デプレ夫人は (コメント数:1) |
1 Ryou 2014-05-06 18:53:44 [URL]
デプレ夫人は、これこそ女優には珍しい質朴な顔立で、その上、これはまた女とも思へぬほどガッシリしたからだつきの……やはり、女である。名優が常にもつてゐるあの深い眼ざしが、彼女の特殊な才能を物語つてはゐるがどう見ても「小鳥」の柄ではない。 それがどうです、夫ヘルメルの傍に心持首をかしげて立つた彼女は、正しく「彼の人形」であり、子供と戯れながら机の下から首をつき出した彼女は、たとへその睫に一滴の涙が光つてゐなくつても、それはたしかに「悩みが美しくした女」を描き出してゐたのです。 私は此の芝居を観て、多くの批評家が云ふところの「目覚めたる婦人」について、何等問題とすべきものを発見しなかつたかはりに、却つて、此処にこそ「永遠の女性」そのものの姿を見た。これは皮肉でもなんでもなく此の劇を佛蘭西流に演出すれば、さうするのが自然のやうに思はれた。 |
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