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コンプライアンス (コメント数:5)

1 manolo 2013-10-11 01:08:48 [PC]


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出典:『よくわかる組織論』、田尾雅夫、4/30/2010、ミネルヴァ書房(「5-I-5. コンプライアンス」、深見真希)pp.192-193

1-1. 1. 法令の遵守
 コンプライアンス(法令遵守)とは、法律や規則に従って活動を展開することを指し、コーポレート・ガバナンス(企業統治)や情報開示などと並んで、組織が会社に対して果たすべき責任であると考えられている。ビジネス・コンプライアンスの場合、企業の社会的責任(CSR)とともに重視されるようになっている。もともとは、1960年代に米国で独占禁止法違反やインサイダー取引などが発生した際に使用されたことに始まるといわれている。(p.192)

1-2.
 法令違反による信頼の失墜が企業活動に影響を与えることから法令遵守が強調されるようになったのであるが、企業の不正防止という観点でいえば、たとえ法律に定めがなくても、あるいは法律を遵守していても不祥事が発生する場合がある。したがって、倫理や規範といったモラルを守ることもコンプライアンスであるという考え方もある。法令違反にせよ、モラル違反にせよ、ひとたび発覚すると不祥事として報道され、損害賠償訴訟などによる法的責任や、信用の失墜による売上上下といった被害を負ったとしても、中長期的には企業イメージの低下は避けられず、その後の活動に大きなダメージを与えることになる。(p.192)

2 manolo 2013-10-11 01:11:50 [PC]

近年日本で起きたコンプライアンス違反の事例

◆企業による脱税・申告漏れ・所得隠し
◆介護サービスなどにおける介護報酬の不正請求:
-コムスンなど
◆食品関連:
-雪印集団中毒事件
-不二家の期限切れ原材料使用製品の出荷
-牛肉偽装事件、雪印牛肉偽装事件、ミートホープなど
-売れ残り再利用問題:赤福、船場吉兆など
◆保険業界の保険金不払い事件
◆自動車リコール隠し:
-三菱リコール隠し
-三菱ふそうリコール隠しなど
(p.192)

1-3.
 商法においては、善管注意義務や忠実義務などによって取締役や執行役、監査役などの決定責任義務が定められている。また、商法だけでなく、各種一般法や業法をすべて遵守し、従業員にも徹底させなければならず、特に大企業には内部統制システムの構築義務が課せられている。企業に関係してくる法律や規則は、民法、商法、独占禁止法、不正競争防止法、労働法、消費者保護法など多数あるほか、監督官庁からの命令や指導もある。これらの法令に違反した場合、損害賠償起訴や株主代表訴訟による法的責任、売上低下などの社会的責任を負わねばならない。(pp.192-193)

1-4. 2. 倫理や規範の遵守
 企業活動には、市場競争の校正さや職場環境、公務員や政治家との関係や情報公開などにおける高い倫理も多くの場合で求められる。また、法令そのものが倫理に反していても、法令さえ遵守していればコンプライアンスになるのかという問題もある。したがって、コンプライアンスに違反してもしなくても、倫理に反する行動によって信用を失墜させるケースもある。例えば、コムスンなど介護サービスで発覚した大規模な介護報酬の不正請求や、雪印集団食中毒事件、ミートホープなどの食品偽装事件、*三菱リコール隠しなどである。これらはすべて組織の存続に大きな影響を与えることになった。(p.193)

*
三菱リコルール隠しでは、市場の信頼を失い、三菱ふそうトラック・バス前会長らが逮捕されるにいたったが、同社ではその後4000人を動員して自主的に過去の記録を分析し、不具合究明の迅速化や品質改良の迅速化を図っている。不祥事は企業にとって大きなリスクであるが、他方では組織強化や改善の機会になる。(p.193)

3 manolo 2013-10-11 01:14:18 [PC]

1-5. 3. コンプライアンス違反を防ぐために
 企業の不正行為に関しては、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の問題を考える必要がある。日本では、株式の持ち合いや生え抜きによる経営陣などから、コーポレート・ガバナンスが機能せず、経営や業務執行に対してチェック機能が働かないということが指摘されている。日本企業はコーポレート・ガバナンスが機能しにくいので、コンプライアンス違反を防ぐ仕組みを構築することがアメリカ企業以上に重要な問題となる、(p.193)

