り組みで終わってしまうことも少なくない。(p.213)

1-7. 4. その他のアカウンタビリティ
 アカウンタビリティの考え方は、企業や行政だけでなく、他の様々な分野で使用されている。例えば、医療におけるインフォームド・コンセント(医師が患者に対し、治療に関する十分な説明を行い、それに基づいて同意をえること)や、スポーツの世界でプロ選手がメディアを通じて自らの成績を説明すること。NPOやNGOが地域や市民のニーズに応えるために展開する諸活動などである。(p.213)
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