材大なれば用を為し難し

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で、ペーピーのほうは (コメント数:1)

1 Ryou 2013-10-16 21:19:08 [URL]

で、ペーピーのほうはどうだろう? いったいペーピーは、あの地位を自分の手に入れようなどと、かつて考えたことがあったろうか。彼女は客室つきの女中で、重要でない、ほとんど先の見込みもない地位にいたのだった。どの娘とも同じようにすばらしい未来の夢を見ていたことは見ていた。夢はだれにだって見るなというわけにはいかないものだ。けれども、それ以上に進むことなんか、本気で考えたことはなかった。彼女はすでに手に入れたもので満足しきっていたのだった。ところが、フリーダが突然、酒場から消えてしまい、それがあまりに突然だったものだから、亭主はすぐ適当な者を手に入れることができず、探したところ、むろん相応に前へのり出していたペーピーが眼にとまった。あのころ彼女は、それまでにどんな人も愛したこともないくらいにKのことを愛していた。彼女は何カ月ものあいだ、下のちっぽけな暗い部屋に坐ったきりで、そこで何年でも、また運が悪ければ一生のあいだでも人の眼につかずに暮らすつもりでいた。すると、そこへKが現われた。そんなKはまるで一人の英雄で、娘を解放してくれる人間というわけだった。
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