1-6.
 日本企業がコンプライアンス違反を防ぐ仕組みを構築するには、広範に及ぶ規則や規範、倫理を全役員、全従業員が遵守できるような体制を作り、違反行為があった場合は、早期に発見して修正できるマネジメントをすることが肝要である。業界慣行や社内ルールが法律や社会通念から逸脱していないか否かといったことをチェックするシステムを早急に整備しなれければならないことはいうまでもない。(p.193)

1-7.
 具体的な方法としては、法律遵守基準や倫理規定を整備すること、法務部門やコンプライアンス部門などの監視部門を設置すること、従業員への教育研修などによって気づきを促すことが挙げられる。しかしながら、最終的には、法令・倫理規定を企業文化や組織風土に根づかせるところまで達することが求められている。つまり、コンプライアンス活動とは、組織風土を変革していく過程であるといえるのであり、企業はそのような長期的視野に立ってコンプライアンスのシステムを構築していけるかが問われるのである。(p.193)。

4 manolo 2013-10-31 17:40:47 [PC]


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出典:朝日新聞、10/19/2013、(「みずほ、甘い企業統治 銀行、社外取締役なし」)p.7

2-1.
 みずほ銀行が暴力団組員らへの融資を放置した問題で、みずほグループの*企業統治のあり方にも批判が高まっている。取締役会で報告されていたのに経営陣が見逃し、それをチェックする体制にも「不備」があったからだ。自民党が18日に開いた部会では経営責任を問う声が出ており、佐藤康博頭取から話を聞くことも検討することになった。

*企業統治(コーポレートガバナンス)
経営者の暴走などに歯止めをかけて企業価値を高めるための仕組み。取締役や監査役に社外の経営者や有識者を加える例が多い。開会中の臨時国会に提出される見通しの会社法改正案では、社外取締役の設置義務化は見送られた。

2-2. 【自民、頭取聴取を検討】
 「(暴力団など)反社会的勢力と幹部がわかりながら、(融資を)続けたのが問題だ」「ガバナンスの問題だ。幹部を外部の目でチェックする必要がある」 自民党本部で18日に開かれた金融調査会で、みずほ銀行の問題について説明する金融庁幹部に対し、議員から厳しい指摘が続いた。そのわけは、みずほグループの企業統治の甘さにある。みずほ銀行と親会社のみずほファイナンシャルグループ(FG)の取締役会で問題融資の報告資料を「見た記憶がない」(佐藤氏)という取締役ばかりだったのに、責任を果たさない取締役を監視する機能も働かなかった。2年以上問題を改めず、「経営トップに報告された事実がない」と誤った報告まで金融庁にしていた。

5 manolo 2013-10-31 17:43:25 [PC]

2-3.
 疑問の声は金融界からも出ている。全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)は17日の記者会見で、三井住友では暴力団組員らへの融資は「一定額以上判明した場合は、経営会議メンバーにメールで速報される」と話した。「取締役会の資料には各取締役は目を通している」と述べ、みずほのような失態はありえないこともにじませた。18日の自民党の財務金融部会の後、菅原一秀部会長は、「歴代の頭取も知っていたとするならば、大きな経営責任を問われる問題だ」と述べ、同部会で佐藤氏の聴衆も検討する。

2-4. 【見えぬ法令順守重視】
 みずほには、企業統治の体制そのものにも「不備」がある。3大金融グループの三菱UFJ、三井住友と比べると、傘下の主力銀行の取締役メンバーに社外取締役がいないのはみずほだけだ。社外から招いた弁護士や経営コンサルタントらは、銀行内の「身内の論理」から距離を置き、公正な目で取締役を監視する役割を担う。みずほ銀では、2010年12月に校内で問題が発覚した当時から社外取締役がいない。

2-5.
 暴力団組員らへの融資を監視する「法令遵守(コンプライアンス)」の担当役員も、みずほ銀と2行には差がある。みずほ銀では担当役員は取締役メンバーではなかった。同30日付で担当役員は副頭取に代わったが、この副頭取も執行委員で取締役メンバーではない。だが、三菱東京UFJ銀は常務取締役、三井住友銀は専務取締役が担当役員で、取締役メンバーだ。企業統治の問題に詳しい久保利英明弁護士は「社外取締役がいなければ内輪の論理が優先されかねず企業統治が弱いと言わざるをえない。他の金融グループに比べてコンプライアンスを軽視しているように映る」と指摘する。
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