ほゝう、それやご苦労でした (コメント数:1) |
1 Ryou 2014-01-25 11:31:37 [URL]
「ほゝう、それやご苦労でした。しかし、あの問題はね、僕は実は迷惑しとるんでね。この間も、あそこの経営を委せてある田沢といふ男に会つたから、うるさい問題をこつちへ持ち込まんやうにしてくれ、さもなけれや、僕はあの別荘へはもう行かん、と云つてやつたんだ。すると、――いや、もうあの問題はとうに片づいた。一部の青年がぐづぐづ云ひよるのは、あれやつまり、農村のインテリといふ新興階級の幼稚な示威運動だ。相手にせんでえゝ、と、まあかう云ふんだがね。こゝのところは、しかし、いろいろ立場によつて意見も違ふだらう。で、君の今度のお骨折りはどういふ形で表面に表はれて来るかな? 僕はもうどんなことがあつても口は出さんつもりだが、参考のために伺つといてもよからう、なあ、斎木君」 と、伯爵は、妙なところで女秘書の同意を求めた。 |
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