そんなに改まらなくつてもいゝ (コメント数:1) |
1 Ryou 2014-04-10 20:40:09 [URL]
少佐 そんなに改まらなくつてもいゝ。そこで、あらまし話は聞いてゐるだらうが、今度、戦争がはじまつて、師団にも動員が下つたわけなんだが、知つての通り、将校はみんな馬丁を一人連れて行くことになつてゐる。おれは、友吉を連れて行かうと思ふが、お前に異存はないか。 数代 (黙つて友吉の顔を見る) 友吉 (その視線を避けて、顔を伏せる) 少佐 今、友吉に話したところだが、友吉は、お前さへ承知すれば、行つてもいゝと云ふのだ。これが、われわれ兵隊なら、家内に相談も糞もない。それだけまあ、馬丁などは自由なわけだが、日本の男と生れて、この千載一遇の好機会に少しでも国家の為に働きたいと云ふ望みは、これは、誰しも一様なわけだ。 数代 さう致しますと、行つても行かなくても、それは本人の勝手なんで御座いますか。 少佐 まあ、さうだ。 数代 それなら、宿は、お伴を致し兼ねます。 少佐 そりや、どうして……。 数代 別れるのがいやで御座います。 少佐 たゞ、それだけか。 数代 たゞそれだけで御座います。 少佐 もう考へ直してみる余地はないか。 |
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