材大なれば用を為し難し

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年寄同士のくどい挨拶の (コメント数:1)

1 Ryou 2014-01-03 21:34:42 [URL]

 年寄同士のくどい挨拶の、頃を見計らって顔を出そうと、茶の間で、座敷の話を聴いていると、案に違わず、美和子は美沢と、昨夜一夜を過したらしい。
 新子の母は、思いがけないことばかりで、(まあ?)とか(おや!)とか、いう感嘆詞ばかりで答えている。
(新子は、長い間お交際していたようですが、美和子までが、そんなお交際していようとは、驚きましたね)と、あっけに取られている。
 美沢の母の話によると、美和子は昨夜美沢と一しょに、鎌倉か逗子かへ遊びに行って、今朝二人で美沢の家へ帰って来たが、(家へ帰ると叱られるから、小母さまが行って、話をつけてくれ!)と傍若無人の駄々を、こねているらしかった。
「新子!」と、母がその時呼んだので、新子は境の襖をあけて、上半身をのぞかせた。新子とは幾度も会ったことのある美沢の母は、愛想よく蒲団から、身を退らせて、挨拶した。
「しばらく……軽井沢の方へ、おいでになって、いらしったそうで、少しおやせになりましたようで……」
「はア。」新子は、やさしく笑った。
「昨夜は、ご心配をおかけして、相すみません。美和子さんが、宅の方にいらっしゃいますのですよ。」
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